Linnのドラムマシーンは、現在ちまたに氾濫しているドラムマシーンに生ドラムのサンプリングを入れるというアイデアを世界で初めて実現化し、製品化したものです。10年以上たってもいまだにクリスマスになるとあちこちで聴けるワムの「ラストクリスマス」でなってるドラムマシンがこのLM1ですが、これを作ったロジャー・リン氏の名前はAKAI MPC-3000のパネルに彼のサインが印刷されているのでご存じの方も多いのでは?
1979年に発表されたLM1は500台しか生産されておらず、のちに発売されるLM-2(LinnDrum)に比べるとたった10分の1の量です。中古市場でもなかなかお目にかかれません。最初の35台はロジャーの自宅で組み立てられていていました。そのロットはパネルの文字が彫り込まれたデザインになっており、ボタンの配置も若干違います。8ビットでありながら力強い音は世界中のアーティストから絶賛されました。カルチャー・クラブ、プリンスのアルバムでも大フィーチャーされていました。サンプリングに使えるメモリーに限界があったため、各音色は比較的短くなっており、それがタイトなニュアンスを生み出しています。またシンバルがありません。これもサンプリングタイムの問題で切り捨てられたそうです。LM-1にシンバルのメモリーを追加するオプションがサードパーティーから発売されていたようですが、これはもう入手は難しいでしょう。最近リアパネルの写真も入手しました(下:クリックで拡大ウインドウが開きます)。MIDIがまだついていませんので同期には苦労するかもしれません。
ちなみにLinn製品のサウンドですが、殆どはLAのセッション・ドラマー、アート・ウッドに叩いてもらったものをサンプリングしているそうです。ジェフ・ポーカロが関与しているという情報はどうやらガセのようです(ジェフはこのマシンを買って持っていました)。
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