iLokが壊れるとこうなる。

2016年10月28日追記:iLok3がアナウンスされました。これからiLokキーを買おうとしている方はご注意ください! アナウンス記事

ilok.gif DAWをそれなりに本気出してやろうとすると、いつかどこかで誰もがお世話になるのがiLok(アイロック)キーだ。これはアメリカのPace(ペイス)という会社が開発した、PCのUSBポートに挿して使う、ソフトウエアのライセンスキーで、iLokでライセンスを管理しているソフトはこれがないと動作しない仕組みになっているというもの。

コピーガードの変遷
 これが登場する10年ほど前までは、特にいわゆる「プラグイン」といわれるソフトウエアに施されていたコピーガード(要するに違法にコピーして使えないように対処していた方法)はただのシリアル番号で、これは製品を買ったときに付いてくる特定のシリアル番号を入力しなければソフトがインストールできないというものだった。しかしこの弱点は、シリアル番号が他人に渡ると誰でもインストールできてしまうということ。インターネットが普及してくるとこの方法で違法コピーを防ぐことはできなくなってしまった。
 そこで次にでてきたのが、当時誰でも持っていたFD(フロッピーディスク)を使ったプロテクション方式だ。これはコピーできない特殊な処理をされたFDの中にインストーラーを入れ、インストールできる数もFDの中身を書き換えることで管理できるというもの。これが出てきたことで違法コピーは大きく減ったらしい。しかし問題を起こしやすいFDは正規に買ったユーザーにも問題を起こしやすく大変不評な上、いくらか時間が経つとこの特殊なFDをコピーできるように改造する輩がネット上に登場し始めた。
 次に考え出されたのが「チャレンジ・レスポンス方式」と呼ばれるコピーガードだ。これは製品にシリアル番号が付いているところまでは従来と同じだが、インストール時にそのシリアルを入力すると、読み取られたそのPC固有の情報とシリアル番号をもとに、そこから吐き出した意味不明の文字列チャレンジ・コードが画面に現れる。ユーザーはメーカーの登録サイトにインターネットでアクセスしてそのシリアル番号とチェレンジ・コードを入力すると、チャレンジコードから生成されたレスポンス・コードがサイトから返される。このレスポンスコードをインストーラーに入力しないとインストールが完了しない仕組みだ。
 このアルゴリズムは暗号化されていてそう簡単には突破できないためにずいぶんと普及したが、正規ユーザーにはネット環境が使えないとどうにもならないし、PCを買い換えたりするたびにレスポンスコードを請求しなければいけないという面倒くさいプロテクションだった。そしていつしかこのコピーガードもクラックされることになった。
 
究極のコピーガード
 いろいろ考えてきたPace社ももはや煮詰まってきたその頃、これしかないということで考え出されれたのがこのハードウエア・キー、iLokだ。当初はinterLokと呼ばれていた気がするが、いつしかこう呼ばれるようになった。このキーは登場から10年は経たないものの、それに近い年数が経過した今でもクラッキングされていない。というか、そもそもできない構造なのだ(2015年12月追記:iLok1はすでにセキュリティの脆弱性等の問題から廃止され、現在では販売されていない。新しいiLok2に関しては後述)。プログラムのことはよく分からないので素人の想像として聴いて欲しいが、どうやら例えこのiLokでガードされているソフトウエア自体に改造を施すことさえ容易にさせない仕組みがあるらしい。だからこそこのiLokは信頼され、普及してきた。
 iLokキー以外にもハードウエア・キーを作っているメーカーは何社かあるが、iLokは普及率で群を抜いているし、何よりキーを買って持っている人が多い。しかしメーカーにとってはライセンス料が高いらしく、ソフトウエアの原価に大きく跳ね返ってくる。つまり安物のソフトにはiLokは使えないのだ。
 
iLokの仕組み
 iLokはとてもよくできている。ライセンスをキーの中にダウンロードする方法にもいくつかあり、買った製品に付いてきたSIMカードのような小さなICチップをiLokキー本体に差し込んで登録させる方法もあったが、金がかかるせいか、最近の製品にこのチップを使っているものは全く見たことがない。
 最初から製品に登録済みのiLokが入っているものもある。iLok自体が買うと6000円くらいするものだから、このキーをあらかじめ製品に入れるとなるとそれなりに高級なソフトになる。通常はライセンスだけをインターネットからダウンロードする方法が一般的になっている。iLokはあらかじめ買って持ってろという方式だ。
(2014年7月追記)
 ilok2最近のiLokはキー自体がiLok2となり、形もコンパクトに変わった。登録できるライセンス数も118から500に増えたが、なぜiLokがiLok2になったかについてはこういう機能アップだけが理由ではない、と個人的には考えている。
 ひとつには以前のiLokは鍵の胴体に幅がありすぎることで、USBハブに挿すと隣のポートに挿したUSBメモリなどと干渉してしまうことが多かった。iLokはこの問題からジャックが縦に並んでいる、比較的珍しいタイプのハブを使う必要があり、これが一部のユーザーからは不評だった。
 そして本体に字の書き込めるエリアが出来たのは改良された点だろう。これもあればいいなとみんなが考えていたこと。そしてiLok2の改良点としてさり気なく書かれているのが「USBの接触部分を強化」したこと。具体的にどうなったかはわからないが、この記事を定期的に見に来る人がいるということはやはり接触部分の耐久性についてトラブルを起こしているユーザーが多かったのかもしれない。あとiLok2でないとライセンスがダウンロード出来ないプラグインがあるところを見ると、セキュリティ等の脆弱性を改良しているのかもしれない。



iLokの使い方

 まずiLokを使うには専用のドライバソフトをインストールしなければならない。ソフトは無料だ。次にiLokのサイトへアクセスし、ユーザーアカウントを作る。iLokをPCに挿しておき、そのキー自体もサイトに登録させて管理させる。iLokキーの中にはいくつものソフトのライセンスキーをダウンロードさせることができ、すべてこのサイトでライセンスの出し入れが行われるのだ。プラグインを買ったときにメーカーへこのアカウント名を知らせればメーカーがそこへライセンスを転送してくれるというわけ。
 
iLokが壊れた日
 で、僕はというと、iLok1キーをなんと5つも所有していた。5つともiLokのサイトに登録していて、iLokの中身は同じアカウントの中では自由にライセンスの移動ができるので、5つのうちの3つにライセンスを振り分けていた。残り2つは空の状態。
 困ったことにWaves社のライセンスだけは僕らに自由にさせてくれない特別な扱いになっている。ライセンスの移動ができないのだ。買ったときの登録方法も特殊で、iLokのサイトに行かずにWavesのオーソライザーを使ってiLokキーにライセンスをダウンロードさせられた。なんか非常に面倒くさい(現在のWavesの製品はユーザーに不便を与えるこの特殊なやり方を見直し、通常の方式になっている)。
 買うと50万円もするWavesのソフトはiLokに対しても不信感を当初持っていたのかもしれない。とにかく僕のWavesは一つ前のバージョンだ ったので一番最初に買って持っていたiLokに入れたまま、約6年間使い続けてきた。
 仕事柄iLokは持ち歩くことも多く、毎日のように抜き差ししては自前で作ったケースにしまって丁寧に扱ってきたが、さすがに6年経過したiLokはくたびれていて、接触部分も傷だらけになっていた。だからといってWavesのキーだけは動かすことができないのでどうすることもできず、その古いキーを使い続けることしかできなかったのだ。

 2014年7月追記:現在のWavesの製品はiLokを使わない独自のライセンス方法を採用するようになったため、iLokの話題にwavesは関係なくなってしまった。以下は読み物として読めるように残しておくが、基本的にiLokが壊れた場合はiLok社に連絡を取るだけで済むことになっている。

 そして「その日」がついにやってきた。キーが壊れたのだ。挿しても認識せず、ProToolsを立ち上げてもプラグインの読み込みでつまずいてしまう。ヤバい。これから仕事だというのに。
 壊れたその日はミックスで一人仕事だったので、とにかく自宅に帰って考えることにした。iLokサイトに行ってiLokキーを認識するかどうか試したが、やはり認識せず(現在は専用のソフト=ライセンスマネージャーで管理することになっている)。
 こんな時のためにPaceはゼロ・ダウンタイムというサービスを提供していた。これはキーが盗まれたり壊れたりしたとき、年間に30ドル払っておけば臨時の期間限定のキーを即発行してくれて、その間にキーの「修理」をしてくれるというもの。しかし僕はこれに入っていなかった。というのもWavesはv5までこのサービスの対象外だったからだ(当時はWavesだけはキーを分けるように推奨されていた)。例えキーが壊れてもWavesがすぐに使えなければ意味がないと思って申し込んでいなかったが、とにかく今はキーの中に入っている全てのライセンスがないと仕事ができないのだ。困った。まずは修理を依頼することにした。
 修理はゼロ・ダウンタイムに入っていない人でも、追加料金を払えば即臨時ライセンスを発行してくれる。背に腹は代えられない。これに申し込んだ。これに申し込んだ時点でWaves以外のソフトは全て使えるようになった。修理番号もサイトからゲットする。
 次はキーを修理に出すこと。Paceはカリフォルニアのサンホセにある。ここへ郵便局のEMSでキーを送った。
 そして次はWavesへ連絡だ。臨時のキーを発行してくれ〜!
 ネットで検索するとデジデザインのサイトに「Wavesの iLok破損に対する修理について」というのがあった(2016年10月追記:現在はないが、iLokの修理に関する日本語の情報はここからpdfで情報を得ることができる)。Wavesに送る英語のテンプレートもここにある。ここの情報は古いので前述のチャレンジ・レスポンス・コードの発行のことが書いてあるけど、これは無視していい。サポートリクエストのリンクも切れているし。でもテンプレは英語の苦手な人にはありがたい。
 ところがWavesのサポートセンターへの問い合わせはWUPというものに入っていなければできない。これは年間200ドル程度(僕のライセンスの場合)をWavesに払うとその間のバージョン・アップグレードは無料で、サポートも受けられるというもの。高い金を払ったWavesは買ってからも金がかかる。しかし僕は一番新しいバージョンに上げる必要がなかったのでここ2年以上WUPには入っていなかった。しかし今は入らなければどうしようもない。仕方なく200ドルをサイトで支払った。
 しかし返事はすぐに返ってくるはずもない。待っているまでの間、どうするかだ。そうだ、デモ版だ! 僕は新しいv6のデモ版のライセンスをiLokに請求した。これは自動的に行われるのでものの数分でライセンスが届いた(あとで気づいたがデモは2日で切れた)。
 とにかくこの時点で仕事ができるようになった。時間のロスだがまたスタジオに戻ってミックスを始めた。
 翌日Wavesから返事が来た。「臨時のライセンスはv5がいい? v6がいい?」だって。もうそんなのどっちでもいいから送ってくれ〜! そのメールの返事でまた1日ロスした。
 翌日。EMSはネット検索で荷物がどこまで届いているかチェックできる。僕のiLokはもうアメリカの空港まで届いていた。もう少しだ。頑張れ!
 Wavesからも連絡が届いた。「30日だけのライセンスを送ったよ」。やった。これで当分は大丈夫か。
 翌日。遂にPaceからメール。「壊れたキーの中身を確認したよ。ライセンスは再発行したからダウンロードしてくれ。それとWavesにも再発行の請求があると思うからよろしくってメールしといたよ。君からも連絡してくれ」。Pace、いい仕事してる。早速Wavesにもメール。
 その夜Wavesから返事。「ライセンスの再発行を送ったよ。ダウンロードしてね」。ところがiLokのサイトに行っても届いていない。「おい、届いてないじゃないか」メールで文句を言った。
  翌日。Wavesからまたメール。「はい送ったよ」。おい、謝れ(笑)。やっぱり送ってなかったらしく、ようやくiLokに届いた。やれやれ、これでもとの状態に戻った。
以上がiLokが壊れたときに起こったやりとりの全て。かかった金額は以下の通り。
(現在は料金や修理手続きが変わっている可能性があります)
Pace特急料金 100ドル
ゼロ・ダウンタイム 30ドル
ライセンス修理費 39.95ドル
EMS送料 1200円
Waves WUP加入料 200ドル
トラブルを避けるために:USBの抜き差しに耐えられる回数は1500回

  USBは簡単に抜き差しができる便利な規格だが、実はジャックとプラグにはどんなものにも抜き差しに耐久性がある。USB規格の公式なものだと1500回程度しか耐えられないということだ。意外と弱い。おそらく初期のiLokもこれくらいの耐久性しかなかった可能性もある。その後8倍の12500回まで耐えられるものが登場したが、iLok2にはこうした高耐久性の部品が使われているものと思われる。
 ただひとつ言えることは、トラブルを避けるためにもひんぱんにiLokを抜き差しして使う人はこの問題を真剣に考える必要がある。手っ取り早い方法は、10cm程度のUSB延長ケーブルに付けたままiLok2を使うことだ。抜き差しは延長ケーブルで行い、延長ケーブルとiLokは常に接続したまま持ち歩くようにする。
 もうひとつは、特に挿した瞬間に流れる異常電流、とりわけハブの電力不足によってiLok内の回路が壊れる危険性もある。USBハブに挿す時はなるだけバスパワーに気を使うべきだ(はっきりとはいえないが、これらしい問題でiLokを壊した人がいる)。
とにかくiLokが壊れると英語で何度もメールを送ったり、金を払ったり、大変だよってお話でした。
紛失・盗難の場合
キーをパソコンごと盗まれた、なんていう人もいるかもしれない。車上荒らしにあったミュージシャンが機材車を盗まれて大事なライセンスキーを持って行かれた話は聞いたことがある。都内のライブハウスの楽屋にも楽屋荒らしが写った防犯カメラの写真を壁に貼り付けてあることがあるくらい、音楽の世界も盗難の被害の対象なのだ。知り合いのアーティストで海外の空港に預けた荷物がどこかに行ってライセンスキーを失った人がいた。海外は日本よりもっとそういうトラブルも多いのかもしれない。または酔っ払ってかばんごとどっかに置き忘れてきたが出てこないという事態も結構あるパターン。
 iLokキーの紛失・盗難ももライセンスの再発行で手続きできるが、ここでダウンロードできる手続きを説明したpdfによると、Paceで手続きしたあと、キーの再発行事態は各メーカーに個別に依頼しなければいけないようだ。

iTunesのエンコードで最適な設定は?

 iTunesのエンコードの設定、とりわけAACを選ぶべきかmp3を選ぶべきかについて書かれているサイトを検索すると結構あるんですね。みなさんいろいろ実験をされているようです。
 あるサイトでは実際にソフトウエアで計測した周波数のグラフをもとにどちらがいいかみたいな事をやっておられて、科学的な結論を出しています。
 ただ、それ自体を批判する訳ではないのですが、所詮音楽というものは人間の耳の感覚に心地いいか悪いかであって、周波数特性がいいか悪いかではないという事は、長年サウンドエンジニアをやってきて思うところです。どう考えてもスペックの低い機材の方が音がよく聞こえる事もありますし、やっぱり高い機材は違うなと思う事もあります。結局耳で判断するしかない訳です。
 そういいつつも長年僕はストリーミング・オーディオの世界に深く足を踏み入れないまま今まで来てしまい、どのエンコードが優れているかという話は人の噂や先ほど話をしたサイトなどの情報をほぼ鵜呑みにしていて、いうなれば適当にやってきたわけです。そこで今回実際に自分で試聴テストをやってみましたのでみなさんに報告したいと思います。意外な結果が出ましたよ!

 まず実験方法として、 MacBook Core2Duo 2.4GHzでiTunes 8.0.2を使い、CDから同じ曲をAAC / mp3でそれぞれ128kbps、192kbps(計4種)の設定で取り込んで、そのファイルをiTunesで再生して聴き比べました。音はMacからそこそこいいオーディオ装置へラインで出してモニターしました。
試聴に使った曲はDepeche Modeのアルバム”Playing The Angel”に収録されている”A Pain That I’m Used”で、これはメローなAメロとガツンと来るサビからできていてダイナミックレンジの感じを見るのにももってこいでした。じゃいよいよレポート。

AAC / mp3 128kbpsでの試聴比較
 これはかなり明らかな差が出ました。結論から言うとほとんどの人がmp3の勝ちというでしょうね。AACではハイはmp3よりも出ている成分があり、ハイハットなどがちゃんと聞こえますが、同時に低音も引っ込み、ボーカルも小さく聞こえるため、ハイ上がりながらもやや地味に聞こえました。またAACは広がりを重視した感じでmp3は真ん中にちょっと定位が寄った印象があるのですが、どちらにしてもこの品質では位相がかなり乱れた感じに聞こえますので広がっているAACのほうが逆にへんな部分が強調されて心地よくないのです。
 ハードウエア的なスペックで見るとこのビットレートではmp3のほうが高域がのびているという報告がありますが、聴いた印象ではAACのほうがハイが若干強調されて聞こえます。ただハイミッドが引っ込んでいるのでフラットな印象がAACにはなく、素直さに欠けます。あとAACは静かな音になるとずいぶんおとなしい音になってしまいました。つまりAACは全体的に地味です。

AAC / mp3 192kbpsでの試聴比較
 128kbpsに比べると2つの差は随分小さくなりました。そこそこ耳に自信のある人でないと聞き分けられないかもしれません。しかしシビアなレベルでそれを言うなら、はっきりとした差が出ました。
 AACは128kbpsの時にあったような低音の引っ込み感がなくなりますね。不思議な事に。全体的にフラットな印象です。ただ全体的にはmp3に比べると地味。mp3はサビのガツンとくる感じがちゃんと出るのですが、AACはのっぺりとした地味な印象が拭えません。おとなしいAメロはより暗い印象が出るものの悪くはありません、しかしサビにきても上がりきらずに終わる印象があります。表現が地味なんですね。mp3もAACも定位感もそこそこ再現されているのですが、やっぱり特有のざらつきは若干あります。
 クラシックのようなソースで試せばAAC 192kbpsはありかもしれませんが、オリジナルのCDの音質の印象を崩さないのはmp3のほうでした。

結論。iTunesでは128でも192でもAACよりmp3のほうが好印象ということになりました。192ならAACもありですが、明るいソースでは落ちた感じになると思います。
それと128と192の差ですが、思ったほど違いはないんですね。もっと差が出ると思ってましたが、音質にさほどこだわりがないなら128もありかなと思いました。だらだらと長文を書きつつも、これって聴き比べないと気にならないくらいの違いしかないな、と感じているのも事実です。ただ僕は、まるでスーパーの新鮮なマグロの刺身に防腐剤の匂いが付いてしまったような感覚をmp3に感じてしまうのです。どんなにオリジナルに近いと言われても、ほんんの少しだけ付いてしまった「デジタル臭さ」がどこまでもぬぐい去れず、結局それが気になって落ち着いてお刺身が食べられないのです。それは流し聴きなら僕でもまったく問題ないレベルですが、そこは音楽を聴くスタイルによって判断が分かれてくるかなと思います。とりあえず僕と同じような人はなるべくもっとハイビットレートでエンコードしておくべきだと思います。

以上の結果は僕の耳で確かめた印象ですので、実験の状況次第では少し違う結果が出る事もあり得ます。ただ当面はmp3でやってみようという方向性が自分自身で確かめる事ができたので僕的には意味のある実験になりました。みなさんにも参考になれば幸いです。

KB Covers for Pro Tools

kbcover.jpg 
ちょっと前にMacBookを買ってポータブルなPro Tools環境を手に入れていたのですが、ショートカットがキーボードに書いてあったらいいのになと思って探してみるとこんなにいいものがありました。今月に入ってJISバージョンが出たので買っちゃいました。Pro Tools用のショートカットが消えにくい印刷でシリコンのゴムに書いてあるキーボードカバーです。汚れも防げるし、しっとりとキーに張り付いている感じで、タッチ感も損なっていません。結構いいですよ。

【初級編】ProToolsってそんなにいい?

※2016年5月4日 記事が古くなったので全面的に書き換えました!

 最近の自宅録音はパソコン+DAWソフトというのが主流になっていますが、どれにするべきか悩んでいる人は多いんじゃないでしょうか。マックの場合、買ったときから付いてくるGarage Bandは簡単でよくできていますので、複雑なことをやらなければ他に投資することはないのですが、例えば身近に詳しい人がいる場合、たとえソフトの使い方が難しくてもその人が使っているものと同じソフトを使う方がいろいろ質問することができるので初心者にとってはメリットは大きいです。
 そういう便利な人が身近にいない方は自力でなんとかシステムを作らなければ行けないのですが、これはわりと敷居の高い作業です。そんな人に僕がすすめたいのはPro Toolsです。

各ソフトのメリット、デメリット
 Pro Toolsの話に行く前に、近年話題になっているDAWソフトの特徴をプロのエンジニアの視点からわかりやすく説明したいと思います。

Ableton Live

 live-sessionAbleton Liveは後発ということもあってユニークな機能を搭載している人気のソフトです。外部コントローラーとの連携や、最近ではiPadとの同期などにも力を入れており、名前通りライブで使用するのにも面白い機能が充実しています。ほとんどの操作をプレイバックを止めずにやれることや、テンポを自由に合わせたり変更したりが簡単にできるほか、「クリップ」と呼ばれる単位でアレンジを自由に組めることからダンスミュージックをやっている人に人気があります。
 作曲という点で言えば便利で申し分ないソフトですが、録音したオーディオを細かく編集していくような作業は機能も少なく正直やりづらい面が多いです。再生する音も以前よりはかなり良くなりましたが、まだまだいけるんじゃないかという気もしますし、標準で付いてくるEQやコンプなどのプラグインの音質・操作性にはクセのあるものが多いです。ただPushやLaunch Padを使ったプレイをしたいならこれ以外の選択肢はないと思うのでそういう方にオススメできます。

Steinberg Cubase Pro

Cubase とても歴史のあるソフトで機能も充実しており、音質も良く、使い易いです。プロの現場でも使っている人を多く見かけます。以前はダンスミュージックを作っている人が使っているイメージでしたが、最近は他の機能が充実してそうでもありません。
 もし一からシステムを組むつもりでCubaseを使うならコンピュータはMacよりWindowsの方がオススメです。CubaseのMac版ももちろんありますが、Windows版の方が安定しているという人は多いです。

Apple Logic Pro XLogic Pro

 これも歴史の古いソフトですが、なんといってもメリットはソフトの値段が安いこと。値段の割に最初から付いてくるライブラリが充実しているので、シンセなどの音源を全く持っていない人でもこのソフトを購入するだけで一式揃ってしまうという優れものです。Garagebandと操作性が共通しているのでGaragebandからの乗り換えも簡単です。デメリットはWindows版がないこと。案外バグが多いというユーザーの声も聞こえますが、細かいことをやらなければそんなことは気にならないでしょう。
 オーディオの編集は随分やりやすくなりましたが、そこそこ。MIDIはCubaseと並んで定評があります。

MOTU Digital Performer

DP

 Cubase、Logicと並んで昔からあるソフトで、使いやすさには定評があります。しかし最近あまり使っている人を見ません。使っている人は昔からこのソフトを使っているという人が多いです。悪くない選択肢だとは思いますが、あえてこれを選ぶというメリットも個人的にはあまり感じませんが、MIDIとかは使いやすし、ユーザーインターフェイスも新しくなり全体的にブラッシュアップしてきている感はあります。新しいバージョンはバンドルするプラグインも増えました。見た目もPro Toolsばりに見やすくなっています。安定性はどうなんでしょう? 最近の情報は実はあまりよく知りません。

Presonus Studio OneStudio One

 比較的新しいソフトですが、「音がいい」という評判があちこちから聞こえてきます。
使い方もわかりやすい方で、MacBookのような小さな画面のパソコンでも表示のカスタマイズが充実しているのであまり困りません。デザインもいいです。最初から付いてくるプラグインの質も非常にいいですがLogicほど数はないです。一般的な知名度はまだまだ低いですが総合的に見ると選択肢候補として不足はありません。僕も使っていますが、いいソフトだと思います。

このように、最近ではどのDAWソフトもそれなりにいいものに仕上がってきています。

Avid Pro Toolsのメリット・デメリットProTools

オーディオの編集

 もともとオーディオ・レコーディングから始まったようなソフトですので、オーディオの編集に関しては他のソフトの追随を許さないくらい簡単かつ多機能です。
 例えばボーカルを録音して、いろんなテイクからいい部分をつなぎ合わせ、場所によってはタイミングのズレを調整してつなぎ目を目立たないように修正していく、というような作業はやったことのある人なら分かると思いますが、かなり面倒くさいものです。こう言う事を早いスピードでできます。
 テイク1をキープして裏にとっておき、テイク2、テイク3を録音…というふうにテイクを重ねて全テイクをキープしておく作業も簡単。あとはテイクを全部オモテに出して一つずつプレイバックし、いいところだけをOKテイクトラックにコピーしていく…というような作業が非常にやりやすく、ドラムのようなマルチチャンネルで録音した楽器でもグループを組んでまとめて同じようにテイクのつなぎ変えができます。
 あとはタイミングを修正する際に使う「ナッジ」。キーボードのキー操作で波形のタイミングを前後に動かす作業ですが、これもPro Toolsの得意技です。キーを1つ押した際に移動する単位を音符/秒/サンプル/タイムコード/フレームに変更できるほか、その量も自由に数値変更できます。表示は小節単位だけどナッジは秒単位で、なんてことができますが、ここまで自由なナッジのできるソフトはなかなかありません。クリップの位置は移動せずに中身の波形だけ動かすなんてこともできます。
 クロスフェードも1キーでできます。トラック全体を選んですべての切れ目に一発でクロスフェードを入れることもできます。既存のクロスフェードはそのままにして、入ってないところだけ現在のフェードを入れる、みたいなこともでき、とにかくプロの現場で培われてきた「こんな機能あったら便利なのに」を次々と搭載してきて現在に至ってます。
 あとよく使う機能のほとんどが画面に見えているということがわかりやすさの要因でしょうか。裏に隠れていたりするものが極力少なくなるようにできてます。
 インサートされているプラグインもどこに何が刺さっているのか全部のチャンネルを1つの画面でいっぺんに見渡せます。センドの送り方もメーター付きで見られます。トラックを選択するまでは中でどんな処理されている見えないソフトもたくさんある中でこれは便利です。プラグインの一覧は波形の編集画面にも出せるので、この1画面でほぼすべての作業を済ますこともできます。

MIDI編集機能

 MIDIが弱いといろいろ言われてきましたが、現行バージョンではさほど困りません。LogicやCubaseほどではないにしても、結構使いやすいです。

安定性

 バグもないわけではないのですが、比較的安定した動作をします。これはスペックに出てこない要素ですが、落ちたりすることが比較的少ないソフトと言っていいと思います。やはりプロの現場で使われていることも大きいでしょうね。バグも早いペースで修正される方だと思います。ちょっと前のバージョンは評判が良くなかったですが、現在のものは信頼性も高いです。
 最新バージョンでは音もさらによくなり、動作が軽くなりました。一昔前のバージョンと比べると同じ処理をやらせても余裕があります。

プラグイン

 最大のデメリットだと思いますが、まずAU、VSTといった一般的なプラグインが全部使えません。使えるのはAAXというAVID独自フォーマットのプラグインだけです。市販のプラグインの多くがAAXに対応しているので購入するには問題ありませんが、なかにはAAX版を出していないものもあるので注意が必要です。また標準で付いてくるプラグインの精度が高いですが種類自体はそんなに充実していません。ミックスとかやる人はいろいろ買いたくなると思います。それとプロ用バージョンではない通常の製品ではトラックが32までしか作れず、ちょっと込み入ったアレンジの曲ではトラックが足りなくなるかもしれません。

互換性

OMF、AAFといった汎用フォーマットでの書き出し、読み込みができるので、他社ソフトで作ったデータをある程度受け取れるできるようになっているのですが、これではプラグインの設定などは受継ぎません。
そもそもAbleton LiveなどではOMF、AAFが扱えないので、LiveのセッションデータをそのままPro Toolsに持ってくることなどはできません。
 一般的にプロの現場ではもう面倒くさいのでセッションの頭から各トラックを書き出して外に持ち出すというのが一般的になっているのでOMFやAAFでも受け渡しテクニックを身につけている人はプロでも多くはありません。
AA TranslatorというソフトでDAWソフトごとの変換をするテクニックもありますが、これはWIndowsバージョンのみとなります。

オフラインバウンス

 かつてのPro Toolsのバージョンではプラグインの仕様の問題でリアルタイムバウンスしかできず、例えば2時間のライブ録音のミックスなどはマスターを書き出すのに2時間かかっていました。他社ソフトがオフラインバウンス(倍速的なマスター制作)ができるのにPro Toolsでできないのが最大のデメリットでしたが、従来のプラグインの仕様を捨て、新たなAAXフォーマットに乗り換えたことで可能になりました。ようやくって感じですが。そしてそのせいで過去のプラグインをすべて新しくする必要があります。Wavesなどの大手プラグインメーカーは既に古いフォーマットをサポートしていませんのでこうなるのは時間の問題だったのですが。ついでにプラグインをかけ録りして外すことも簡単にできるようになりました。

 しかし商業的なレコーディング・スタジオの大半が Pro Toolsを使っているのでデータをそのまま家に持って帰ってエディットができるメリットは大きいですが、そういう作業しない人にとってはあまりメリットはないかも。

 


付録:オーディオ・インターフェイスは必要か?

 現在のDAWソフトはPro Toolsも含めてオーディオ・インターフェイスがなくてもパソコンから音を出して作業できるので基本的にはソフトさえあれば使えますが、そういう使い方では幾つか問題になることがあります。

レイテンシーの問題

コンピュータで音楽を作る上で避けて通れない問題がレイテンシー、つまり音の遅延です。コンピューターの中の音源ソフトで音楽を作るだけなら問題になりませんが、歌や楽器などを録音する上ではいかにレイテンシーを低く抑えるかが課題になってきます。しかしそもそもパソコン内蔵のオーディオ装置にはそういうリアルタイム性を考慮されていないので、そこそこ音が遅れます。専用のオーディオ・インターフェイスはその辺りうまく考えられていて、高級な装置ほどレイテンシーもない、というのが一般的です。ただいいオーディオ・インターフェイスを買ったとしてもレイテンシーは問題になることがあるのでなるだけ遅れないやつを買うべきでしょう。

入出力数の問題

通常パソコンは入出力がステレオの2chのみです。エディットだけならそれでも問題ありませんが、本当に自分がそれでいけるのかは考えて方がいいでしょう。

音質の問題

内蔵機能と専用オーディオインターフェイスでは音質が随分違います。Appleはそこそこいい音が出るものもありますが、違いは結構大きいと思っていいと思います。2万円と10万円のインターフェイスでも笑っちゃうくらいの違いがあったりしますので、インターフェイス選びは重要です。

 

データのバックアップ

たまったデータ、焼いてますか?


 DAWで音楽を制作した場合、マスターテープはそのセッションファイルと言うことになります。ちょっとしたトラックを重ねていけば1曲のサイズが3GBくらいいっちゃうことなんてよくある話で、ドラムとか録音すれば10GBなんてことにもなりかねません。最近のハードディスクは最低でも320GBくらいはありますが、100曲でいっぱいになるとなればさほど大きなサイズとも言えないのではないでしょうか。
 そこでもう使わないけど保存しておきたいデータは徐々にバックアップしてハードディスクから消していくという作業になりますが、みなさんはどうしているでしょうか?

ハードディスク


 バックアップなんてとらずにハードディスクが一杯になったら新しいハードディスクを買う! そんな人は結構多いです。最近のドライブは一昔前から比べると格段に信頼性も上がっていて、そのまま置いていても壊れることは少なくなりました。価格も安くなり、メガバイトあたりのコストは一番安いのが何を隠そうハードディスクです。でも飛んだ時はデータが全滅するリスクを背負っています。これはある意味賭けです。

DVD-R


 ごく一般的なのはDVD-Rに残すという方法です。4.7GBで100円もしないし、ドライブもMacやPCに付いているか、あとから買っても1万円台。書き込みも速い。これは使えるメディアです。
 しかし欠点もあります。まず長期保存に不安が残ること。もともと光に反応する有機的な色素がベースになっているため、光学メディアは保存の仕方が悪ければどんどん劣化していきます。たいしたデータじゃなければ問題ありませんが、確実に保存する方法としては心許ないメディアかもしれません。
 もう一つは大きさ。「1枚に4.7GBも入る」という言い方もできますが、「4.7GBしか入らない」という言い方もできます。1枚に数曲分のセッションしか入りませんのでアルバム1枚分を1枚に納めるのは無理で、データを複数枚に渡らせる上、DVD-Rが100枚にもなると結構な量になります。増えれば今度は欲しいデータを探すのに苦労します。

DDS


 データ専用の4mmDATテープカートリッジを使い、データをバックアップする規格で、DDS専用のドライブが必要になります。メディアの見た目はDATと全く同じなためコンパクトで比較的大容量のデータを収納できます。歴史も古く、磁気テープというメディアの性質に不安を持たれる方も多いかも知れませんが、案外安定していてDVD-Rなんかよりもむしろ信用できると思います。
 DDSには容量の小さい方からDDS1,DDS2,DDS3,DDS4,DDS5,DDS6と6種類あり、ドライブは上位互換になっていて、カートリッジの種類がそれぞれ違います(見た目は同じ)。
 問題はドライブ本体のコストで、DDS6のドライブを新品で買うと15万円とかしちゃいます。もともとサーバーで使われる業務用の規格なのでそうなっているのですが、実は中古になるととたんに安くなります。ネットオークションではDDS4の中古外付ドライブが6000円くらいです。世の中的には既に時代遅れと言われているDDS4ですが、僕はドライブとメディアのコストパフォーマンス(CP)からDDS4が今でも大本命だと思っています。メディア1本で20GB(非圧縮)とれて価格は安ければ800円くらい(カメラ量販店だと1300円くらい)。DDS5はメディアの価格はが倍ですが、容量は倍とはならず、36GB程度。ドライブは外付けの中古で15000円前後といったところでしょうか。DDS6は正直なところ、音楽で使うにはCP面からも躊躇します。
 難点はDDSドライブの接続フォーマットが基本的にSCSIだけだということです。最近USB2.0で動作するものも発売されましたが、中古では出回らないので実質的に使えません。今でもSCSIカードをPCに差している人なら問題はないでしょうが、今時SCSIを好きこのんで使う理由もほとんどなくなってきました。そこでSCSIをFireWireに変換してみようとする僕の試みについてちょっと書かせてください。

DDSでバックアップを取る方法(FireWire / IEEE1394編)


 日本のラトック社が出しているFireRex1は僕の知る限り唯一の、UltraSCSI機器をFireWire接続させてくれる変換器です。発売から何年も経ちますがまだまだ現行機種で、古いSCSI機器を現代のMacやPCで動かすためにはなくてはならない装置です。
 これを使えばDDSドライブをSCSIのないMacintosh G4などで動作させることが可能ではないかということで、最近うちでもテストを始めました。
 基本的にDDS3までは50pinですが、DDS4以上は68pinのUltraWideSCSI仕様です。SCSIも上位互換規格のため、68pinを50pinに変換するアダプタさえあればUltraSCSI対応のFireRex1を使うことはできるはずです。
 しかしFireRex1を使うにはまずドライブが対応しているかどうか確認が必要です。対応表に乗ってない機種はだめかというとそういうわけでもなさそうですが、後述するとおり、何かときをつけなければならないこともあります。
 まずOSXもWIndowsXPでさえもOSでDDSドライブをサポートしていないため、ドライブを動かすためのソフトが必要です。Windowsではいくつか選択肢がありますが、Macだと選択肢はぐっと狭まります。事実上EMC Retrospect Backup 6.1が標準で、ラトックのサポートの方から教えてもらったBRU LE(ブルLE)for Mac OSXという手が若干残されている程度です。
 Retrospectは対応ドライブが非常に多く、インターフェイスも洗練されていますので何も問題が起きなければオススメできるソフトです。差分バックアップができるので、バックアップ後にセッションファイルに手を加えてオーディオトラックが増えたとしても、再度同じテープにバックアップすれば、増えたり変更した分だけバックアップしてくれます。
 BRU LEは若干価格が高く、インターフェイスもMacらしくないのですが、操作は簡単です(デモ版でしか使ったことがない)。
 DDSのもう一ついいところは、DVD-Rと違ってメディアの交換回数が少なくてすむので夜中に回しっぱなしで寝ることができるということです。バックアップが終了するとコンピュータを終了させることもソフトでできます。DDS4でだいたい120〜140MB/分くらいのスピードでバックアップがとれますので検証なしなら1本3時間程度。スピードの面ではDVD-Rに劣っているでしょうけど、ほったらかしにできるというのは魅力じゃありませんか?
 ちなみにDDS4はドライブ本体にファイルを圧縮するハードウエアエンジンを搭載していますが、本来であればこの機能を使うとファイルサイズが半分になり、1本に40GB分を記録できます。しかし残念なことにオーディオファイルはデータの性質上圧縮しても殆ど小さくならず、20GBのままです。
 話は戻ってFireRex1ですが、僕のテストでは時々不安定になることがあり、その問題の大半がFireWire400と800の混在であったことが判明しました(前日の記事を参照)。SCSIを使った方が安定しているようではありますが、FireWireでのテストもさらに重ねてまた報告したいと思います。

LTO(Ultrium)


 DDS4を中古で買えという話ついでにいうと、もうひとつ気になる規格があります。Ultrium(ウルトリウム)という名前で呼ばれている、これまたサーバーのバックアップ専用マシンの規格です。LTO1、LTO2、LTO3、LTO4とあるのですが、一昔前のLTO2でも1本のメディアに非圧縮で200GBも入り、メディアの価格も5000円程度です(LTO3なら400GBで1万円程度のカートリッジが使えます)。ランニングコストはDDS4やDVD-Rより上です。専用のテープカートリッジを使いますが、信頼性も非常に高く、安心してバックアップできます。
 問題はドライブが高いことです。しかしLTO2なら既に十分「型落ち」ですので、外付けドライブでも運が良ければ3万円程度で買える可能性もあります。ただしまたこれもSCSIなんです。DDS同様対策が必要です。ちなみにRetrospectはUltriumドライブにもかなり対応しています。興味があったら調べてみてください。

Blu-Ray


 最近DVD-HDに勝利したBlu-Rayですが、ドライブの価格が安い物で4〜5万円、メディアが1層で25GB記録でき、量販店で1500円程度です。ドライブがやや高めですが、ランニングコストはDDS4とさほど変わらず、ドライブの価格が下がってくればDDS4よりCPが高くなることは必至です。

以上、長々とバックアップのフォーマットについてふれてみましたが、なにげにDDS4は安くていいなというのが今のところの僕の結論です。ですが、1年もしない間に事態が変わる可能性はあります。それがこのバックアップ業界の宿命なのです。

FireWire 400と800の混在は鬼門

定番のハードディスク


Lacie d2 FireWireという言い方はMacだけでして、PCユーザーの方々はIEEE1394という名前で知られていると思いますが、MacはどういうわけかUSB2.0よりもFireWireをプッシュしてきた経緯があり、音楽の世界でもFireWireがよく使われています。
 中でも音楽クリエイター達の中で定番となっているのはLacieのd2というハードディスクでしょうか。筐体がアルミ製で放熱性・耐久性も高く、FireWire以外にもUSB2.0やSATAでつなげられる機種もあり、転送スピードも速いのでよく使っている方を見ます。
 値段は他社のものよりちょい高ですが、FireWire対応の製品がどんどん少なくなっていく中でLacieだけがFireWireに力を入れているのはとてもありがたく、何よりデザインにこだわっているのが購買意欲をそそられます。
 ただ、中のドライブ自体は他社でも使われている平凡なもので、そこの信頼性はLacieも含めてどこのメーカーも似たり寄ったりです。ACアダプターも大きく、持ち運びには向いていませんし、そのACアダプタを頻繁に抜き差しする使い方にはコネクタの耐久性に若干問題があり、特に一昔前のd2は電源コネクタ基板とコントローラー基板をつなぐ箇所が貧弱でハンダ浮きがよく起こりました。
 それでもみんながLacieにこだわりつづけたのは見た目の良さと(ミュージシャンはこれ重要)スピードだと思います。

オーディオ・インターフェイスとの併用


 最近のMacにはFireWire800のポートがあるため、Lacieを800で、オーディオ・インターフェイスを400で接続している人って結構いるんじゃないでしょうか。800のほうが速度が速いし、トラックが増えてくるとオーディオ・インターフェイスもFireWireだとトラフィックが混雑しそうだから分散させる意味でそうしている…そう考える気持ちはよーく分かりますが、実はそれがとんだ間違いだと言うことに最近僕は気づきました。
 FireWire400と800の混在はかえってスピードを鈍らせているのです!
 この事実に気づいたのは後日ここで書こうと思っているデータのバックアップ作業の時だったのですが、明らかにこの混在はスピードに影響したばかりか、あらゆる問題を起こすことが分かりました。
 オーディオ・インターフェイスの大手M-Audioでは400と800の混在はオーディオにノイズが乗るからやめろと警告しています。
このことはM-AUdioの関連会社でもあるデジデザインのサイトでも公開されています
 なんでも400と800はMacの中でバスを共有しているらしく、どちらかに統一しないとかえってトラブルや速度の低下を起こすのだそうです。

ケーブルで音が変わる


「またか」と言われてしまいそうですが、オーディオ・インターフェイスを接続するために使われているFireWireケーブルの品質で音質はやはり変わるようです。まだ僕自身がはっきりと試したわけではないのですが、それは容易に想像できます。
 そこで何がいいのか、いろいろ情報を探ってみましたが、音質のことを考えたFireWireケーブルなんて実は殆どありません。
 その中で注目すべきなのがMonster CableのPro FireLink Cable
価格が半分くらいのローコスト版もありますが、それならEdirolのCFW-66シリーズも○。使ったことありませんが、シールドは2重で、結構よさそうです。
 もう少々予算の出せる方なら秋葉原の小さなお店、平方電気さんがハンドメイドで作ってらっしゃるケーブルもあります。ケーブル自体はBeldenということですが、型番は不明です。
 究極ではFine FocusのFFC-2601とか。値段見てびっくりすると思いますけど。

 最後にオーディオ・インターフェイスをバス・パワーで動かしている方はぜひACアダプターでの使用と音質を比べてみてください。FireWireやUSBのバスパワーはあまりにも貧弱な電源です。きっとACアダプターのほうが音質がいいはずです。

Korg SDD-3000のコンデンサー交換

SDD-3000
 僕の愛用ディレイKorg SDD-3000は1983年生まれと、もしかしたらここを読んでいくださっている方よりも年上かもしれない老人マシンです。
 入手したときにはもう殆ど死にかけといった感じで、殆どのボタンはまともに動かず、つまみというつまみがガリっていて、しかも大量の残留ノイズを発生する殺人マシンでした。
しかしこいつのサウンドがなんとも味があって、決してプラグインなんかでは出ない、独特の歪み感と存在感があるのです。なんとかこいつを復活できないものかと数年にわたってボチボチと手を加えてきました。今では75%くらいの体力まで回復してきましたのでちょっとここでその経緯を報告したいと思います。

 まず最初に問題だったのはディレイタイムを変更するためなどに使われている四角いタクトスイッチです。これが完全にダメになっているものもあって、なんとか新品に交換しようとしました。
 分解して調べてみると、スイッチ自体はアルプス社製の汎用部品であることが判明。カタログから調べると今でも製造されている部品だと言うことが分かりましたが、秋葉原を探しても全然見あたりません。しょうがないのでこれはメーカーから直販で買いました。

 次がプログラムメモリ用の基板取り付け型ニッカド電池。これは付いていた物が完全にアウトな状態で、基板に半田付けされていたのですが液漏れして腐っていました。これを取り外し、同じ規格のバッテリーをいろいろ捜しました。これはなんとか秋葉原のバッテリー専門店でゲット。
 そして最近になって、ノイズとヌケの悪さがどうにも我慢できず、意を決してコンデンサーを交換してみることに。また分解して基板に付いている電解コンデンサー(かなり安物が付いている)の側面の数値と個数をすべてチェックして秋葉原へ買いに行きました。
 とりあえず今回はどうせ付け替えるならと、オーディオ用のハイグレードなコンデンサー(つってもニチコンMUSEですけど)に統一。いやーこれは激変しました! もうノイズなんてまったくでなくなりましたよ。ヌケも非常にいい! 新品のときはきっとこんな音だったんだろうな…。
 実はコンデンサーは音に関係しそうな部分しかまだ付け終わっていないのですが、本体の下にももう一枚基板が隠れていることが分かって(おそらくデジタル回路用基板)、こいつもそのうち交換しようと思います。
 電解コンデンサーというパーツは10数年もたつと中の薬品が抜けて容量が変わったり音質に影響してくるというとても寿命の短いもので、古いオーディオ装置はたいていこれの故障で使えなくなってしまうわけです。ですから今回みたいに付け替えれば音も良くなったりしてまた使えるようになっちゃうわけですね。

参考情報
SDD-3000、SDD-2000等に使われているタクトスイッチの型番(アルプス社製)
  • LEDなしのもの:SKECAFA010
  • LEDあり:SKECFKA010
  • ※トップカバーはアルプス製のものは使えません。もとから付いているものを流用しましょう。
    参考サイト
    SLEMMONS 資料
    sdd3000_owners_manual.pdf

    デジタルケーブルの重要性

    ワードクロックケーブルを変えてみた。



     こないだ何気なくProToolsに使っていたワードクロックとスーパークロックのケーブルを前から持っていた違うケーブルに差し替えてみたら音が変わることにふと気がつきました。デジタルケーブルも変えれば音が変わるという話は前々から聴いてはいましたが、正直なところ今までそんなに気にしていなかったというのが現状で、アナログ・オーディオのケーブルはとっかえひっかえしているけど、デジタルのケーブル、とりわけワードクロックのケーブルなんてどうなんだろう?とまあ結構そういう感じでいました。
     いろいろ調べてみると、ワードクロックのケーブルはオヤイデ製のもので結構良さげなものが売られていましたが、長さを自由に設定してみたかったのと、切り売りの方が安上がりということで、自作に踏み切りました。


    OYAIDE FTVS-510


    オヤイデ電気は秋葉原が世界に誇る電線の店で、世のケーブルマニアたちが足しげく通う聖地として有名ですが(笑)このお店のオリジナル開発商品のひとつがこのFTVS-510です。99.9995%という、非常に純度の高い特殊な精錬方法で作った純銀製の導体を使用していて、お値段はなんと1メートル4200円! 100円ショップでラジオのイアホンとか買っている人が聞いたらアタマがおかしいんじゃないかというくらい高いですが、オーディオのケーブルとしてみれば、まあこんなもんでしょう。銀だからしょうがないですよ(涙)。
     それプラス、ワードクロックでおなじみのBNCコネクターはFurutech製で、いわゆるブランドものを選びました。バッグでいえばCoachぐらいのかんじかな。こぎれいな売り子さんが上品にお客を待ち構えているくらいのコネクターですよ。錆びないロジウムという希少金属でメッキされたやつで、2個セットで2500円くらい…。ほんと、アタマおかしいでしょ? でも買いましたよ。絶縁体も高級なテフロンですよ。金かかってます。世の中には何十万円もする電源ケーブルがあることを考えればこんなのヒヨコみたいなもんです。
     で、ケーブル加工に必要な道具とかは家でこういうことをしょっちゅうやっているせいでいろいろ揃っていますからそれは問題ないとして、加工してみた結果ですが、やっぱり高いケーブルは違います。作りがとても繊細。編み込みの美しさもさることながらとてもしっかりとできている印象でした。
     そこで使ってみた結果ですが、たしかに違う! ….でもうーん、なんかこんなものかな、というのが最初の感想。噂通り音が明るくなった気がしました。デジタルなのになんでだろう? でもお金をかけたほどじゃないな、と思いました。
     それからたつこと数日、何回か使ってきてふと思ったのです「あれエージングかな?」と。
     なんかだんだん音がしまってくると言うかなんかどんどん音が良くなってくるんですよ。これは間違いなくエージング効果ですよ。
     「アンチエージング」なんていう言葉があるくらい、人間にとってエージングはありがたいものではありませんが、オーディオ機器、特にヘッドホンなんかは買ったばかりの頃は堅い音なのに、使っているうちにだんだん本来のあるべき音が出るようになっていくわけです。これがエージングです。ヘッドホンのようにまでは変わりませんが、電源ケーブルやオーディオのケーブルにもエージングの効果があることはマニアの間では一般的に知られています。それがデジタルのクロックを流すケーブルにもあるというのはまさに驚きです。それが顕著に現れてきたのがここ何日かで、やっぱり前と違っている気がします。もちろんうちは集合住宅なので使う時間帯によって電源環境が変わり、音も違うのですが、以前よりいい感じになっているのは間違いないと思います。
     ちょっと嬉しくなってブログで誰かに言いたかった! ただそれだけなんですけどね。