ロード・トゥ・ルーベ

 自転車ロードレースがどういうものか知らない人でも、このレースを見れば感動すると思う。ロードレースが競輪とはまったく別物であることを知ることができる。
 「北の地獄」と呼ばれるこのレース「パリ〜ルーベ」は、毎年行われるワンデーレース。ツール・ド・フランスのように連日走るステージ型のレースではなく、1日で終了するレースだ。フランスのパリからベルギー国境に近いルーベという街まで走る。
 このレースの最大の特徴は、何十もある石畳の区間が存在していることだ。フランスの田舎道はいまだにアスファルトではなく、何百年も前に敷かれた石畳のままの場所が多い。石は大きく、浮き上がっているものや、自動車のない時代に付いた馬車の轍(わだち)の形にがすり減っている。そんな場所を自転車で50km/hくらいの速度でぶっ放すのだ!
 レーサーはどんどん落車して骨折していくわ、自転車は壊れていくわ、とにかくいろんなことが起きるレースなのだ。走り終えた選手は砂埃で真っ黒。雨が降った年はさらに地獄になった。自転車メーカーはこのレースのために特別に改良したプロトタイプをチームに供給し、性能をアピールする。
 最近そのレースを映画にしたものがDVDでリリースされた。アメリカの映画なのでアメリカのチームをメインにした内容らしいけど。
 一応スカパーのJ SPORTSで毎年中継があるので僕はレースを見ているけど、毎年どんでん返しがあって本当に見応えのあるレースだ。詳細はWikipediaがおすすめ。
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小さいおじさん

 首の治療も無事終わり、調子がいい。首はたいしたことなかったわけだけど。
 それで夏らしく、今日はちょっと不思議な話で涼んでみようと思う。
 去年のブログで子供の頃にUFOを見たという話をしたことがあったけど、僕は決して霊感があるわけでもスピリチュアル系に興味があるわけでもなく、ただ普通に「世の中には不思議なことがある」という事実だけを信じているだけにすぎないということをあらかじめ断っておこうかな。
 「絶対にあり得ない」という現象が実際に起きて、そういうものが世の中を前進させてきたということがこれまでにも何度も人類は経験してきた。たとえば「光ファイバー」はちょっと前までは絶対にありえない技術だった。どんなに純度の高いガラスでも厚みが30cmにもなればかなりの光を減衰させてしまうというのに、何キロも離れたところにまで光を運ぶことができるほどの完璧に透明な物質なんて絶対にありえない! と誰もが思っていた。ところが実際には日本とアメリカは既に光ファイバーの束を海底に沈めてつながっている。アメリカのウェブサイトは海の底を光ケーブルで伝って我々に届いている。
 世の中に「絶対」なんてあり得ない。非科学的なものはたくさんあるけどね。
 その中で最近気になっているのが「小さいおじさん」の存在だ。
 ちまたで「小さいおじさんを見た」という話が盛り上がっている。なんでも身長5cm〜30cmくらいの大きさのおじさんがいろんなところに出没して、人間を惑わしているらしい。目撃した人の多くはそのおじさんを「妖精」として扱い、友好的に扱っている。そして実在を信じている。
 芸能人の目撃者も多い。livedoorニュースの記事によると、釈由美子、渡辺徹・榊原郁恵、的場浩司、岡田准一、中島美嘉、小池栄子、浜田雅功、千秋、柳原可奈子などが「小さいおじさん」の目撃者らしい。
 僕がテレビで聞いた釈由美子の話によると、湯船にお湯をためてお風呂に入ろうとしたところ、浴槽の縁に「小さいおじさん」が座っていて、釈ちゃんが中に入るとお湯があふれて、そのおじさんはお湯と一緒に流れて行ってしまったそうだ。
そのほかにも冷蔵庫を開けると中におじさんがいて「寒い寒い」といっていたとか、結構間抜けなシチュエーションの話が多く、そのおじさんもジャージ姿だったり鎧甲を着ていたり、作業着姿だったこともあるらしい。
 最近はなんか「私も見た」という話をする人がある意味芸能人の「ハク付け」というか、体系化されている1ジャンルのようになってきた。「小さいおじさんを見た芸能人」というくくり。キャラが薄くなってくると、そういう話を持ち出して視聴者の印象を強くする効果もあるのかもしれない。
 まそれはともかく、おじさんを見たと主張する人はかなりの数がいることは確かだ。
 ただの幻覚、といえばそうなんだけど、場合によってはヤバい薬をやってる人の日常の話のようにも聞こえ、それはそれで周囲の人はどん引きだ。本当に小さなおじさんを見てしまった人も、発言するシチュエーションを間違えるとジャンキーと勘ぐられる可能性もあり印象が悪い。
 子供はよく大人には見えない透明な友達を持っていることは児童心理学の世界でも言われているけど、そういうたぐいのものが一部の大人にも残ってしまって見えている可能性もある。
 もっと「ありえない」話では(笑)UFOとの関連性だ(笑)。
 UFO現象を研究している人の中では「アブダクティー」つまり宇宙人による誘拐体験を持つ人の話がジャンルとして確立している。ほとんどの場合、自動車を運転していたり自宅のベッドで寝ている最中に誘拐され、宇宙船の中で様々な人体実験を受けた後、記憶を消されて元に戻される。それが何年もたって何かの拍子に思い出す…。というのが典型的なアブダクション・ケースだ。そんなアブダクティーがしばしば経験するのが「窓の外に動物を見た」というかすかな記憶だ。
 アメリカのホラー作家として有名なホイットリー・ストリーバーは90年代に発表した著書「コミュニオン」の中で自らがアブダクション体験を何度も経験したことを告白したが、やはり彼も窓の外にフクロウを見た経験を持っている。
 一般的に、研究者の間ではそれを「スクリーン・メモリー」と言っている。実際に体験したことの記憶を封印するために植え付けられたニセの記憶のことだ。窓の外に立っていたのはフクロウではなく、宇宙人だったということだろうが、それを思い出さないために目の大きな動物を見たという記憶にすげ替えられて、それ以前のことを思い出させないように封じ込めているということらしい。
 実際にこういうことが現実としてあるかどうかは確かめようもないけど、小さいおじさんはもしかするとスクリーン・メモリーである可能性もある。つまりおじさんは宇宙人ってことだ。
 しかし南米に出現するヤギの血を吸うモンスター「チュパカブラ」(すみません勝手にリンクしてます)や、フライング・ヒューマノイドなどはわざわざ地球人が理解しやすいような形をしてくれているような気もしないでもない。宇宙人はきっと目線を下げてくれていて人間にとってわかりやすいように、形を変えて我々の前に現れているのだ。しかし何にために?(笑)
宇宙人がわざわざオヤジという形態をとって人間の前に現れているのかもしれないな。
 とまあさんざん言いたい放題なことを言ってしまったけど、あんまり気にせず楽しく読んですぐ忘れてください。みたいなブログでした。
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9dw、Wax PoeticsからダブルLPをリリース

 アメリカのブルックリンに拠点を置くWax Poeticsから、昨年日本でリリースされた9dw (Nine Days Wonder) のCDアルバムがなんとアナログ盤でリリースされる! 日本ではアナログ盤はリリースされていないので、初ですな。リリース日は9.9.9。あのアートワークが大きなサイズで見れるのも楽しみ。今Wax Poeticsのサイトに9dwの大きなバナーが貼ってあるので(今現在)みんな見てね!

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小栗虫太郎と池田屋事件。

 今から2年前に起こした引っ越し妄想の末に、我が家の愛書たちは本棚から引きずり出されて段ボールに詰められたままになっている。引っ越しは未だに実現していないのに。

 自分で集めた本だから当然本棚に入っている本はお気に入りのものばかりで、時々眺めてはにんまりとしていたんだけど、次から次へと我が家にやってくる新米さんを読むことに翻弄されてしまい、昔買った本を再び読み返すことは随分と少なくなってしまった。
 それでも時々整理なんかして、いらないものは思い切って処分などしてはみたものの、一向に減る様子もなく今はただ段ボールの中に丁寧にしまわれて押し入れの中で眠り続けているわけだけど。
 いくつかの本はそこそこ価値のあるものもある。
 中でも大事にしているのは小栗虫太郎の「女人果」昭和16年発行の初版本。戦時中に発行された本なので物資も少なかったせいか、使われている紙は非常に粗悪で焼けがひどい。手に入れたときにあった本の変形(へんな角度で平積みされていたらしい)は10年以上矯正をかけて本棚にしまうことでクセを直した。それでも限定3000部だから貴重だ。「小栗」の印鑑も奥付に押されている。装丁の絵も素晴らしい。
 小栗虫太郎は江戸川乱歩などと同じ時代に活躍した推理探偵小説家で、日本三大奇書のひとつとして有名な「黒死舘殺人事件」の著者として有名だ。
 小栗虫太郎の作品の大半は読んだけど、「黒死舘殺人事件」は代表作にしてもっとも難解な小説だ。異国の密林の奥地にある洋館を舞台にした殺人事件だけど、読んでいくとだんだん話が複雑になりすぎて途中でギブアップしてしまうという奇書中の奇書。エヴァンゲリオンの最終回どころではない破綻ぶり。何度か読み直すことで最後まで読んだけど、結局何が言いたいのかわからなかったが、そのぶっ飛び感はかなり凄い。完全犯罪のからくりを説明するくだりは、頭がよすぎておかしくなった人が執拗にどうでもいいことを説明しているようだ。小栗虫太郎ほど広範囲にわたる知識を持った人は今でもそういないだろう。それを惜しみなく小説の中に投入してくるものだから知らない言葉のオンパレードだ。そういうものをペダントリー(衒学趣味)という人もいるけど、そういう言葉が彼の作品をいい意味でアブストラクトにして不思議な世界観を作っていると思う。
 「女人果」は彼の作品としてはマイナーだけど、話としては面白く、読み応えがあるしわかりやすい。なにより初版本は使われている書体や旧字体、多用されたルビがのちの復刊本と比べても全く違い、まるで別の小説を読んでいるような雰囲気さえあるくらい。
 その本を手に入れたのは実は京都のとある古書店だった。あえて名前は言わないことにするけど、今でもネットショップを持たず、ビルの一室で目立った看板も出さずにひっそりやっている古書店だ。しかしフランス文学や日本の純文学をこよなく愛する古書マニアなら僕がどの店のことを言っているかわかると思う。知る人ぞ知る店だ。
 そんな店のオーナーに関する話で面白い噂を聞いた。近藤勇が率いる新撰組が尊王攘夷派を襲撃した「池田屋事件」の舞台となった京都の旅館・池田屋。この池田屋を持っていたのがこの店のオーナーだったらしい。
 親から相続された池田屋は早くに解体されてなくなって、その場所にはテナントビルが建っているけど、いつだかその建物を手放し、一生遊んでいけるくらいのお金を手に入れて理想とする古書店を続けていらっしゃるらしい。それが本当ならなんて幸せな人生だろう!
 店は僕が行った頃はスリッパに履き替えるようなお店で店内には三島由紀夫の色紙が飾ってあり、僕が大好きなバタイユや澁澤龍彦の稀少本が所狭しと並んでいて、ゴシックな出で立ちの若干ロリな店番のお嬢様がおつりを玉手箱のような箱から出して払ってくれた。その横にあるソファにゆったりと腰掛けて静かに本を読んでいたのがそのオーナーだった。
 そんなお店から買った「女人果」。どういう経路でその店に来たかはわからないけど、今では我が家の数少ないお宝のひとつとなっている。
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イカれた10代

lw.jpg イカれた10代の写真。

ニューヨークで活動する商業カメラマンのリンドン・ウェイド氏。僕も実は詳しく知らないんだけど、彼の作品を見たとたん、すぐに気に入った。この人、すごいな。
 クライアント・リストに蒼々たる大企業がいるところを見ると、むこうではそこそこ有名なのかもしれないけど、日本で彼を紹介しているサイトはほぼ皆無に等しい。僕も偶然彼の存在を知った。
 とにかく見てもらうほうが早いな。自分がアルバムを出すのなら、この人にジャケット頼みたい。高いのかな。しかしこの作風で有名企業をクライアントにもてるなんて、アメリカって国は本当に自由だ。
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世界水泳ローマ2009

 テレビ朝日系列で最近放送されている『世界水泳ローマ2009』でしょっちゅうかかるSMAPのテーマソング『スーパースター★』。この曲ってナイス橋本さんとサワサキヨシヒロさんが作った曲なんすねー。

ナイスさんは面識ないですけど、サワサキさんはよーく知ってますよ。最近ごぶさたしていて、去年ちょこっと9dwの出たライブの会場で久しぶりにお会いしたのが最後かな。よく聴くとサワサキさんテイスト満載。思わずにんまり。
 サワサキさんといえばすっかり温泉のエキスパートとして有名になってしまい、もう相当極めてらっしゃるもので、うかつに「おすすめの温泉ってどこですかあ」みたいなド素人な質問をしようものなら、それが逆に失礼に思えるくらいのお方。きっと愚問ですよね、そういうの(笑)
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のんちゃんのり弁

 学生時代からの友達に入江喜和という女性の漫画家がいる。いろんな縁があって彼女とは今でもつきあいがあるんだけど、彼女の代表作の一つ『のんちゃんのり弁』(講談社)がなんと映画化されることになった。

 お互いに忙しくて彼女とはもう何年も会ってないけど、先日電話で久しぶりに話をした。なんか彼女も忙しそうだ。新しい漫画も描いているみたいだし。でも自分の知っている人がそうして頑張って、こうして映画という形になったのは誇らしくもあるし喜ばしいこと。上映されたらぜひ観に行こうと思う。

 僕は漫画に詳しくないので彼女の漫画についてプロフェッショナルな評価はできないけど、彼女の漫画の題材はまさに彼女の人となりが出ていて面白い。興味のある方は是非読んであげてください。あと講談社『BE・LOVE』に現在連載中の『おかめ日和』もよろしく!

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整形外科

 今から20年前、本屋さんで本を見ていたら突然首に激痛が走り、動けなくなったことがあった。背骨に電気が走り、明らかに首の神経が圧迫されているようだった。

 なんとか家にたどり着いて寝たが、翌日は布団から起き上がれず、結局病院へ。首に特大の痛み止め注射を刺され、首を牽引するリハビリに通った。
 それ以来、激痛が走ると言うことはなかったけど、年に1度程度、妙な違和感が首を襲うようになった。今にも首が外れそうな危うさ。傾ける角度によって危ない痛みが走る。
 それでも寝たら治っていたので病院にいくことはなかったが、今日20年ぶりにその首、つまり頸椎の件で病院に行った。朝からまた違和感があったのだ。
 行った病院は最近できた新しい病院で、スタッフも6人以上はいる。整形外科はジジババの巣窟だ。ハゲたオデコに冷えピタシートを貼り付けたまま小刻みな歩幅で歩くかわいい爺ちゃんが僕の前を通り過ぎていく。また隣ではどういうわけか待合室でばったり遭ったという婆ちゃん同士が骨粗鬆症の話題で盛り上がっている。ちょっとした社交場だ。
 待ち時間はそこそこ長かったけどまずレントゲンを撮られることになった。撮影の機材も最新だ。B4サイズくらいのカートリッジを僕の首のうしろにあるスタンドに入れ、ボタンを入れてカートリッジを抜く。そのカートリッジをとなりの部屋にあるシュレッダーのような形をした機械の溝に差し込むとウィーンというスキャナーのようなモーター音。すると上のディスプレイにもう僕の首の骨が写っている。あれ、あのカートリッジはフィルムじゃなかったの? 何が入っていたのか、とにかく速効であがってきた。すごいな。
 診察も若い先生で非常にプロフェッショナル。腕を伸び縮みさせたりハンマーで関節をたたいたり、首の神経のせいで手足に異常がないかいろいろ調べられた。
 結局どこも異常はなく、首の骨がゆるいカーブを描かずにストンとまっすぐに伸びている形になっているらしく、それで首の負荷を分散できていないらしい。首の筋肉を鍛えろと言われた。
 痛み止めと筋肉を和らげる薬とやたらスースーする湿布を出してもらい、無事帰宅。とりあえず首には気をつけなければ。
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雑司ヶ谷霊園

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最近のお気に入りの散歩スポットは雑司ヶ谷霊園だ。池袋駅から歩いていける場所にあるんだけど、目白からも近い。昔からひっそりとしていてなんか落ち着いた場所だ。
 そもそも雑司ヶ谷を知ったのは1970年代前半にテレビで放送されていた石立鉄男主演のドラマ「水もれ甲介」の再放送をスカパーのチャンネルNECOで見てハマってしまい、ネットで調べたところそのロケ地が今でも雑司ヶ谷に残っているというので行ってみたってところから始まった。
 残念ながら舞台となった水道屋さんの家は僕が初めていったときより数年前に取り壊され、立派なビルになっていたけど、すぐ横にある都電の高架は35年前からまったく変わらないまま残されていた。
 実際にロケ現場をテレビで見たイメージと比べる驚くほど前の道も狭く、印象が違うけれども実際の町並みをそのまま使ってドラマが作られていたことがよくわかった。
 話を戻すと雑司ヶ谷霊園はそこのすぐ近くにある大きな墓地だ。
 ここの霊園は数々の著名人が眠っていることでも知られている。特に文豪や画家などアーティスティックな人が多い。夏目漱石、小泉八雲、永井荷風、竹久夢二、先代の名歌舞伎役者なんかも眠っている。だが、あえて今日取り上げるのは村山槐多(むらやまかいた)だ。
 村山槐多の墓は霊園の中でもかなり端の方の、ちょっとわかりづらいところにある。シンプルな字が彫り込まれただけの天然の墓石は先祖の墓の敷地にひっそりとあるが、ファンだろうか、誰かが訪れて彼の好きだったタバコが供えられた形跡があった。

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 村山槐多は大正時代に活躍した洋画家、詩人で、わずか22歳で亡くなっている。詩人ランボーとよく比較されるけど「デカダン」を追求した人だ。画風はきわめてラディカルで、赤は血のように赤く、描かれている人物像はたいてい狂気じみている表情をしている。小便をするお坊さんの絵を描いたことでも知られている。最期は結核にもかかわらず、雨の中裸で倒れているところを発見されたらしい。
 しかし彼の作品が大好きで、実際の作品を目にしたこともあるけど、尿をする僧侶の絵は長野県の美術館にあって未だに現物にはお目にかかっていない。
 そんな彼が東京に住んでいた時代に飯を食わせてもらっていたご近所さんへのお礼にと贈った段ボールに描かれた風景画が以前「なんでもお宝鑑定団」に出て話題となった。オークションのスタート価格が3000万円というのだ。1億になってもおかしくないという。もともと早世した槐多は油絵の点数が20〜30点くらいしか残っていないらしく、その段ボールの絵は新発見の作品だったのだ。
 槐多が雑司ヶ谷に眠っているのを知ったのはわりと最近のことで、ぜひ行ってみたいと思った。霊園は広いけれどもひっそりとしていて木々が多く、ジョギングや犬の散歩をしている人も多い。アラーキーもここで写真を撮っていたそうだ。同じ墓地でも青山墓地は軍人や政治家が多く近代的な雰囲気のところがあるけど、ここはいかにも文化人が眠っていそうな雰囲気が漂っていて、ちっとも恐ろしい感じもしない。とても清らかな空気が流れている落ち着いた場所だ。

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