整形外科

 今から20年前、本屋さんで本を見ていたら突然首に激痛が走り、動けなくなったことがあった。背骨に電気が走り、明らかに首の神経が圧迫されているようだった。

 なんとか家にたどり着いて寝たが、翌日は布団から起き上がれず、結局病院へ。首に特大の痛み止め注射を刺され、首を牽引するリハビリに通った。
 それ以来、激痛が走ると言うことはなかったけど、年に1度程度、妙な違和感が首を襲うようになった。今にも首が外れそうな危うさ。傾ける角度によって危ない痛みが走る。
 それでも寝たら治っていたので病院にいくことはなかったが、今日20年ぶりにその首、つまり頸椎の件で病院に行った。朝からまた違和感があったのだ。
 行った病院は最近できた新しい病院で、スタッフも6人以上はいる。整形外科はジジババの巣窟だ。ハゲたオデコに冷えピタシートを貼り付けたまま小刻みな歩幅で歩くかわいい爺ちゃんが僕の前を通り過ぎていく。また隣ではどういうわけか待合室でばったり遭ったという婆ちゃん同士が骨粗鬆症の話題で盛り上がっている。ちょっとした社交場だ。
 待ち時間はそこそこ長かったけどまずレントゲンを撮られることになった。撮影の機材も最新だ。B4サイズくらいのカートリッジを僕の首のうしろにあるスタンドに入れ、ボタンを入れてカートリッジを抜く。そのカートリッジをとなりの部屋にあるシュレッダーのような形をした機械の溝に差し込むとウィーンというスキャナーのようなモーター音。すると上のディスプレイにもう僕の首の骨が写っている。あれ、あのカートリッジはフィルムじゃなかったの? 何が入っていたのか、とにかく速効であがってきた。すごいな。
 診察も若い先生で非常にプロフェッショナル。腕を伸び縮みさせたりハンマーで関節をたたいたり、首の神経のせいで手足に異常がないかいろいろ調べられた。
 結局どこも異常はなく、首の骨がゆるいカーブを描かずにストンとまっすぐに伸びている形になっているらしく、それで首の負荷を分散できていないらしい。首の筋肉を鍛えろと言われた。
 痛み止めと筋肉を和らげる薬とやたらスースーする湿布を出してもらい、無事帰宅。とりあえず首には気をつけなければ。
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