コルグの大ベストセラー機種がこのMS20でしょう。MS10の機能をさらに拡張し、2VCO、2VCF、1VCA、2EG、1LFOにS&H、NG(ピンクとホワイト)という構成。そしてギターなどの音を入力し、ピッチをCVに変換するESP(External signal Processor)が内蔵。これでギターシンセにもなります(あまり実用性はないが)。特筆すべきはキレのいいハイパスフィルターにもレゾナンスがとりつけてあるという点で、これを使って他のシンセサイザーでは作れない複雑なフィルターのきいたサウンドが作れます。
音的にはローランド系の甘くエロいサウンドとは対照的に、暴れん坊的です。ベース・シンセなどの音でイケてる音を作るのはバリエーションがいささか少なすぎる感はありますが、音楽的とはいえない、エクスペリメンタルな飛び道具としてはすばらしい才能を発揮します。とにかくアナログなフィーリングでグニョグニョやりたい人にはたまらない機種ですが、甘く切ないリードの音や浮遊感のあるSEなんかを作ろうと思ってこいつを買うと「違うな」と思うかも知れません。過激なフィルター処理が売りなわけです。エレクトリックな音ならいろんなバリエーションが作れると思います。
これをモデリングしたMS-2000という機種が発表されましたが、本物に近いサウンドが出せるので僕も驚きました。ですが、よく使ってみると、フィルターの粘りなどはまったく違うと言っていいでしょう。リングモジュレーターも内蔵されていて、かなり複雑なパッチングがこんなにコンパクトなボディーで実現されています。
いまだに人気の高い機種で、さらにここ1〜2年で供給が枯渇し、中古市場でも10万円を切るものを見なくなってきました。 今後ももう少し価格は高騰するのではないでしょうか。
※追記。生産時期によってrev.A と rev.Bが存在するようです。聞き比べましたが、初期バージョンのrev.Aのほうがいい意味で甘くメロー。後期はぶりっとしています。最初は初期型のほうが好みでしたが、最近後期型のほうが捨てがたいパンチがあるなと思えるようになってきました。
初期・後期をざっくりと見分ける方法があり、パネルの中央上部にあるVCA部分(ちょっと大きめの三角の図が書いてある)にネジが1つ付いているものが後期、ないものが前期です)
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