たまには老舗のシンセサイザーサイトらしい情報でも書いてみようかな(笑)
DSIから4月中旬にリリースされる予定のMophoのキーボード版。鍵盤がついているだけじゃなくてつまみがいっぱい増えていることのほうが画期的ですな。エンベロープをVCO、CVF、VCAごとに切り替えられる点や、オシレーターの波形がとても細かく選べる点、基本を押さえながらも少ないつまみで最大限のことをやらせようという工夫はさすがアナログシンセを知り尽くしたデイブ・スミスのなせる技。
国内のメーカーがこのような魅力的なアナログ・シンセに手を出さなくなったのにはいくつかの理由があるんだけど、ひとつは安い値段でできないことと、故障したときのケアがややこしいこと。部品点数が増えるので製造も大変だし。
しかも本物のアナログが持っている音の雰囲気よりもお手軽感を求めている人のほうが数としては圧倒的に多い。量を売らなければいけない大企業には手を出せない。
とはいえシンセというものは結局のところスペックよりも出音の良さが最も重要だ。これは確信を持って言える! 多機能なほうがウケがいいのは分かっているけど、どんなに機能が少なくても音がいい製品は長く残っていく。しかし国内のメーカーにとっては残念ながら長く残る製品よりもすぐ売れる製品のほうが作りたいという現実がある。これはいたしかたないと思う。今ハードウエアは売れないから食べていくのに必死なのだ。そこを理解してあげなければならない。
買い手側と作り手側の間にいつも感じる若干の温度差というものは、結局そこから来ているんだと思う。欲しいものを造ってくれていないような気がするのは技術力のせいじゃない。常に企業が生きてくための言い分が音楽というものの間にはさまっている。
DSIもれっきとした企業ではあるけど規模は国内メーカーに比べると圧倒的に小さい。弱小ゆえに小回りがきくのかもしれないけど、いつも感じる「温度差」をあまり感じさせない製品をリリースしてくれている。つまり僕たちの欲しいものを作ってくれている感じがする。採算がとれているのかどうかは正直わからないんだけど、製品としては間違ったものはだしていない気がする。頑張って欲しいな。