Sansui AU-α707 Extraの故障

●古き良き時代のSANSUIの名器は現役で活躍中

 うちのアンプは1988年頃に買い揃えた状態のまま、現在に至るまで持ちこたえていましたが、さすがにいろんなところでガタがき始めました。既にメーカーの補修部品の保有期間は過ぎていますし、こりゃどうしたものかと迷った結果、インターネットの力も借りて自力で修理してみました。この情報は同じ機種を持つ方、あるいは同じような調子の悪いプリメインアンプをお持ちでちょっとしたはんだごてを使うくらいの事が出来る方に役立てればと思っています。
 まずSansui AU-α707 Extraについてですが、これは当時から人気の高かったSansuiのAUシリーズの中で中堅どころというべき機種で、価格は定価で15万円くらいでした。この頃のSANSUIのアンプの設計は同じ方がやっていたそうで、どれもいい音がします。今聴いても古くささを感じないいい音で、90年前後は黄金期といえます。

●典型的な故障1「モーターベルト」

 そんなAU-α707 Extraですが、インターネットなどで調べてみると定番の故障の症状があるようで、うちのアンプにもそれが現れました。まず最初に出たのは、前のソース・スイッチを押しているのに入力ソースが切り替わらないという現象です。ボタンを押すと「ウィーン」とモーターの回る音がするのですが、入力が切り替わらないわけです。これはモーターの回転をスイッチに伝えている黒いゴムベルトが経年変化で伸びてしまって空回りしているために起こります。ゴムベルトを新品に交換すると簡単に直ります。

 とりあえず僕は現在も経営を続けているSANSUIに連絡を取り(※2007年4月現在、SANSUIの製品のサポートについては以下のサイトを参照してください。http://www.idkcorp.com/idk_sansui_index01.html)、1個500円で購入しました(まだ部品が残っていました)。ゴム1個に500円は正直高いと思いましたが、まー純正なので致し方ないでしょう。しかし後で気づいたのですが、秋葉原に行くと結構代替品が探せるのです。東京ラジオデパートの2階にもありましたし、千石電商本館の地下にもあります。ほかのパーツ屋さんとか探せば結構あるんですね。これなら100円もしません。あらかじめゴムのサイズを測っておくことが必要ですが(伸びていることを念頭に置いて)。

 ゴムベルトの交換にはアンプをばらす必要があります。電源ケーブルを抜き、天板をはずしたところからリアのRCAプラグの裏あたりをのぞいてください。ベルトが見えると思います。これを注意深く交換します。

●典型的な故障2「リレー」

 もうひとつ、良くある現象は片方のチャンネルの音が出なくなる、あるいは小さい、歪みっぽい、また電源が入りにくくなるという症状です。これは「リレー」と呼ばれる電子パーツが劣化しているために起こる現象のためかもしれません。リレーというのは言ってみれば電磁石の力でスイッチがカチカチと入ったり切れたりするもので、アンプの外からでも動いている音が聞こえます。リレーが動くときは電源スイッチを押した後と、スピーカーを切り替えた時です。機械的に動作する場所がありますので、そこの接点が15年前後で問題が発生します。新品に交換できれば問題ないのですが、こちらは同じパーツを手に入れるのが難しいため、多くの人が分解洗浄で復活させています。

 AU-α707 Extraに付いているリレーは大きいのが2つと小さいのが1つです。場所はリアパネルのスピーカーケーブルのコネクターの裏にあります。これを洗浄するためにはハンダとハンダごて、ソルダリングワイアー(余計なハンダを取り除く金属で編んだひも)、ラジオペンチが必要です。あとクリーニングに使う物としてリレークリーナー(写真のが一般的)と名刺のような厚みの紙(あまりクズができないもの)を用意してください。

 まず天板をとりはずし、リアパネルから見えるネジをキャノン以外全部はずします。リアパネル下のネジもはずすとリアパネルがすっぽりとはずれますが、電源ケーブルが付いているため、下側へ倒す程度で作業を始めます。スピーカーケーブルのコネクター裏の基盤を固定しているネジもはずしてください。これでスピーカーケーブルのコネクターごと基盤がはずれます。この基盤に付いているケーブルが短くて思うように基盤が動かせませんので、ケーブルはハンダごてではずすほうがいいのでしょうが結構大変だと思います。ちょっとつらいですが、できるようならケーブルは付けたままで作業した方がいいと思います。それでまず上にのっかっている大きなコネクターをはずします。8カ所基盤とハンダで付いているのでこれをソルダリングワイアーで取ります。取れると下からリレーの四角い箱が顔を出します。この箱はカチっとはまっているだけなのでキャップのように手で取ることが出来ます(やや左右にひねるような感じで上に引き上げます。力を加えすぎると割れるので注意!)。はずれると中からスイッチがむき出しになって見えます。スイッチになっている接点部分は簡単にどこか分かると思いますが、そこにリレークリーナーを吹きかけ、間に紙をはさんで軽くこすってみます。紙が黒くなると思います。長年かかってくっついた酸化物や汚れです。クリーニング後は再度クリーナーを吹きかけ、完全に乾いたのを待ってからふたをしめます(充分乾かさないとだめ!)。この大きなリレーは2つありますので両方やってください。
 小さなリレーは実は何に使われているのか僕もよく分かっていないのですが、横にある小さな箱です。これをフタを取ります。虫眼鏡がないと接点が見えないくらい小さなパーツですが、傷つけないように慎重にクリーニングしてください(あるいは不安ならクリーナーを吹きかける程度でやめといたほうがいいかもしれません)。

 これが終わると再度はずした箇所をハンダ付けしてもとに戻します。さらにうちのアンプはその基盤のはしに付いている部品にハンダ不良があることに偶然気づいたため、そこをハンダしなおしました。それで元に戻したら電源を入れてみます。「カチ」という音とともに電源が入ったらまず大丈夫です。次にスピーカーの切り替えスイッチを回してみてください。カチカチとリレーが切り替わっている音が聞こえるはずです。このスイッチ自体がガリってもリレーに正しい電気を送らなくなり、リレーに動作不良が起きることがあります。ガリが出ているようならガチガチ回してガリをとってください。

 どうですか? 直りましたか? うちのアンプはこの洗浄によって症状が治ったばかりか、音質が格段に向上しました。どうやら長年かかって音が劣化していたようで、買ったときのあの感動がまたよみがえってきたのです。えらいもんです。リレーを洗ってこんなに音が変わるものかと思うくらい音が変わりました。結構重要みたいです。

※なお、ここに書かれた情報を元におこなったいかなる結果に対しても責任は持てませんので、自己責任で行ってください。自力の修理に自信のない方はお金さえ出せばSANSUIのアンプを修理してくれるお店がインターネットで見つかると思います。GOOGLEあたりで探してみてください。

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AKAI MPCシリーズの外部同期

AKAI MPCシリーズはかのLinn Drumの生みの親であるロジャー・リンがデザインしたMPC60からスタートした、ドラム・サンプラー型ワークステーションですが、ソフトシンセが主流の世の中に、これだけ健闘しているのは賞賛に値します。それだけ使いやすいということなんでしょうね。
 MPC-2000のサウンドはややレンジが狭くヌケの悪さは気になるけれども最新機種はそのあたりもずいぶん改善されてきました。古いものがいいという人もいます。
 ところがこのMPCシリーズ、同期というものが非常に苦手らしく、スタジオでいろんなトラブルに見舞われることがあります。個体差なのか、ファームウエアのバージョンのせいなのか、うまくいく時といかない時があったりしてやっかいです。たいていのトラブルは同期したときのMIDIの揺れ、あるいは同期がひっかからないという問題です。経験的に感じ得たトラブルシューティングを箇条書きします。

MPCシリーズにはMIDI INが2つありますが、MTC(MIDI TIMECODE)で同期させるときは”MIDI IN 2″に差したほうがスムースにいくことが多い気がする。

SMPTEオプションが付いているならMTCよりそっちで同期させたほうが正確。

MIDI CLOCKでの同期は手軽だけどやめたほうが無難(ノリがかわってしまう)。

同期を取りながら録音する場合、助走するために曲のアタマに4小節くらいの空白を付けること(2小節くらいあれば同期はなんとかついてくるけれども、3小節目のアタマあたりが若干ずれてしまうことがある。それもケース・バイ・ケース)。

MPC-2000ユーザーはタイムコードのオフセットの設定方法を知らない人が多いですが、Song Screen→NOWフィールド→[Open Window]で設定画面が出ます。

同期のスレーブにするときにはプレイボタンを押す必要はありません。
うまくいくときは何の問題もなかったりするんですが、何か僕も知らない情報があれば知らせていただければと思います。

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