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VCA

Voltage Controlled Amplifier

 VCAはこれまで話したモジュールの中で一番地味な存在です。というのも、ご覧の通り、設定するものがほとんどありません。が、これなしでは音が出ないと言う必要不可欠なモジュールです。
VCAは「音量」の調整をするものですが、これはステレオ・コンポのアンプに付いているボリュームつまみのように、音の大きさを調整するためだけのものではありません。
 VCAがステレオのアンプと最も違う点、それはVoltage Controlled(=電圧で制御されている)であるという点です。つまみを手で回す代わりに、いろいろな電圧でその音量を変化させることができるのです。
 まず音づくりの上で、音量変化を考えなければならないことを思い出してみてください。音というものは発した瞬間から鳴り終わるまで、音量が一定であるとは限りません。むしろ、自然界のほとんどの音は一定でない場合の方が普通でしょう。そこで、シンセサイザーでその音量変化を考える場合、発音のタイミングで変化を付ける必要があるでしょう。たとえば鍵盤を押した瞬間は急激に音が大きくなり、鍵盤を押しているとだんだん小さくなる。そして鍵盤を離すと少しだけ余韻が残る...などです。こういった音量の動きをVCAにこなしてほしいと考えるのはシンセサイザーを設計する上でごく自然な成り行きだったはずです。 しかしそのような、音に微妙な楽器的ニュアンスを与える仕事をVCAがひとりでこなすわけではありません。VCAはあくまで電圧でコントロールできるアンプでしかなく、自分の力で自動的に強弱をつけたりはしないのです。
 そこでこのVCAを動かす装置が必要です。それがEnvelope Generator(EG)です。
 写真では入出力端子としてMOD IN、SIG IN、VCA OUTとありますが、これは必ずしもすべてのシンセサイザーのVCAがこうなっているわけではありません。基本的にVCAに必要なのは音量制御用の信号(MOD IN)とVCFから入ってくる所(SIG IN)と出ていくところ(VCA OUT)です。SIG INから入ってきたオーディオ信号をMOD INから入ってきた電圧に応じて音量を変化させ、VCA OUTから出す。とこれだけです。ここではINITIAL GAINがマスターボリュームになっており、ここのVCA OUTがまんま、コンパクトシンセサイザーのMASTER OUTになっているといえます。
またMOD INには一般的に、次の項で説明するEG(エンベロープ・ジェネレーター)を入力するのがお約束になっていますが、トレモロ効果などをつけたい場合に他のものをつなげて使うこともあります。基本的に何を入れなければいけないというルールはありません。

ではいよいよEGです。

機能の説明

SIG IN
オーディオ信号の入力。通常はVCF OUTと接続。

VCA OUT
これが一般的にシンセサイザーのメインアウトとなり、ここをミキサーやプリアンプなどと接続することになる。出力レベルが2種類選べる。

INITIAL GAIN
要するにマスターボリューム。LINEAR/EXPONENTIALとボリューム変化のカーブを選択可能。これが付いているのは珍しい。

MOD IN
音量をモジュレーションしたいときに使用。通常はEGをつなぐ。