とりあえず今はこういう感じでやってますが、いずれもっと手を加えていくことになると思います。ブログをトップに持ってきましたので、皆さんブックマーク等の変更、よろしくお願いします!
9dw presents “Synthesizer”@代官山LOOP – Sep.10
9dw@FREAKS VILLAGE 2011
Boris remix EP “Black original”
今月の報告。
今月はちょこちょことライブやらなんやら観に行くことが出来た。先日のCoaltar Of The Deepers at Shinjuku Loft、これなんかはやっぱりすごいなあと思った。かっこいいだけじゃなくて、日本のバンドにはない、独特の感覚をもっている。これってすごいことだよ。
実は最近、ナラサキさんと仕事をすることが何度かあった。”No Thank You”あたりから会うことも殆どなくて、1〜2度電話で連絡を取ったくらい。お互いに何をしているか知らなかったけど、ほんと何年ぶりかに再会して久しぶりにスタジオへ入ってみたら、ほんとうまくいってとても楽しかった。ナラサキさんも仕上がりには満足してくれたみたいだからよかった。
『輪るピングドラム』というTBS系のアニメのエンディングをDeepersがやっていて、これは僕がやったのでぜひチェックして欲しい! 8月に音源がリリースされるみたいで、それはまたあらためてアナウンスします。めちゃかっこいいシューゲーザーっす。え、ボーカルが小さい? それがいんですよ。はは。
で、今月は狩野一信もこっそり観に行った。幕末の絵師。五百羅漢の絵を100幅描いて増上寺に奉納したことで有名だけど、近年まで殆ど名前も知られていなかった。狩野を名乗っているけど、絵は全然狩野派じゃない。そこがいいんだけどね。とても個性的で、中国絵画の影響もある宗教画なんだけど、フツーの人が見ても喜びそうにないアヴァンギャルドさがとても斬新。あるいみ宗教画のパンク。最近、こういう絵に触発されることが生命の動力源になっているような気がする。求めているものはまったく違うんだけど、響くものがある。音楽もいろいろ聴いてますよ。
そういえば先日アナログ・ターンテーブルの調整のために80年代や90年代にプレスされたレコードを何枚か大音量でプレイバックしたけど、カッティングされた音が大きいんだ当時のレコードって。すごくバランスもいい。そう、俺はこういう音を聴いて感動してたんだってことを思い出した。なんか忘れていた気がする。そしてターンテーブルの中を開けてちょこちょこと改造を施している。今でもいい音がするKenwood KP-9010とShure VST-Vの組み合わせ。
あと今週末23が9dw@高崎です。お近くの方は是非。その翌日24はO-Nestでやります。
9dw@woal takasaki
写楽行ってきました。
かなり強引なスケジュールではありましたが、時間を作って上野の東京国立博物館へ写楽を観に行ってきました。制作活動期間がわずか10ヶ月という幻の浮世絵師。その正体については以前さんざんブログで吠えましたので、今日は見た感想を少し。
世界中に散らばった写楽の浮世絵は、発見されているもので149種類(近年ギリシャで発見された肉筆画とか含めるともう少し)、そのうち30ちょっとが1枚しかないそうです。28枚の大首絵で華々しくデビューした写楽はやはりそのデビュー作が大変売れたらしく、それぞれ平均15枚くらいが残存してるとか。基本的には役者絵、つまり歌舞伎役者のブロマイドばかり描いていて、今回の展示では所在がわからなかったり他の理由で借りられなかった数点を除いてほぼ全部が展示されていました。
10ヶ月という短期間の割には多作で、作風が変わることから制作期間を4つにわけて1期〜4期と名付けられています。後半になればなるほど筆致の勢いがなくなり、残存枚数も少なくなると言うのが写楽の特徴です。
面白いのがやはり1期で、皆さんもよーく知っている写楽の浮世絵はこの時期のものです。立ち姿全体を描かずに上半身だけをクローズアップで描く「大首絵」で、紙のサイズも大判、多色刷りですがなるだけ色数を減らす工夫がなされています。
背景は描かず、雲母というガラス質の石の粉で作った黒キラのベタ刷り。黒いですが光に反射するときらきらと光る成分が入っています。これは当時蝋燭の火の中で芝居を見ていた情景をそのまま表現しているともいわれていますが、制作期間を短くするのにも役立っています。
やっぱり実物は版画ですから微妙な凹凸があって非常にいいですね。雑誌や図録で見るのとは印象が違います。色を乗せずに版木の形だけ写し取る「カラ刷り」らしきものが施されているものもありました。展示では同時期に役者絵で活躍した歌川豊国と勝川春栄と写楽の3人をを比較するような形で出品されていました。同じ役者の同じ役柄を並べると、その視点の違いがわかって面白かったです。
豊国はやっぱり絵がうまいってのもあるけど、デザインセンスがモダンで、ちょっと現代人に近いセンスを持ち合わせています。バランス感覚が合理的で新しく、全体的に古くささを感じません。近代的なのです。春栄はもっと個性的で泥臭く、動きの少ない絵を描きます。全体的にはちょっと古くさいかも。写楽はというとデフォルメがはなはだしいのに描こうとしているポイントはやたらリアル。言ってみれば似顔絵のような視点があるんですね。西洋では肖像画家として評価されているみたいですが、ある意味そうかな。全然きれいに描こうとしていないところがいいです。構図も斬新なので、近代になって芸術としての価値が高くなったのは当たり前と言えます。
でもすごいなこれ、と思わせる作品と、なんかインパクトが薄い作品とのギャップが激しくて、写楽複数人説があるのもうなずけます。近年発見された肉筆画はさらに弱々しい筆致で、僕は個人的に肉筆画は奈良にある類似したやつも含めて贋作ではないかと勝手に考えているのですが、僕らが考えている以上に写楽の正体には複雑な事情がからんでいるのではないかと思います。
ただ、写楽の作品をここまでたくさん見られる機会は今後もそんなにないかもしれません。興味のある人はぜひ言ってみてください。
9dwが震災復興プロジェクトに参加
JET SETが震災復興支援を目的としたアルバムを6月初旬に出します。これに9dwが新曲を提供しましたのでぜひお聴きになってください。Wax Poetics Japanのブログに詳細と試聴リンクがあります。Jeff Mills 、Derrik Mayや先日幡ヶ谷で一緒にセッションしたInner Science、個人的な知り合いでもあるKoyasもYogurt & Koyasとして参加します。結局なんか知っている人が集まって来ましたね。
シリーズ “若冲ミラクルワールド”
伊藤若冲が好きだという話は嫌みに聞こえるくらいブログで主張して、まったくもういいよと思われているのを承知でいいますが、すみません、伊藤若冲が好きなんです。
最近はちょっとした若冲ブームがやってきて、彼の作品を取り上げる展覧会も増え、手っ取り早く集客できる人気アーティストとして認知されつつありますね。その反面で名前さえ聞いたことがないという人もたくさんいると思います。
伊藤若冲は江戸時代に京都で活躍した画家です。常に異端の存在で、江戸のアヴァンギャルドといっていい作風ですが、同時に緻密な画風が代の美術ファンを魅了しています。
また彼はスローライフの先駆者でもあります。錦市場の八百屋の長男として生まれながらも若くして家業を弟に譲り、庭で鶏を飼いながら隠居生活をしました。仏門に入り、小さな寺で石仏を彫ったり好きな絵を描いたりして晩年を過ごしました。結婚も生涯することはなかったといいます。
若冲が晩年を過ごした石峰寺という京都の伏見にある寺へ今年行ってきた話はしましたが、今月4月25日から4日間連続で、伊藤若冲の特集番組がNHKでオンエアされます。そして番組の中で若冲を我々に紹介してくれるのがなんと嵐の大野智君。嵐・大野 meets 若冲ってことらしいっす。なんでも彼がもっとも敬愛する画家が若冲なんだそうだ。若冲ファンか。それは知らなかった。大野クン俺と一緒だよ。これは見ないとね。若冲は知らないけど嵐の大野君が好きな人もこの番組はチェックしてみるといいすよ。
若冲の絵の代表作は「動植綵絵」(どうしょくさいえ)というシリーズのものですが、これは彼が10年かけて描いた30幅の日本画です。年間平均3幅描いていたってことですね。京都の相国寺が持っていましたが、明治初期の廃仏毀釈の時にお金に困って天皇家に買い上げてもらい、現在は宮内庁が持っています。これが番組の中で高精細カメラで撮影されたそうです。
左に動植綵絵を2つばかし。さらっと見れば別のなんのへんてつもない他にもよくある日本画のように感じる方もいるかもしれませんね。でもよく見てくださいよ。単に動物や植物を普通にきれいに描こうとしている人は決してこんな構図の絵は描かないでしょう? だって変ですよかなり。隙間なく画面一杯に詰め込まれた鶏やみんな同じ方向を向いている魚の絵などは絵の描き方に様々な約束事があった江戸時代においてはかなり異常な構図と言えます。最初から若冲は絵をきれいに描こうとしていたタイプの画家ではなかったってことです。
ひとつ言えることは、彼の描く動物や植物はそこはかとなく愛情に満ちあふれていて、彼が被写体そのものに多大な愛情を持っていたということです。単純に被写体を自分の表現の道具として利用しようとしているという感じではなく、好きだから描いている、そういうモチベーションを感じるのです。僕も動物なら昆虫でも蛇でもなんでも大好きなので若冲の気持ち、わかります。生きとし生けるものすべてが愛しくてたまらなく、いつまで見ても飽きない、そういう人間の視点から描かれた絵ですよこれは。
絵は異常さを感じるほど緻密です。だけどスーパーリアルなものを目指したという感じはありません。今で言えば若冲はアニマル・プラネット(動物専門チャンネル)を見ながらにんまりしているようなタイプの人だったに違いありません。そういう人が生き物の素晴らしさをできるだけ正確に絵に写し取りたかった、そういう視点の中で、動物たちを見たままの自然な形に配置するのではなく、まるで図鑑のように仕上げているのです。動物たちは思い思いの行動を取っているというより、若冲の視点からぶれることなく非常に主観的なポーズで絵の中にいるのです。同じ方向を向いていた方がかわいく思えてきたのかもしれません。思い入れが強すぎてそうなったという感じがしているのが面白いです。そしてそれぞれのモチーフの何が面白いかを絵を通してみんなに伝えようとしているのです。だから変なディテールにこだわっている。そこに偏執狂的な精神を感じてしまい、どうも絵に入っていけない人もいらっしゃるようですね。僕はぜーんぜん気になりません。
その素直さと斬新さ、これが渾然一体となって作品となっているわけですね。フツーじゃないのがいいんですよ。
NHK BSプレミアム
シリーズ ”若冲ミラクルワールド”
4月25日(月)夜9:00-10:30 「色と光の魔術師”奇跡の黄金”の秘密に迫る」(仮)
4月26日(火)夜9:00-10:30 「カタチに命を吹き込む~細密表現と視覚のトリック」(仮)
4月27日(水)夜9:00-10:30 「”国際人”JAKUCHU~千年先を見つめた絵師」(仮)
4月28日(木)夜8:00-9:30 「黒の革命~水墨画の挑戦者」(仮)
4月26日(火)夜9:00-10:30 「カタチに命を吹き込む~細密表現と視覚のトリック」(仮)
4月27日(水)夜9:00-10:30 「”国際人”JAKUCHU~千年先を見つめた絵師」(仮)
4月28日(木)夜8:00-9:30 「黒の革命~水墨画の挑戦者」(仮)