Yamaha NS-10M Studioのコンデンサー交換

古くなったNS-10M Studioのコンデンサーを交換して音質向上。

 これについてはいくつか言及しているブログがありますが、まったく同じ内容のものがないようなので書いてみようかなと思います。

 うちのNS-10M studioもかれこれ30年選手になり、今でもいい音を出していますがさすがに中の部品は劣化しているだろうということで交換してみることにしました。ご存知の通り、スピーカーには入ってきた信号をツイーターとウーハーに切り分けるためのネットワーク回路が中に入っていまして、つまりそれは信号を高域と低域にフルターで分けているわけなんですが、この回路の出来次第でスピーカーの出音は大きく変わってしまうわけです。
 中でもコンデンサーは経年劣化する部品として知られていて、これが30年も経つとヌケが悪くなってきたりする原因になったりするわけなんですね。変化があまりにゆっくりなものですから気づかないことがほとんどなんですが。
 そこで新品に交換って話になるんですが、NS-10Mに使われているコンデンサーは同じものはさすがに入手不可で、代替品を探すことになります。ところが2.7uFという、不思議な数値のコンデンサーが2個(ペアで4個必要)入ってまして、これがなかなか同じものが探せず、2つ、あるいは3つの違うコンデンサーの組み合わせで同じ数値に持っていくという荒技を試している方が多いです。

 僕の場合、こういう情報は日本のブログや掲示板にはあまり頼らないようにしています。というのは有用な情報を持っている人は日本にもたくさんいるのですがあまり他人とシェアしない人が多くて、たいてい中途半端な情報にしか行き着かないからです。そこで海外の掲示板に頼ります。そうしている方も多いかもですね。もちろん英語で話あってるところにいくわけですけど、結構使える情報ってあるんですよ。というわけでここに書いてあることも受け売り情報です。

 

写真はグレーのコンデンサーがオリジナルで、黒いのが入れ替えたあとの状態です。ウーハーを外して中のグラスウールを取り出すと見えますので、ボックスレンチで基板のネジを外してください。あとはハンダをいったん取り除いて入れ替えです。コンデンサーはボンドでくっついているので強引にはずします。周辺のパーツを傷めないように! あとスピーカー自体の振動で新しいパーツも動かないようにホットボンドとかでまた固定してあげてください。全部自己責任でやってくださいね。

替えたのはJANTZEN CROSS CAP。

 で、そういう海外のお友達から教えてもらった情報なんですが、デンマークのJANTZEN AUDIOっていうスピーカーまわりのパーツばかり作っているメーカーが同じ数値のフィルムコンデンサー(2.7uF)を作っているらしく、いくつかあるグレードの中でもCROSS CAPっていうのがいいよって教えてもらいました。
 調べて見るとコイズミ無線さんにありました(2017年9月現在)。2.7はリストにはないんですが通販のページをめくっていくと出てきます。低域用のバイポーラの10uFもPARC Audioってのに交換してみました(国産のアルミ箔を使ってウーハー用につくらている誤差の少ない製品らしいです)。通販だと全部で3,000円ちょっとで買えると思います。

 で肝心の音質について。これはみなさんにお勧めできると思います。3KHzあたりにスムースさが出て、全体的に中域にパンチがでました。レンジの広さも感じますが、NS-10M Studioのニュアンスはそこなわずにしっかりと音がでている印象です。「まったく別物になってしまった」というような感じはなく、10Mのカラーをちゃんと残しながら音質向上がはかれました。ですからこのリプレースのやり方はかなりイケると思います。ジャンセンやるな、ってかんじですね。PARC Audioのコンデンサーもいい仕事しているんだと思います。おそらくオリジナルよりいい音になっていると思いますが、僕みたいにこのスピーカーで仕事しているエンジニアさんなんかでも試してもらってもそんなに不満の出る人はいないんじゃないか…とりあえずいい方向にはいける方法だと思います。

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