逆走

 都内だったらどこでも自転車で行きますよ! もちろん晴れていたらだけど。ここ2〜3年はそんな日々が続いています。自転車で10キロ以上も走るなんてさぞつらかろうなんていう思いは、実は僕も乗る前まではそう思っていました。でも自転車って直接風を受けて自分のペースで走れるから結構気持ちいいんですよね。
 自宅からよく行く場所まではお決まりのコースがあって、その間にはいろんな出来事があります。最近特に目につくのはマナーの悪い自転車乗りの方々です。
 自転車は本来歩道を走ってはいけなくて車道を走ることに法律ではなっているのですが、実際問題車道を走ると危ないことが多いです。そこでみんな歩道を走っているのですが、おまわりさんがそれを見つけても注意なんかしません。ほとんど常識になっているのが実情です。
 それでもスピードの出るスポーツ自転車は逆に歩道を走った方が怖いので、「安全」な車道を走るのですが、中にはこの車道を「右側通行」してくるやつがいます。歩道と同じノリで車道を走っているんですね。要するに逆走ですから真正面からから相手が走ってくる。これ危ないですよ。しかも逆走してくるやつに限って道を譲ってくれません。お前がどけといわんばかりの表情をしてます。多分右側通行しちゃいけないことを知らないだけだと思うのですが、ケータイでメールを打ちながら夜中に無灯火で自転車こいでるやつとか、世の中結構規範意識が欠如してます。
 あと自転車は信号を守りません。10年くらい前までは信号無視は大阪の専売特許で、東京は小さな信号も律儀に守って渡る行儀のいい街だと思っていましたが、今はどちらも違いがなくなりました。自転車だとさっさと渡れるから信号無視も問題ないと思っているんでしょうけど、実際自転車の交通事故は年々増える傾向にあるようです。皆さんも気をつけてくださいね! 僕はローディーの模範となるべく、信号は必ず守るようにしています。あと自動車とかバイクの方々にも自転車をフェアに走らせてもらう意味で、自転車は信号を守る必要があるのです。信号を無視する自転車は自動車の人たちから差別的に扱われ、車道が走りにくくなるのです。
 
 あー、なんか説教くさくなってきましたけど、ぼやくのはこのへんまでにして、もうすぐ「パリ〜ルーベ」という自転車ロードレースが始まります。古い石畳の上を砂埃にまみれながらロードバイクで走るというレースで、ガタガタ道をものすごいスピードで走るので自転車のメカトラブルやパンクが続発、選手も転んでけが人続出と言う過酷なレースです。日本でのオンエアはJ-SPORTS(スカパー、ケーブル等)のみ。ツール・ド・フランスばかりが自転車ロードレースじゃありません! 今年はどうなるのかな。
パリ〜ルーベ2008

下は2006年のパリ〜ルーベで、ヒンカピー選手(米国)のカーボン製コラム(ハンドルの軸)が折れてしまった衝撃の瞬間。こんなことばっかしです、このレースは。

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Korg SDD-3000のコンデンサー交換

SDD-3000
 僕の愛用ディレイKorg SDD-3000は1983年生まれと、もしかしたらここを読んでいくださっている方よりも年上かもしれない老人マシンです。
 入手したときにはもう殆ど死にかけといった感じで、殆どのボタンはまともに動かず、つまみというつまみがガリっていて、しかも大量の残留ノイズを発生する殺人マシンでした。
しかしこいつのサウンドがなんとも味があって、決してプラグインなんかでは出ない、独特の歪み感と存在感があるのです。なんとかこいつを復活できないものかと数年にわたってボチボチと手を加えてきました。今では75%くらいの体力まで回復してきましたのでちょっとここでその経緯を報告したいと思います。

 まず最初に問題だったのはディレイタイムを変更するためなどに使われている四角いタクトスイッチです。これが完全にダメになっているものもあって、なんとか新品に交換しようとしました。
 分解して調べてみると、スイッチ自体はアルプス社製の汎用部品であることが判明。カタログから調べると今でも製造されている部品だと言うことが分かりましたが、秋葉原を探しても全然見あたりません。しょうがないのでこれはメーカーから直販で買いました。

 次がプログラムメモリ用の基板取り付け型ニッカド電池。これは付いていた物が完全にアウトな状態で、基板に半田付けされていたのですが液漏れして腐っていました。これを取り外し、同じ規格のバッテリーをいろいろ捜しました。これはなんとか秋葉原のバッテリー専門店でゲット。
 そして最近になって、ノイズとヌケの悪さがどうにも我慢できず、意を決してコンデンサーを交換してみることに。また分解して基板に付いている電解コンデンサー(かなり安物が付いている)の側面の数値と個数をすべてチェックして秋葉原へ買いに行きました。
 とりあえず今回はどうせ付け替えるならと、オーディオ用のハイグレードなコンデンサー(つってもニチコンMUSEですけど)に統一。いやーこれは激変しました! もうノイズなんてまったくでなくなりましたよ。ヌケも非常にいい! 新品のときはきっとこんな音だったんだろうな…。
 実はコンデンサーは音に関係しそうな部分しかまだ付け終わっていないのですが、本体の下にももう一枚基板が隠れていることが分かって(おそらくデジタル回路用基板)、こいつもそのうち交換しようと思います。
 電解コンデンサーというパーツは10数年もたつと中の薬品が抜けて容量が変わったり音質に影響してくるというとても寿命の短いもので、古いオーディオ装置はたいていこれの故障で使えなくなってしまうわけです。ですから今回みたいに付け替えれば音も良くなったりしてまた使えるようになっちゃうわけですね。

参考情報
SDD-3000、SDD-2000等に使われているタクトスイッチの型番(アルプス社製)

  • LEDなしのもの:SKECAFA010
  • LEDあり:SKECFKA010
  • ※トップカバーはアルプス製のものは使えません。もとから付いているものを流用しましょう。

    参考サイト
    SLEMMONS
    資料

    sdd3000_owners_manual.pdf

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    動物の擬人化をなくす会

     直立するレッサーパンダ、アタマを悩ます熊、アッカンベーをするゾウアザラシ等々、人間はなにかと人間的な仕草をする生き物に愛着を感じるらしいのです。
     CMでも、たとえばカメラのCMではライオンのお母さんがライオンの赤ちゃんを撮影していたり、犬がしゃべったり、そういうの多くないですか?
     でもそれってほんとに面白いのかなあ。僕にはちょっと分からない。
     僕は動物はその生き物らしく振る舞っているときが一番かわいらしく見えると思うんですが、擬人化された動物をかわいいと思う人って結構いるのかもしれない。そういう付加価値がなくても生き物ってとても素晴らしくて面白くて愛らしい! そういう余計なもの、僕にはいらないな。
    動物の擬人化をなくす会を作りたいくらい。
    ↓こういう映像で動物っていいと思うんだけど。あとは何が必要?

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    サウンドハウスからカード情報流出

    サウンドハウスを利用している人、ここにいらっしゃる方の中には多いんじゃないですかね。
    なんか中国人にハッキングされて漏れた情報が不正利用されているらしいですよ。
    注意してくださいね。
    記事はこちら。

    またカード番号変えなきゃいけないかな….。

    初めて2ちゃんねるのスレにもリンクを貼ってみようかな。

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    デジタルケーブルの重要性

    ワードクロックケーブルを変えてみた。

     こないだ何気なくProToolsに使っていたワードクロックとスーパークロックのケーブルを前から持っていた違うケーブルに差し替えてみたら音が変わることにふと気がつきました。デジタルケーブルも変えれば音が変わるという話は前々から聴いてはいましたが、正直なところ今までそんなに気にしていなかったというのが現状で、アナログ・オーディオのケーブルはとっかえひっかえしているけど、デジタルのケーブル、とりわけワードクロックのケーブルなんてどうなんだろう?とまあ結構そういう感じでいました。
     いろいろ調べてみると、ワードクロックのケーブルはオヤイデ製のもので結構良さげなものが売られていましたが、長さを自由に設定してみたかったのと、切り売りの方が安上がりということで、自作に踏み切りました。

    OYAIDE FTVS-510


    オヤイデ電気は秋葉原が世界に誇る電線の店で、世のケーブルマニアたちが足しげく通う聖地として有名ですが(笑)このお店のオリジナル開発商品のひとつがこのFTVS-510です。99.9995%という、非常に純度の高い特殊な精錬方法で作った純銀製の導体を使用していて、お値段はなんと1メートル4200円! 100円ショップでラジオのイアホンとか買っている人が聞いたらアタマがおかしいんじゃないかというくらい高いですが、オーディオのケーブルとしてみれば、まあこんなもんでしょう。銀だからしょうがないですよ(涙)。
     それプラス、ワードクロックでおなじみのBNCコネクターはFurutech製で、いわゆるブランドものを選びました。バッグでいえばCoachぐらいのかんじかな。こぎれいな売り子さんが上品にお客を待ち構えているくらいのコネクターですよ。錆びないロジウムという希少金属でメッキされたやつで、2個セットで2500円くらい…。ほんと、アタマおかしいでしょ? でも買いましたよ。絶縁体も高級なテフロンですよ。金かかってます。世の中には何十万円もする電源ケーブルがあることを考えればこんなのヒヨコみたいなもんです。
     で、ケーブル加工に必要な道具とかは家でこういうことをしょっちゅうやっているせいでいろいろ揃っていますからそれは問題ないとして、加工してみた結果ですが、やっぱり高いケーブルは違います。作りがとても繊細。編み込みの美しさもさることながらとてもしっかりとできている印象でした。
     そこで使ってみた結果ですが、たしかに違う! ….でもうーん、なんかこんなものかな、というのが最初の感想。噂通り音が明るくなった気がしました。デジタルなのになんでだろう? でもお金をかけたほどじゃないな、と思いました。
     それからたつこと数日、何回か使ってきてふと思ったのです「あれエージングかな?」と。
     なんかだんだん音がしまってくると言うかなんかどんどん音が良くなってくるんですよ。これは間違いなくエージング効果ですよ。
     「アンチエージング」なんていう言葉があるくらい、人間にとってエージングはありがたいものではありませんが、オーディオ機器、特にヘッドホンなんかは買ったばかりの頃は堅い音なのに、使っているうちにだんだん本来のあるべき音が出るようになっていくわけです。これがエージングです。ヘッドホンのようにまでは変わりませんが、電源ケーブルやオーディオのケーブルにもエージングの効果があることはマニアの間では一般的に知られています。それがデジタルのクロックを流すケーブルにもあるというのはまさに驚きです。それが顕著に現れてきたのがここ何日かで、やっぱり前と違っている気がします。もちろんうちは集合住宅なので使う時間帯によって電源環境が変わり、音も違うのですが、以前よりいい感じになっているのは間違いないと思います。
     ちょっと嬉しくなってブログで誰かに言いたかった! ただそれだけなんですけどね。

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    花粉症

     自慢ではないけど、僕は花粉症の先駆者でした。発症したのは1975年頃。まだその頃は花粉に反応している人がいなかったどころか、その原因が花粉にあることさえ判明していなかった時期で、僕は周囲から「蓄膿症だ」と言われ続けていました。
     通っていた耳鼻科は昔からある町医者で、待合室の壁がベニヤっぽい、一般の民家みたいなところ。行っても鼻の奥に管をつっこまれて鼻水を吸い出し、妙なニオイの薬を機械で噴霧されるだけ。もちろん病院の帰りは異常なほど鼻がスースーしているのですが、それから2時間もたてば元の木阿弥で、もうズルズルなわけです。
     高校受験の頃までは誰も「花粉症」なんて言っているやつは周囲にはいなくて一人さびしく鼻をすすっている青春時代でした。ところがいまや花粉症仲間だらけですよ。子供の頃、元気だった周囲のやつらも今では鼻水ずるずるいわしてるんだろうなあ。
     一般的な抗ヒスタミン系の鼻炎薬は僕には異常な眠気を起こさせるようで、あれを飲むと何日もボーっとしている状態が続いてしまいます。だから飲めないんです。でも最近ではいい薬もできていて、僕の場合はオノンという薬に出会ってからはほぼ1年を通してそれを飲み続けています。この薬は鼻水を止める物ではなく、アレルギーの症状を出なくする薬で、長期間服用するタイプです。ぜんそくの治療なんかにも使われています。もちろん処方箋がないと買えませんが、僕にはとてもあっているらしく、シーズンの前くらいからはちゃんと朝夕飲んでおけばかなり症状が軽くなります。しかも眠くならない! 市販薬なんて話にならないような僕にとっては夢の薬なのです。
     ところがそれでも花粉の多い年には症状がひどくなってしまい、効き目の穏やかなオノンでは対応できない、そんな時もあります。それでも眠くならないから飲み続けているわけです。
     で、つい先日からの話なのですが、どういうわけか僕の体に大きな異変が起きているのです。なんと「花粉症」の症状が出なくなっているのです。30年以上もつきあってきたこの持病が突然治るなんてことはあるわけがないのですが、この1週間、嘘のように花粉に反応していないんです。電車に乗るとマスクをしている人が多く見かけますが、それだけ花粉は飛んでいるってわけですよね。なのに僕は平気なんですよ。
     ある日、すごい反応の激しい日があって、僕は何度も鼻を洗浄剤で洗ったり、点鼻薬を入れてごまかしていたのですが、寝て起きたらその次の日が雨だったんですね、で、雨の日はあまり花粉が飛んでいないせいでいつも症状が軽いわけです。その日反応がなかったのも雨のせいだと思っていました。
     ところが次の日が晴れでも、僕の鼻はなんともないわけですよ、これがまた。どうしちゃったんでしょうか。そこからずーっと出ていないんです。
     とりあえずまた発症するんじゃないかとそれだけを恐れて例のオノンは飲み続けていますが、ほんと、今年は軽いです。ちょっはと反応しているんですが、鼻がつまるほどじゃないんですよ。今後どうなるのか、また何か進展があれば報告します。

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    Gallery更新

     ヴィンテージ・シンセサイザーは年々状態のいいものが減るばかりか、絶対数が急速に減少しつつあり、価格が高騰してきました。円高傾向で今後輸入ものが多少安くなる可能性はありますが、いわゆる定番と呼ばれている機種は国産も含め、確実に値上がり傾向にあります。逆に、人気のない物は珍しくても価格が安定しているようです。
     またこれは日本の住宅事情によるものなのかもしれませんが、大型のシンセサイザーは機能の割に評価が低いです。買う人が少ないんでしょうね。

    そんなわけで、実情をふまえた中古価格の相場を全体的に見直して、GALLERYに反映させましたのでまたお暇なときにでもご覧ください。

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    全然更新できず…

     このところ忙しくてブログがまったく更新できていないわけですが、仕事としていくつか面白いプロジェクトが同時進行しています。今はまだ言えないですが、近々近況を報告します。

     最近変わったことと言えば、先日僕の愛車、といっても自転車なんですが(笑)ギアが9速だったものを10速に変えるために、付いている部品をほぼ全取っ替えしました。
     通常こういう作業は自転車屋さんに頼んでやってもらう人が多いとは思いますが、そこは機械いじり好きとして、全部自分でやってみることに。前々からDVDや本なんかをいくつか見て勉強していたのでブレーキワイヤーの交換とかクランク(ペダルの軸)の外し方とか、ギアシフトの調整なんかは簡単にできるだろうと言うことで専用工具なども買いそろえていたのですが…。実際やってみるとネジが外せなかったり、いくつか問題が発生しました。何時間もかかって悪戦苦闘の末、なんとかできましたよ。
     9が10になったのに部品のグレードが上がったせいでなんと自転車の重量が350グラムも減量化し(これはスポーツ自転車にとっては大きな数字)、実際乗ってみても格段にペダルの回転が軽いわけです。こりゃすごい! ちょっと気合い入れたらスピードメーターが軽く46km/hを表示しました。
     UCI(国際自転車競技連盟)のルールではレースで使われるロードレーサーの重量は6.8kgより軽いとダメなのですが、僕の自転車はさすがにそんなに軽くはないものの、金さえかかればその軽さを超えられるんじゃないかというのが昨今の技術力。ママチャリが18kgくらいですからヘタすると3分の1近いかんじですよ。
     買うと高い部品のいくつかは知り合いが格安で譲ってくれたりタダでくれたので、ずいぶん安く上がりましたが、それでも一般的な人の自転車に対する価値からすればとんでもない金額がかかったのはたしかです。でも走るのがよりいっそう楽しくなったことを思えば悪くない投資だったかも。

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    PPG WAVE System Upgradeについて

     80年代の中頃に数年間だけ製造されたドイツのPPG WAVEシリーズは当時はまだ新しい技術だったデジタル方式の音源を搭載したアナログとのハイブリッド・タイプのシンセサイザーでした。当時は200万円以上もする高級機だったこともあって、製造された台数もトータルで1000台ちょっと少量で、そのオペレーティング・システムも非常に手作り感のあるものでした。
     メーカーの倒産後もPPG WAVEシリーズにはいくつかのバグに悩まされ続けましたが、オーナーはもはやその手の問題とは仲良く付き合っていくしかないものと諦めていたものです。
     ところがPPGの倒産から20年近くの年月を経た今、ここにきてそのオペレーティング・システムをバージョンアップさせようと言うプロジェクトが始まっています。ドイツのHermann Seib氏の書いた新しいオペレーティング・システムはウィーンに拠点を置くVirtual Musicから発売されており、これまでのバグの修正はもとより、これまでになかった新機能の追加もおこなわれています。

     従来のPPG WAVEシリーズの最終ROMバージョンはv6.0でしたが、現在Virtual Musicから発売されているものはv8.3。MIDIを搭載したWAVE2.2用、WAVE2.3用、EVU用のものがあります。最近これの2.3用のものを買ってみましたのでちょっとレポートしてみます。

     日本からの購入には申込書をファックスする必要がありましたが、クレジットカードも使えるので問題なく取引ができました(オンラインではできないらしく、それがやや面倒くさい)。ファックスのあと受け付けたというメールが届いて、申込みから1週間ほどするとB5くらいのクッション封筒が送られてきました。中に入っていたのがROM4個と薄いマニュアル1冊のみ。ROMも外国らしく、ほぼむき出しに近い状態で入っていました。これでマニュアルどおりにROMを差し替えればオペレーティング・システムがニュー・バージョンにアップグレードされるというわけです。

     まずこのv8.3と従来のv6.0との違いについてご紹介します。

    ●Wavetable 13のバグの修正

      PPGのウェーブテーブルの13番のうち、2つの波形が壊れていたというあってはならないようなバグが修正されました。WaveにMIDIを搭載する際にそのコードで上書きされてしまっていたことが理由らしいですが、コードを最適化することによって全体の容量を小さくし、問題を修正するためのスペースを作ったようです。

    ●Wave2.3のアッパーウェーブの初期化の問題を修正

      Waveシリーズではひとつの音に対してひとつのウェーブテーブルしか使えないのをどうにかしようと、「アッパーウェーブ」と呼ばれるウェーブテーブル領域を用意していました。ところがこのアッパーウェーブは電源を単純に入れただけだと変な音が出るだけでまったく使い物にならなかったのです。ROMのアップグレードなしにこの問題を解決するには、まずウェーブテーブルの30番を選んでから実際のプログラムをロードする必要がありましたが、この初期化の問題を修正しました。

    ●Wave 2.3を2.2モードで使った際のアルペジエイターの問題を修正

      2.3はディスプレイの”2.3″という数字の”3″にカーソルを合わせて2をタイプすると2.2モードに切り替わりますが、この際にアルペジエイターを使うとでたらめな音が出ていた問題を修正しました。

    ●フットスイッチでプログラムを切り替える際に0から77までを順に切り替えるよう変更

    ●シーケンサーのパラメーターTIMCOR:0で1/64ノートにクオンタイズされるように変更

    ●アルペジエイターSEQM:25がマニュアル通りに動作するように修正

    ●MIDIシステムエクスルーシヴの送信に対応

      これによって内部のプログラムをMIDI SysExではき出させることが可能になりました。カセット・インターフェイスの設定において、CASS 6でSend All Data、CASS 7でSend All Program Data、CASS 8でSend All DRS Dataができます。
     またPPG BusをMIDI経由でエミュレーション可能になったことで、現在開発を進められているWaveterm CやSoundDiverなどのアプリケーションとの接続によってウェーブテーブルの書き換えがMIDI経由でできることも現実に近づいてきました(MIDIインプリメンテーション・チャートが付いていますのであとはプログラム次第です)。

    ●MIDI受信のプロセス・スピードが向上

      これはすごいことです。これまでMIDIを使うとなんだかノリが変わると感じていた人には朗報です。プログラムを最適化することで実現しました。

    ●モジュレーション・ホイールの位置が数値でディスプレイに表示されるようになった

      これまでモジュレーション・ホイールの位置はプログラムと一緒に保存されていましたが、どの辺に位置しているのかをあとで数値で確認する方法はありませんでした。v8.3ではディスプレイの空きスペースに数値でリアルタイムで表示されるようになりました。これがつくことで我が家ののWave2.3はモジュレーション・ホイールを上げても数値のMAXまで出し切っていなかったことが発覚しました(これはいずれ直さなくては!)。

    ●電源を立ちあげたときにオペレーティング・システムのバージョンとシリアル番号を表示

     1つ1つにシリアル番号をふっているみたいです。

    ざっとマニュアルに紹介されている主な変更点を列挙してみましたが、僕もまだ全ての機能を試していないので詳細はこのくらいにしておきます。

     さてインストールですが、これはPPGのパネルをあけて、中から基盤を取りだし、ROM抜きの工具でROMをソケットからはずし、新しいROMに差し替えるという作業をやります。抜かなければいけないROMは4つですが、これにほかのROMが隣接していてROM抜き工具のツメの先が入る隙間がなく、なかなか苦労しました。工具の先の引っかけるツメ部分の長さはメーカーによってまちまちですが、PPGにはなるだけ短いものを選ぶべきだと思います。ちなみにうちにあるのはツメが3mmで、これだと工具を全開にしてツメの片側だけを斜めからROMの隙間に潜り込ませないと入りませんでした。

     送料含めても1万円しないくらいでお手持ちのWaveがこんなによくなるなら買わなきゃ損!って感じです。みなさんもぜひトライしてみてください。ROM交換にはリスクがつきものですがおすすめします。

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    PoweBook G4 (Titanium) の液晶交換

    ●聞くも涙の液晶破損の顛末

     ソファに座りながらノートパソコンがいじれるという便利な折りたたみテーブルが先日、テレビショッピング番組で紹介されていました。我が家にもソファがあるのですが、パソコンを乗せるような高さのテーブルがないために、いつもちゃぶ台の上でインターネットをやっていたので、まさにこういうのが欲しかった! とばかりに飛びついて買ってしまいました。
     5000円という安さも魅力だったわけですが、家に届いたその商品はテレビで見るよりずっと安っぽく、プラスチックの天板は反っていて、足もぐらぐら。そこでちょっとへこみましたが、まいいかということで、パワーブックを乗せて使っていたのです。
     数日後、なにげなくテーブルを手で引き寄せると、何かに引っかかったのか簡単にテーブルが傾いてしまい、上に乗っていたパワーブックがガーン!と豪快にフローリングの床に落ちてしまったのです。真っ青になって画面を見てみたら、液晶が完全に割れていてへんなデジタル模様がヒビに沿ってきれいな色の変化を見せていて…早い話、液晶が完全に壊れてしまったのです。

     翌日、何件かの修理屋さんやアップルにも連絡して液晶の修理の値段を聞いてみたのですが、どこも12〜13万円が相場。立派な新品が買えてしまうような値段なのです。そこでまたショック。
     次にもっと安く直せる見せはないかと調べたところ、秋葉原に5万円台で新品に液晶を交換してくれる店を発見し、早速電話をしてから店に液晶の割れたパワーブックを持ち込みました(ちなみにここではその店の名前はあえて出さないことにします)。液晶だけを売ってくれることも出来たのですが、液晶を交換することはなんとなく大変なのは分かっていたし、7000円払えばお店で交換してくれるということだったので交換も頼むことにしました。修理期間は1週間と通常の修理と変わらないし、お店の人は多分中国人だと思うのですがそんなに対応も悪くなかったので信頼して預けてきたのです。

     8日後。預けるときに「今週中にやります」という店員の話からすれば1週間もかからないうちに出来そうな口ぶりだったのになんの連絡もないので連絡をしてみました。電話に出てきたのは日本人らしい別の人で「やっと液晶が手に入ったのでこれからやります。これからやりますので1週間後にできあがります」。おいおい、液晶は在庫があるって預けたときに言ってたぞ! とにかく仕事でも使っているから急いでくれないと困るというふうに電話で言ったところ「じゃあ明日やりますからあさって取りに来てください」との話になりました。

     その2日後。なんとなくいやーな予感がしたので取りに行く前に電話をしてみました。電話に出たのはまた別の中国人ぽい男性。「こっちから連絡がない限り、修理はできていませんよ」とぶっきらぼうに言われてしまいました。ひととおり事情を説明すると「今日、担当者が風邪で休んでいるので分からないが、修理はやっていません。多分今日やるつもりだったと思います」と言うのですが、2日前の人は電話せずに取りに来てもかまわないと言っていたくらいなのに、風邪で出来ないならせめて連絡くらいよこすのが常識でしょう? そこで完全にキレてしまい、キャンセルして壊れたままのパワーブックをまた秋葉原まで引き取りに行ってきました。
     あとから考えてみると、修理伝票の控えとしてお店の人が僕に渡した伝票のコピーが異常に汚く、紙の半分がトナーで真っ黒になって字もろくに見えないような状態だった時点からこの顛末を予測しておくべくでした。

     話は長くなりましたが、その店が通常の修理の半額で液晶を交換できるというのには理由があります。パワーブックG4の液晶はデザインの問題上もあって、液晶パネルを外側の金属にネジ止めされておらず、接着剤で固定されているのです(これはネジ穴が空くのをデザイナーのジョナサン・アイブがデザイン的に許していないためと思われます)。そのため、中身だけ交換すると言うことは一般的にはやらず、バックライトの回路も含めたフタごと液晶を交換するのが通常の修理方法となっているため部品代が高くなっているわけです。ところがこの秋葉原の店は接着剤をはがして液晶をOEM製品の同型と交換し、両面テープで留めて元に戻すという工法をとるため、単純に液晶パネルの料金と工賃だけですむわけです。デメリットとしては接着剤をはがすため、再び貼り合わせた時に貼り合わせ部分に以前より隙間が出来てしまうことです。それでも傷を付けずに接着剤をはがすのはかなり難易度の高い修理になるので、ある意味7000円でそれをやってくれるのは良心的価格といえます。ただし急いでいる人にはまったくお勧めできない店ではありました。

    ●結局自力で修理するはめに

     さて、僕はその後、ヤフーオークションでまったくオリジナルと同じ液晶部分だけの中古部品をゲットし、自分で修理する決心をしました。液晶の値段は63000円でしたが、接着剤をはがすような必要もないし、秋葉原でやってもらうのと値段もそんなに変わらないわけで、成功すれば全く問題のない解決方法です。
     とにかくパワーブックの分解方法を解説したマニュアルもオークションでゲットしました。これはウェブブラウザーで見れるように作られた自作マニュアルなのですが、印刷できるように作られていないので、これを見ながら分解するためにはもう一台パソコンがいるって話になります。

     パワーブックの液晶交換は結論から言うと非常に高度なテクニックが必要でした。ほぼ完全に中身を分解する必要があり、ロジックボードさえも完全に本体から分離させなければ液晶の交換はできません。まずこの覚悟が必要です。
     分解の手順については分解マニュアルを作られた方の権利の問題もありますのでここでは再現しませんが、2000円で入手できますのでぜひ購入してください。
     ざっと手順をお話しすると、フタを開け、とりあえず付いているもの…メモリやハードディスクやDVDドライブなどを全部取り外します。それからロジックボードを抜き出すのですが、マニュアルでは写真一枚で簡単に説明してある「ロジックボードを取り出します」という手順の部分がなかなかうまくいきません。ロジックボードが取れないのです。おそらくこのマニュアルを購入された方の中にもこの部分でつまずく人がいるかもしれませんのでくわしく補足したいと思います。
     ロジックボードのネジを全部はずしたはずなのにロジックボードが何かに引っかかっているみたいでとりはずせないのは、CPUがヒートシンクにガッシリと接着されているからです。この事実について書かれているウェブサイトもまったくなかったことに驚かされてしまいましたが、CPUがヒートシンクからはがせない限り、ロジックボードを取り外すことはパワーブックG4では不可能なのです。
     ロットによって使われている接着剤が違う可能性もありますが、これをはがすのには相当な時間を要しました。とにかく基盤を痛めないようにゆっくり時間をかけながらロジックボードをヒートシンクからはがしていく…これしか方法はなさそうです。使われている接着剤は乾いても固着しないタイプのものなので力を入れればゆっくり伸びながらはがれていく性質のものです。力を入れすぎると基盤が壊れそうで怖いのですが、力を入れないといつまでもはがれてくれないというジレンマに悩まされることと思いますが、CPUがヒートシンクからはがれるときにはペリペリという音がわずかに聞こえるのでそれが聞こえたらそれ以上は力を加えないことが大事です。ゆっくりゆっくりはがれていくと思います。ロジックボードが力を加えることで若干たわむのも心理的に非常に不安です。これで液晶が無事に交換できても起動しなかったらどうしようという一抹の不安がよぎることと思いますが、案外ロジックボードっていうのは丈夫なんだなと言うのがやってみた感想です。とはいうものの、細心の注意は必要です。
     本来、このCPUとヒートシンクの隙間にはシリコングリスというものが塗られているようですが、パワーブックに塗られているものはちょっと違っているみたいです。でもシリコングリスはぜひあらかじめ入手しておいて、元に戻す際にお使いになると万全でしょう。

     とにかく元に戻して修理が完全に終わるところまでに要した時間は4時間半ほど。部屋の中はネジやらパーツやらでいっぱい散らかりましたが、どうにかこうにか自分で交換できました。分解して始めて分かったことは、パワーブックG4というものは本当にデザインを優先して設計されているんだなということです。液晶のケーブルは信じられないほど細い穴を通さなければいけませんし、それも穴を大きくすることでヒンジ部分のデザインが崩れるのがいやだったからでしょう。ねじ穴を減らすために金属とプラスチックを接着剤で留めている箇所がありますし、メンテナンスや製造工場サイドの都合が優先されていないことは確かです。それをどう評価するのかは人によって違うとは思いますが、デザインを重視している物作りは日本の企業にも見習って欲しい部分であるとは思いました。

     最後に。分解マニュアルには掲載されていませんが、基盤のコネクター抜き工具はあるとずいぶん作業がラクです。ENGINNEER SS-10が自宅にあったのですが、これはかなり役に立ちました。

    ※この記事を元に行った結果に対しては自己責任でお願いします。GOOD LUCK!

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