いわずと知れたminimoogは1970年から81年まで、なんと1万2000台も生産されたヒット商品でした。そのサウンドは独特で、特にベース音は「これにしかだせない」という確固とした存在感があります。オケに混ざっても埋もれず、ズンズンと自己主張してくるあの音は泣く子も黙る往年のminimoogサウンド! 最近もてはやされているミッド・センチュリーなデザインともいえる、古くさい見た目が逆に新鮮でもあります。パネルは数段階に分けて傾斜を付けることができ、寝かして使うこともできます。3VCOで、そのうち1個をLFOとして使うことができ、ビブラートを付けたいときは2VCOシンセとして使います。フィルターはローパス1系統で、EGはADSタイプが2個(RELEASEタイムはDECAYと兼用している)。
確かに音は良く、高級なパーツを使った非常にレンジの広い音色なのですが、パネル構成自体はとてもオーソドックスで、いろんなタイプの音が作れるシンセではありません。どういじっても出てくるのはminimoogな音色で、悪く言えば使い回しがきくマシンではないでしょう。発売期間が長かったせいもあり、発売の途中で何度も回路デザインを変更していましたので、バージョンが幾つかあります。見た目の基本的な機能は変わりませんがそれぞれ音色が違っています。初期バージョンは気持ちのよい歪み感と太さがあり、全体的に暴れた感じのサウンドですが、S/Nが悪く(要するにノイズが多い)ピッチが不安定で状態の悪いものが多いようです(原宿のFIVE Gさんは独自にピッチを安定させる改造を加えて販売されています)。後期バージョンの音が好きという人もおり、音色はやや固めでノイズが少なく、熱によるピッチの変化も少なめで安定しているのですが、個体差もずいぶんとあり、お店に何台もある場合は聴き比べて買うべきです(本当にminimoogは1台1台音が違うのです)。価格もいい音のする個体はやはり高い値段で売られていることが多いものです。
MIDI改造やLFOを内蔵させる改造も店によってはできます。また、キーボードと本体が分かれるバージョンや金のプレート付き「アニバーサリーminimoog」など、レアなバージョンも幾つかありますが、ほとんどお目にかかれません。台数は多いので、ノーマルなバージョンはしょっちゅう中古市場でみかけます。
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