バウハウス・デッサウ展

bauhaus.jpg 東京・上野の東京藝術大学大学美術館で行われているバウハウス・デッサウ展に行ってきました。バウハウスときいてピーター・マーフィー率いるイギリスのバンドを思い出したゴスな方の中にも、その名前がここから来ていることをもしかしたら知らない方もいるんじゃないでしょうか。
 とは言っても、バウハウス自体はゴスでもなんでもなく、実は1919年にドイツに開校された建築や工業製品などを目指す造形学校の名前。このバウハウスの存在は建築やデザインの話になると必ずと言っていいほど出てきます。その世界ではとても有名でバウハウスの名前を知らない人の身の回りにもその影響が生活の隅々にまで浸透していると言って過言ではありません。

wassily.jpg たとえば今ではいろんな場所でみかける「パイプ椅子」ですが、スチールパイプで椅子を作るという発想自体、バウハウスのマルセル・ブロイヤーが考え出したものです(写真は彼が発表したワシリー・チェア)。

 バウハウスのデザインの特徴は、あまり装飾的なことをやめ、シンプルで機能的。すっきりとしたデザインは飽きが来ず、いまでも十分通用する普遍性があります。教師にはカンディンスキーやクレーといったそうそうたる芸術家が名を連ね、卒業生の中にも数人の日本人がいました。
 ところがカンディンスキーなどの社会主義国出身者がいたことや、ロシア構成主義の持つ合理主義・機能主義的な影響を色濃く残していたことなどからナチスの圧力が高まり、ワイマール、デッサウ、ベルリンへと移転を余儀なくされたバウハウスは1933年にわずか14年で閉校。この歴史をつづったのが今回の展覧会です。
 会場へはデザインや建築に興味のある人や、興味がないけどレポートを書くために見に来た美大生の女の子(バウハウスっぽくなくてケバい)、真面目なドイツ人グループ(建築関係?)、何でも見に来る有閑マダムなど、平日ならではの客層で大賑わい。東京の人って何でも見に来るんだなって感じです。展示物は意外と多く、当時生徒が作った習作から工業製品、家具、建築物のパース、写真、絵画、関連資料などがおなかいっぱい見られました。
 結論。やっぱり僕はバウハウスの影響をすごーく受けてます。音楽に関してもそう。イギリスのバウハウスのことじゃなくて、やっぱりああいうミニマリズムとかアブストラクトな幾何学模様とか神秘主義もちょっとあるのが肌に合ってる。一見冷たく見えるんだけど、どことなく有機的で斬新。無難なところで終わらせていない、そこはかとなく芸術性を感じさせる気合いみたいなものががんがん伝わってきました。
 バウハウスの影響を受けたという阿佐ヶ谷団地の低層住宅街も見ておきたかったけど、今もう再開発が進んで取り壊されているそうで残念です。でも20世紀初頭の芸術ってやっぱりすごい。

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