僕の友達にそういう名前の英国人がいるのですが、先日彼と入った店が、昼間はそば屋で夜はイタリアンをやっているという異色のレストラン。レストランつーか、見た目はそば屋のまんまで、夜だけフォークとナイフが出てくるだけの違いというか…。
そばのパスタとか、そういうものが出てくるかと思うでしょ、いや、そういう店じゃないんです。ある時間帯から突如として看板がすげ変わり、テーブルにしゃれたクロスがかけられ、イタリアンになるらしい…。昼間は工場勤務、夜はディスコ・ダンサーみたいなメリハリ感…。でもよく見ると、イタリアンの時間なのにそば屋を彷彿とさせるのれんがちょこっと残っていたりして、完全に入れ替わらないところがポイント。
で、ちょうどその入れ替わり時期に僕らは入ったらしく、「そばとイタリアン、どっちにします?」とお店のおばさんに聞かれた。どうやらモラトリアム期間があるらしく、僕らがどっちに決めるか聞いてから箸持って行こうかフォーク持って行こうか決めてたみたいですよ。
で、結局パスタを食おうということになって、フォークのセットね、持ってきたのが(笑)
とりあえず高い台にのったテレビを見ながらセットのオードブル待ち。テレビ見れるっていうのがそば屋っぽいスタイルなんだけど、イタリアンですから、一応。
そこはYoung Jeffお気に入りの店らしく、何回も来ているらしいです。パスタは意外とうまかったです。
Author Archives: 林田 涼太
シンセの修理
時々気が向いたらですが、シンセサイザーの修理なんぞを自分でやってみたりします。いや、僕は基本的に文系ですので、たいしたことは出来ないんですが、サービスマニュアルの回路図を見ながら調子の悪そうな部品を推定してみるくらいのことを初心者クラスで探っています。詳しい人はいろいろつっこんでいただけるでしょうけど。
てわけで、注文していた部品が届きました。RCA時代のCA3080。もう在庫を持っているところは国内ではかなり少なくなってしまいましたが、往年のシンセサイザーやエフェクターにはよく使われていた部品です。どういう働きをするのかという話はこの際やめておきますが、とっくの昔に生産をやめているこんな部品も、根気よく探せばまだ売っているショップがあるんですねえ。今回とても感動しました。
その後、我が家のKORG MS-20のピンクノイズが完全にイカレてしまい、現在分解中。関連部品をひとつずつ基板から外してチェックしているのですが、どうやらFETがあやしい? ところが手に入れたサービスマニュアルの回路図は僕の持っている初期型(基板の型番の最後がAで終わる)ではなく、最後がCで終わる改良型。ノイズ・ジェネレーター部分の回路がかなり違うようです。よくわからないのですが、ここからここまでがノイズの回路だなってことは分かっているので、あやしそうな部品をひとつひとつ取り調べしております。最悪問題のありそうな部品を全とっかえですか…。どなたか初期型の回路図持ってたら恵んでください。
ついでに電解コンデンサーも全部新品にしてやりました。オリジナルとはメーカーが違うし、グレードも上なので音は変わってしまうでしょうけど、そもそもの音が劣化してきていたので、好転することを願うのみ。まだ音は聞いていません。
もぬけの殻になったMS-20、どうですか、とても掃除がしやすいですよ。
近年の電解コンデンサーの殆どが下から2本足がはえている縦型のタイプになっているのにたいして、MS-20の基板には左右から足がはえている横型のものがあって、容量や耐圧、形状からして現在入手できるもので交換できそうなのはフィリップス製のものしか見あたりませんでした(追記:その後ユニコンの製品にも相当品のあることが判明)。なんかメタリックブルーでおしゃれな色のコンデンサー。ちなみにオリジナルは松下ですよ。膨張とかしてないんですが、外観はかなりくたびれている感じ。
test
9dw in 徳島 & 代官山UNIT
先週こっそり、ってわけじゃないけど四国は徳島まではるばるライブに行って参りました。品川から新幹線で新大阪まで行ってJRに乗り換えて大阪駅へ。そこから高速バスを使って神戸経由で淡路島→徳島へ上陸。荷物の少ない9dwはこんな移動が可能なのです(若干裏技も使用)。
徳島のお客さんも良かったですよ。みなさんありがとう! ライブ後は仮眠を2時間ほどとってトンボ帰り。予定のある人がいたから(僕のことか。)すぐ帰ったんですよね。大変だったけどいい経験でした。
で、今度はUNIT。もう昨日の話になりますが、9dw、dip、Sugar Plantというメンツ。出番もこの順番で。
詳しいことは何も聞かずに現場へ行ったのですが、そこではじめてわかった。イベントをオーガナイズしていたのはなんと小林さんじゃないですか、この方、僕の知り合いです。3年ぶりくらいの再開。去年渋谷で歩いているのを目撃したんだけど、電話中だったから声かけなかった。はっちゃく君とサワサキさん、それにLive LovesのMAKIさんとMIYAさんにも久しぶりに会えて、なんか嬉しかったな。もちろんみんな僕を見に来てくれた訳じゃなくて偶然出会ったってかんじだけど、その偶然だったのがよかった。
僕の本業はミュージシャンじゃなくてサウンドエンジニアだから、僕のことを知っている人にとっては僕がステージに上がっているのはとても面白いみたいで、最近は逆に僕もそのリアクションを期待しているようなところが出てきました。でもまだ誰もライブに呼んでないし、ライブやってますって話も直接的にはまだ数人にしか言ってないかんじです。偶然目撃されるかんじで見てもらうスタンスですよ。でも僕を知っている方で見てやってもいいぞって方がいたら連絡くださいね。ライブのスケジュールは
http://www.myspace.com/9dw
こちらが一番速い。
ARP 4035
これは先日うちにあるARP ODYSSEYを分解掃除した際に撮影した「4035」というVCF(フィルター)の回路。裏側からだけど。4035はmoogから特許を侵害しているとしてクレームを付けられたフィルターで、実際のところmoogそっくり。ARPは訴えられたことでフィルターを自社開発のものに変えてしまうのですが、黒金パネルのごく初期のモデルにはこの4035が付いているようです。
このところヴィンテージ・シンセサイザーは価格が高騰しているばかりか、状態のいいものが市場に出回らなくなりましたね。ODYSSEYもほんの7〜8年前には今より10万円は安かったんですよ。
で、今週の土曜日、16日は徳島県のCROWBARさんで9dwのライブやりに行きます。お近くの方はぜひ。
9dwライブ in 金沢
関越自動車道を機材車で走ること6時間、はるばる金沢まで行って参りました。まだ1ヶ月もたたないというのに、大好きな金沢へ再び行けたことで嬉しい限り。
朝9時に迎えに来てもらって着いたのが3時。チャンピオンのカレーを食って機材を現場であるSOCIALへ降ろし、ひとまずホテルに帰って休憩。ベッドに横たわるまもなく上着を着替えてドラムのコージさんと金沢21世紀美術館へロン・ミュエックを観に行くことに。閉館ギリギリで間に合ったけど、またあの感動を2人で味わいました。
夕方からはみっちりとリハーサル。今回は初めてライブで披露する新曲2曲もあったので、こまかくやりましたよ。
SOCIALは小さいながらも雰囲気のいい場所で、来ているお客さんも和気藹々としていて、東京にはない和やかな雰囲気。ライブの反応も上々で、プレイしている我々にもしっかりとした手応えが伝わってきました。また金沢でやりたいな。
翌日はなんとか8時半に起きてホテルの朝食に間に合わせ、帰り際に今回いろいろお世話になったepochzさんのショップをみんなで訪問。金沢の静かな住宅地に突如として現れるおしゃれなショップにびっくりしました。カッコイイ。それにもまして驚いたのが、すぐとなりにある個人宅にそびえ立つお城(!)。過去にはバスツアーで見学者が来ていたらしいのですが、建てた方が故人になってからは非公開とのこと。なのに今回は特別に中を見学させてもらいました。
こんな城に登るというのも初めての経験ですが、中に置かれた無数の古美術品にまたビックリ。古い甲冑や武具、蒔絵や壺や掛け軸が所狭しと置かれています。博物館ですよ、こりゃ。
城らしく上の階に行くほど部屋は小さくなっていく構造で、天守閣は4畳半くらいかな。それでも立派な城ですよ、ほんと。
七宝焼き風のドハデな二宮金次郎さんも我々を暖かく迎えてくれました。
帰り際は新潟付近でニュースでも取り上げられた局地的な集中豪雨に見舞われ、前が全く見えなくなるほどの状態を経験しました。いやーあの雨は本当に凄かった。空のあちこちで雷も光っていて怖かったです。
車が埼玉にまで帰ってきた頃、きれいな夕日を反射するように巨大な虹が我々の前に現れ、その虹をくぐるように走りました。なんかあまりにもきれいで大きな虹だったので、なんか怖いくらいでした。
いやー金沢の皆さん、どうもお世話になりました。そしてバンドのメンバー、スタッフにも感謝感謝&お疲れ様でした。
またしても週末は金沢
Shing02ライブ
バウハウス・デッサウ展
東京・上野の東京藝術大学大学美術館で行われているバウハウス・デッサウ展に行ってきました。バウハウスときいてピーター・マーフィー率いるイギリスのバンドを思い出したゴスな方の中にも、その名前がここから来ていることをもしかしたら知らない方もいるんじゃないでしょうか。
とは言っても、バウハウス自体はゴスでもなんでもなく、実は1919年にドイツに開校された建築や工業製品などを目指す造形学校の名前。このバウハウスの存在は建築やデザインの話になると必ずと言っていいほど出てきます。その世界ではとても有名でバウハウスの名前を知らない人の身の回りにもその影響が生活の隅々にまで浸透していると言って過言ではありません。
たとえば今ではいろんな場所でみかける「パイプ椅子」ですが、スチールパイプで椅子を作るという発想自体、バウハウスのマルセル・ブロイヤーが考え出したものです(写真は彼が発表したワシリー・チェア)。
バウハウスのデザインの特徴は、あまり装飾的なことをやめ、シンプルで機能的。すっきりとしたデザインは飽きが来ず、いまでも十分通用する普遍性があります。教師にはカンディンスキーやクレーといったそうそうたる芸術家が名を連ね、卒業生の中にも数人の日本人がいました。
ところがカンディンスキーなどの社会主義国出身者がいたことや、ロシア構成主義の持つ合理主義・機能主義的な影響を色濃く残していたことなどからナチスの圧力が高まり、ワイマール、デッサウ、ベルリンへと移転を余儀なくされたバウハウスは1933年にわずか14年で閉校。この歴史をつづったのが今回の展覧会です。
会場へはデザインや建築に興味のある人や、興味がないけどレポートを書くために見に来た美大生の女の子(バウハウスっぽくなくてケバい)、真面目なドイツ人グループ(建築関係?)、何でも見に来る有閑マダムなど、平日ならではの客層で大賑わい。東京の人って何でも見に来るんだなって感じです。展示物は意外と多く、当時生徒が作った習作から工業製品、家具、建築物のパース、写真、絵画、関連資料などがおなかいっぱい見られました。
結論。やっぱり僕はバウハウスの影響をすごーく受けてます。音楽に関してもそう。イギリスのバウハウスのことじゃなくて、やっぱりああいうミニマリズムとかアブストラクトな幾何学模様とか神秘主義もちょっとあるのが肌に合ってる。一見冷たく見えるんだけど、どことなく有機的で斬新。無難なところで終わらせていない、そこはかとなく芸術性を感じさせる気合いみたいなものががんがん伝わってきました。
バウハウスの影響を受けたという阿佐ヶ谷団地の低層住宅街も見ておきたかったけど、今もう再開発が進んで取り壊されているそうで残念です。でも20世紀初頭の芸術ってやっぱりすごい。
金沢旅行
先月30日には新生9dwの初ライブ(公式には)があり、やっと一息。自宅に帰ってきたのが夜中の1時くらいだったけど、そこから殆ど眠らずに朝6時起きで金沢へ行ってきました(笑)
羽田から飛行機に乗ること1時間。現地へはちょうど昼ぐらいに着きました。
金沢は小京都と呼ばれているだけあって、とても京都に似ていました。古い町並みとファッションビルとうまい食べ物と…。それが京都よりも小さなエリアに全部集まっていて、1カ所で全部回れる感じ。金沢の人はみんな気さくでどこの店に入ってもとても愛想がいい。人口が少ないのでお茶をするにも並ばずに入れるし、テーブルの大きさも大きいし、どこもゆったりとした感覚。いわゆる街のギャルでさえ見た目は東京と比べると随分控えめなメイクでした。
街のあちこちに小川と木があって、自然がとても残っていて、散歩にももってこい。これが繁華街のど真ん中にあるとは思えないゆとりのある環境なんです。
そんな中、川の横の道を歩いていると、40代後半の女性の人が「大変!」と言いながら向こうから走ってきました。川をのぞき込んでいるのでてっきり子供が流されたんじゃないかとあたりは騒然。女性は川下のほうへずっと走っていってしまいました。周囲の通行人も何が何だか分からず川をのぞき込んでいましたが、川の流れは随分速く、何か流されたとしても助けに行ける状態じゃなかったのです。
そんな時、橋の下から「ニャー」という子猫の鳴き声が! みんなは猫が流されたとその時分かりました「あ! 鳴いてる!」みんなどうしていいのかその場の状況を見守っていましたが、橋と水面の間は50cmくらいしかなく、猫はの声はするけど姿は見えない状態。あたりの人はみんな川の中をのぞき込んでいるし、通り過ぎていくおじさんが僕に「何があったの?」ときいてきて、対岸のスーツを着た若い男の子は「こういう場合、どこに電話すれば助けに来てもらえるんでしょうね?」と川越しにしゃべりかけてくる。ほんとにみんな人なつっこいかんじ。
結局子猫は橋の下流に流されたところを助け出されたらしく、一件落着。その状況を知らんぷりしている人なんて殆どいなかったのが印象でした。
ですが金沢の目的はそういう観光ばかりではなかったのです。今回の旅行の最大の目的は、前から計画に入っていた、金沢21世紀美術館でやっている日本初個展の「ロン・ミュエック展」を観に行くことでした。
東京へ来るなら待っても良かったんですが、どうやら金沢だけしかやらないみたいなので、こりゃ行くしかないだろうと思い立ち、今回の旅行に。
ロン・ミュエックはロンドンに住んでいるオーストラリア人で、今年50歳。当初はイギリスの子供向け番組のキャラクターデザインなどを手がける造形クリエイターだったそうですが、近年その技術を生かした超リアルな人体オブジェで注目されるアーティストです。
彼の作品はこれまで発表されたものの殆どが人体、つまり人間を題材にしていて、シリコンで作られたそれはまるで生きている蝋人形のよう。浮き出た血管はおろか、体毛やニキビ、肌の色ムラまでホンモノそっくりなのですが、いわゆるリアルな蝋人形とまったく違うのはその「大きさ」です。体長が5mくらいありそうな新生児やベッドに横たわる女性。まるで見ているこちらが小さなネズミにでもなったような気分です。逆に1mに満たない大きさの「小さな人間」もいて、だけどスネ毛がリアルに生えているのですよ。
どの作品も具体的に今何かをしている人、というようなものは少なく、表情やポーズから見ている側に様々なイマジネーションを起こさせるようなものが多いです。その表情の切り取り方やよく考えると非現実的なシチュエーション(裸でボートに座るオヤジとか)がうまく作品にヒネリを与えているようです。
百聞は一見にしかず、というわけで、you tubeに今金沢に来ている作品とかなりかぶった作品を紹介しているスライドショーがありましたので、ぜひ見てください。
この下のビデオではメイキングも見られます。この手を挙げている妊婦の作品は金沢には来ていませんでしたが、字幕入りのメイキングビデオが会場でビデオ上映されていました。
あとこのスライドショー、画像が鮮明で面白いです。これ必見。
ブルックリン・ミュージアムのスライドショー