ナショナル・ジオグラフィックが超常現象に対して肯定的な捉え方をしているという話は以前しましたが、先日のビッグ・フットの検証番組もまた意外な結末を迎えていました。
ビッグフットというのはカナダやアメリカでたびたび目撃される体長2m以上の毛むくじゃらの類人猿、あるいは原人のたぐいの未確認生物=UMAのことで、ヒマラヤの雪男や中国の野人なんかと並ぶ有名な存在です。
中でも1967年にカリフォルニアで撮影されたビッグフットがのしのしと歩く16mm映画フィルムが有名で、それは撮影者の名前にちなんで「パターソン・フィルム」と呼ばれています。
パターソン・フィルムはわずか1分ほどの映像で、肝心のビッグ・フットの移っている部分は数十秒といったところ。走りながら撮影しているので手ぶれが大きいですが、明らかにゴリラみたいなのが二足歩行で歩いています。
番組では72年に死亡した撮影者の遺族から、貸金庫に保管されているパターソン・フィルムのオリジナルを借り、遺族の自宅にノートPCとフィルムスキャナを持ち込んで1コマづつ手動スキャンしていました。世の中に出回っているパターソン・フィルムは孫コピー、またはひ孫コピーくらいの映像で非常に不鮮明ですが、オリジナルはさすがにきれいでした。この映像を常にビッグフットが画面の中央に来るように手ぶれを補正し、非常に見やすくなった動画を使って検証。霊長類学者の意見なども聞いていました。
結論は意外にも「本物」。パターソン・フィルムは着ぐるみをきた人間ではなく、生身のビッグフットだというのです。
根拠としてあげていたのが、ハリウッドでセサミ・ストリートでおなじみジム・ヘンソンの作った着ぐるみ制作会社の専門家の話としてもあった、筋肉の滑らかな動き。現在はのびる素材などを使ってリアルな動きをする着ぐるみを作ることもできますが、当時はまだそういう素材がなかったということ。そして決定的だったのが「膝の曲がる位置」。着ぐるみでは腕の長さを長くすることは可能ですが、膝の関節の位置を着ぐるみによって「短くはできない」。なのにたしかに膝の位置は体のおおきさからすればかなり下のほうです。この説明には説得力がありました。
お尻の筋肉の動きなどもかなりリアルで、一見着ぐるみにも見えなくはないのですが、やはり鮮明な映像ではモノホンっぽい匂いがしました。これは僕にとっても意外でした。
最近になって「あれは俺が着ぐるみを着てやったヤラセだ」と暴露するじいさんがアメリカで出てきましたし、各地に残されている足跡も「俺が木で作った足形でそこらじゅうにばんばん付けてやったぜ」というじいさんが足形を持ってマスコミに登場してきていますが、顔からしてかなりあやしい様子。少なくともビッグフットよりあやしかったです。
番組でも世界一のビッグフット足形コレクターという大学教授が出てきて実際にニセモノの足形を土に押し付けていましたが、僕が見てもわかるくらい足形は「ニセモノ」っぽかったです。やっぱりわかっちゃうんですね。
「本物には霊長類特有のひだがある」というのは元科学捜査官で指紋のエキスパート。石膏でとられた足形に残っている指紋をチェックし、人間のものではなく霊長類のものと断定してました。指紋やひだを含め、関節の動きまで再現した偽物の足形が作れるかどうかはわかりませんが、それを作成するためには霊長類の足についてかなり勉強する必要もあり、実質的に不可能ではないかとテレビを見て思いました。
そんなわけで、はい、ビッグフットは実在します。こういうことでいいですね、皆さん。