言葉

fig.jpg  日本では昔から言霊っていう考え方があるでしょ? 発した言葉が現実に起きる自称に影響を及ぼすってこと。空也上人立像は唱えた念仏が六体の阿弥陀仏になったという伝説をそのまま像にした鎌倉時代の傑作ですが、これぞ言霊ワールド! そういえばなんか昔、宇宙人とコンタクトをとってるおばさんで、ヒマラヤの鉱山に咲く花びらを口からケホケホっと吐き出す人、いたなあ。なんでヒマラヤの花なんだろ? ま、いいか。でも口ってのはいろんなものが出てくるとこらしい。そりゃ言葉だってなんか固い物質になったっていいでしょ。言葉に出したことで人の運気が変わったって不思議じゃありません。ヒマラヤの花びらが出るくらいだからね!
 手から金粉が湧き出てくる人もいたな。サイババとかじゃなくて、フツーの人。あ、でもそれは言霊と関係ないです。
 話を戻します。僕はその言葉のパワーというものにいささかの関心を抱きつつも、使い方によっては非常にいやらしいものになることもあると前々から思っていました。口は災いの元(よくしゃべるわりに)。
 毎週見ているテレビ番組の一つにNHKの「新日曜美術館」というのがあります。これは芸術関係の特集をやる長寿番組で、民放では視聴率が低くてやれそうにないような人にも焦点を当てて紹介してくれるので、僕に取ってはとてもいい情報源になってくれるありがたい番組なのです。
 この番組をほめる部分はたくさんあるのですが、その一方で気に食わない部分も多々あるのです。レギュラーの檀ふみさんの50を過ぎて夢見る乙女のような表情はいかんともしがたく、時々ムカっとする時もあるにはあるのですが、それはまだ我慢できる要素。問題は芸術と向合う視点と解釈の方法です。
 NHKはこの番組だけに限らず、番組で取り上げる物事を科学的検証や視聴者/専門家の思い入れによって紹介しようとする傾向があります。ちょっと理系というか、左脳的な発想なんです。新日曜美術館でもそういう傾向が強いです。例えば特集で取り上げられた画家がいて、その人の生き様や挫折を紹介する下りはフムフムと興味深く見られるのですが、たいてい途中から一見なんの関係もなさそうな別の作家などの文化人が登場して、その画家の熱い思いを語り始めるのです。そういう語り手に熱い思い入れがあって画家のことが大好きなのはまったく問題のないことなのですが、正直芸術というものに対する人の思い入れなんて僕は言葉で伝わるものじゃないと思います。いや、そればかりか、芸術を言葉で語り、説明しようとすればするほど何か安っぽくなってくるような気がする。いつもそう感じるんです。
 NHKはとかく芸術などという漠然としたものを、理詰めで、言葉で解釈しようとするのです。そしてそこに誰かの主観を入れたがる。これが時々我慢できないんですね。
 例えばここに1枚の絵があるとして、作者がどういう人で、どういういきさつでこの絵を描くに至ったかを情報として知ることはとても面白いことだと思いますが、その絵を見てどう感じるかなんてことは見る側の都合や感性で何通りもの解釈が存在するものですよね。そこが面白いのに、この絵に描かれているものは何か、この絵で何を表現しようとしたのかを作者が明確に言葉に残していた訳でもないのに、まるで正解を聞いてきたかのように他人が語ってしまうのです。本当にそれであってんの? とでもいいたくなるような。「次の文章を読んで問いに答えなさい。この文章で作者が言いたかったのは次のうちどれでしょう?」という国語のテストみたいな押し付けがましい強引な結論。作者の思いとは別に一人歩きする作品の評価。こういうのが当然のようにしてテレビでまき散らされていることにちょっとイラっとしたりしてしまうんです。ていいながらもあの番組、好きなんですけどね。
 もともと僕は音楽や芸術にしても多くを言葉にして語るのが嫌いなんだと思います。あまり説明臭くなるような考え方が性に合ってないというか、言葉では表現できないようなもののほうが何倍も重要なのに、どうしてそこに言葉による解釈が必要なのか。世の中必要以上にそういう考えが多すぎるのです。
 確かに日本には古来から美しい文学があって、美しい言葉の文化があるわけでしょう? 左脳的な感覚の中でも優れたものを日本人は持っているわけで、それは本当にすばらしい文化なんですよね。そういうのは僕にとっても大好物なんですが、ほとんどの音楽、特に芸術のほうには右脳的な解釈しか求めても何も出てこないものがほとんどです。それを左脳的に解釈することで大事なものがそぎ落とされ、魅力も半減してしまうことは往々にしてあるんですよ。いつもそう思っています。

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すみません…

「すみません、お休みのところ…」土日になるとそういう電話が時々かかってくるんですが、土日にきっちり休んでいるなんてことは実はないんですよね。むしろ平日に好きなことやっていることのほうが多くて、土日に仕事が入っているってことが僕の場合は多いです。
 フリーでやっていると仕事のある日が仕事の日、というかんじで、曜日の感覚がなくなるものです。電車に乗って今日はやたら人が多いなあと思ったら祝日とか日曜日だったってことにそこで初めて気づく、みたいなことはしょっちゅうあります。
 音楽の仕事はほとんどの場合午後からということが多いので、結構昼まで寝ていることも多いし、徹夜ばっかりしていた20代の頃に比べれば今の生活はずいぶんストレスがないともいえます。というかんじでやってますので、みなさん僕に電話をするときには「すみません、お休みのところ…」は言わなくていいですよ。
 ただし仕事上、電話になっているのがわかっていても出られない時って結構ありますから、そのときは留守電入れといてくださいね。

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Young Jeff

 僕の友達にそういう名前の英国人がいるのですが、先日彼と入った店が、昼間はそば屋で夜はイタリアンをやっているという異色のレストラン。レストランつーか、見た目はそば屋のまんまで、夜だけフォークとナイフが出てくるだけの違いというか…。
 そばのパスタとか、そういうものが出てくるかと思うでしょ、いや、そういう店じゃないんです。ある時間帯から突如として看板がすげ変わり、テーブルにしゃれたクロスがかけられ、イタリアンになるらしい…。昼間は工場勤務、夜はディスコ・ダンサーみたいなメリハリ感…。でもよく見ると、イタリアンの時間なのにそば屋を彷彿とさせるのれんがちょこっと残っていたりして、完全に入れ替わらないところがポイント。
 で、ちょうどその入れ替わり時期に僕らは入ったらしく、「そばとイタリアン、どっちにします?」とお店のおばさんに聞かれた。どうやらモラトリアム期間があるらしく、僕らがどっちに決めるか聞いてから箸持って行こうかフォーク持って行こうか決めてたみたいですよ。
 で、結局パスタを食おうということになって、フォークのセットね、持ってきたのが(笑)
とりあえず高い台にのったテレビを見ながらセットのオードブル待ち。テレビ見れるっていうのがそば屋っぽいスタイルなんだけど、イタリアンですから、一応。
 そこはYoung Jeffお気に入りの店らしく、何回も来ているらしいです。パスタは意外とうまかったです。

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シンセの修理

 時々気が向いたらですが、シンセサイザーの修理なんぞを自分でやってみたりします。いや、僕は基本的に文系ですので、たいしたことは出来ないんですが、サービスマニュアルの回路図を見ながら調子の悪そうな部品を推定してみるくらいのことを初心者クラスで探っています。詳しい人はいろいろつっこんでいただけるでしょうけど。
ca3080.jpg
てわけで、注文していた部品が届きました。RCA時代のCA3080。もう在庫を持っているところは国内ではかなり少なくなってしまいましたが、往年のシンセサイザーやエフェクターにはよく使われていた部品です。どういう働きをするのかという話はこの際やめておきますが、とっくの昔に生産をやめているこんな部品も、根気よく探せばまだ売っているショップがあるんですねえ。今回とても感動しました。
 その後、我が家のKORG MS-20のピンクノイズが完全にイカレてしまい、現在分解中。関連部品をひとつずつ基板から外してチェックしているのですが、どうやらFETがあやしい? ところが手に入れたサービスマニュアルの回路図は僕の持っている初期型(基板の型番の最後がAで終わる)ではなく、最後がCで終わる改良型。ノイズ・ジェネレーター部分の回路がかなり違うようです。よくわからないのですが、ここからここまでがノイズの回路だなってことは分かっているので、あやしそうな部品をひとつひとつ取り調べしております。最悪問題のありそうな部品を全とっかえですか…。どなたか初期型の回路図持ってたら恵んでください。
 ついでに電解コンデンサーも全部新品にしてやりました。オリジナルとはメーカーが違うし、グレードも上なので音は変わってしまうでしょうけど、そもそもの音が劣化してきていたので、好転することを願うのみ。まだ音は聞いていません。
ms20.jpg
もぬけの殻になったMS-20、どうですか、とても掃除がしやすいですよ。

 近年の電解コンデンサーの殆どが下から2本足がはえている縦型のタイプになっているのにたいして、MS-20の基板には左右から足がはえている横型のものがあって、容量や耐圧、形状からして現在入手できるもので交換できそうなのはフィリップス製のものしか見あたりませんでした(追記:その後ユニコンの製品にも相当品のあることが判明)。なんかメタリックブルーでおしゃれな色のコンデンサー。ちなみにオリジナルは松下ですよ。膨張とかしてないんですが、外観はかなりくたびれている感じ。

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9dw in 徳島 & 代官山UNIT

 先週こっそり、ってわけじゃないけど四国は徳島まではるばるライブに行って参りました。品川から新幹線で新大阪まで行ってJRに乗り換えて大阪駅へ。そこから高速バスを使って神戸経由で淡路島→徳島へ上陸。荷物の少ない9dwはこんな移動が可能なのです(若干裏技も使用)。
 徳島のお客さんも良かったですよ。みなさんありがとう! ライブ後は仮眠を2時間ほどとってトンボ帰り。予定のある人がいたから(僕のことか。)すぐ帰ったんですよね。大変だったけどいい経験でした。
 で、今度はUNIT。もう昨日の話になりますが、9dw、dip、Sugar Plantというメンツ。出番もこの順番で。
 詳しいことは何も聞かずに現場へ行ったのですが、そこではじめてわかった。イベントをオーガナイズしていたのはなんと小林さんじゃないですか、この方、僕の知り合いです。3年ぶりくらいの再開。去年渋谷で歩いているのを目撃したんだけど、電話中だったから声かけなかった。はっちゃく君とサワサキさん、それにLive LovesのMAKIさんとMIYAさんにも久しぶりに会えて、なんか嬉しかったな。もちろんみんな僕を見に来てくれた訳じゃなくて偶然出会ったってかんじだけど、その偶然だったのがよかった。
 僕の本業はミュージシャンじゃなくてサウンドエンジニアだから、僕のことを知っている人にとっては僕がステージに上がっているのはとても面白いみたいで、最近は逆に僕もそのリアクションを期待しているようなところが出てきました。でもまだ誰もライブに呼んでないし、ライブやってますって話も直接的にはまだ数人にしか言ってないかんじです。偶然目撃されるかんじで見てもらうスタンスですよ。でも僕を知っている方で見てやってもいいぞって方がいたら連絡くださいね。ライブのスケジュールは
http://www.myspace.com/9dw
こちらが一番速い。

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ARP 4035

4035.JPG
 これは先日うちにあるARP ODYSSEYを分解掃除した際に撮影した「4035」というVCF(フィルター)の回路。裏側からだけど。4035はmoogから特許を侵害しているとしてクレームを付けられたフィルターで、実際のところmoogそっくり。ARPは訴えられたことでフィルターを自社開発のものに変えてしまうのですが、黒金パネルのごく初期のモデルにはこの4035が付いているようです。
 このところヴィンテージ・シンセサイザーは価格が高騰しているばかりか、状態のいいものが市場に出回らなくなりましたね。ODYSSEYもほんの7〜8年前には今より10万円は安かったんですよ。

で、今週の土曜日、16日は徳島県のCROWBARさんで9dwのライブやりに行きます。お近くの方はぜひ。

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9dwライブ in 金沢

 関越自動車道を機材車で走ること6時間、はるばる金沢まで行って参りました。まだ1ヶ月もたたないというのに、大好きな金沢へ再び行けたことで嬉しい限り。
 朝9時に迎えに来てもらって着いたのが3時。チャンピオンのカレーを食って機材を現場であるSOCIALへ降ろし、ひとまずホテルに帰って休憩。ベッドに横たわるまもなく上着を着替えてドラムのコージさんと金沢21世紀美術館へロン・ミュエックを観に行くことに。閉館ギリギリで間に合ったけど、またあの感動を2人で味わいました。
 夕方からはみっちりとリハーサル。今回は初めてライブで披露する新曲2曲もあったので、こまかくやりましたよ。
 SOCIALは小さいながらも雰囲気のいい場所で、来ているお客さんも和気藹々としていて、東京にはない和やかな雰囲気。ライブの反応も上々で、プレイしている我々にもしっかりとした手応えが伝わってきました。また金沢でやりたいな。
 翌日はなんとか8時半に起きてホテルの朝食に間に合わせ、帰り際に今回いろいろお世話になったepochzさんのショップをみんなで訪問。金沢の静かな住宅地に突如として現れるおしゃれなショップにびっくりしました。カッコイイ。それにもまして驚いたのが、すぐとなりにある個人宅にそびえ立つお城(!)。過去にはバスツアーで見学者が来ていたらしいのですが、建てた方が故人になってからは非公開とのこと。なのに今回は特別に中を見学させてもらいました。
castle.jpg
こんな城に登るというのも初めての経験ですが、中に置かれた無数の古美術品にまたビックリ。古い甲冑や武具、蒔絵や壺や掛け軸が所狭しと置かれています。博物館ですよ、こりゃ。

castle2.jpg城らしく上の階に行くほど部屋は小さくなっていく構造で、天守閣は4畳半くらいかな。それでも立派な城ですよ、ほんと。

kinjiro.jpg七宝焼き風のドハデな二宮金次郎さんも我々を暖かく迎えてくれました。

 帰り際は新潟付近でニュースでも取り上げられた局地的な集中豪雨に見舞われ、前が全く見えなくなるほどの状態を経験しました。いやーあの雨は本当に凄かった。空のあちこちで雷も光っていて怖かったです。
 車が埼玉にまで帰ってきた頃、きれいな夕日を反射するように巨大な虹が我々の前に現れ、その虹をくぐるように走りました。なんかあまりにもきれいで大きな虹だったので、なんか怖いくらいでした。rainbow.jpg
いやー金沢の皆さん、どうもお世話になりました。そしてバンドのメンバー、スタッフにも感謝感謝&お疲れ様でした。

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またしても週末は金沢

 このところ何かと金沢とご縁のあるのですが、今週末の26日も金沢へ9dwのライブに行きます。SOCIALってとこです。
 金沢といえば食べるものがうまいのと人がとても優しいというのと、人口が東京みたいに過密じゃなくて緑も多くてのんびりしている印象。とても人間的な街。またそういう場所へ行けるというのはラッキーです。

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Shing02ライブ

 明日日曜日はLiquid RoomでShing02のライブがありますが、なんとチケットはソールドアウト。キャパシティめいっぱいお客さんが入るとのこと。メンバーは山形から戻ってきたらすぐライブみたいです。
 当日、僕はPA卓近辺で録音の仕事をしています。見かけた方は声をかけてください。

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