●Model 2800(白パネル・rev1)製造:白パネルは1972年〜1974年、黒パネルは1974年〜1975年
一番初期のバージョンは「ホワイトパネル」と呼ばれる、白い塗装のオデッセイで、フィルターは4023という-12dB/octタイプ(2ポール)のフィルターが付いています。このフィルターは通常の-24dB(4ポール)タイプよりも効き目は緩やかですが、低域のレスポンスに優れています。またModel 2800にはこの次に出てくる黒/金パネルもあります(中身の変更はなし)。色を変えたのは白パネルがステージで使うと照明の反射がきつくて見にくいという声が多かったからだそうです。また2800にはCV/GATE inputがないため、シーケンサーで動かすには改造が必要になります。改造キットは今でも海外で販売されています。
●Model 2810(黒金パネル・rev2)製造:1975年〜1976年
OdysseyはModel 2600で使用されていたのと同じ-24dB/Octの特性を持ったフィルター4035に仕様を変更します。それに置き換えたのがこの2810です。パネルは黒地に金文字となり、製造が始まってまもなく外部オーディオ入力とCV/GATE入力が取り付けられました(ごく一部にはありません)。
●Model 2810 - 2813(黒金パネル、2813はPPC付・ここまでがrev2)製造:1976年〜1978年
1975年、4035フィルターがMoogのトランジスター・ラダー・フィルターの特許を侵害していると指摘されますが、実際には訴訟にまでは発展せず、友好的な関係だった両者はARP側がすこしばかりライセンス料を支払うことで和解しました。その後すぐに自社独自の-24dB/Octの4ポール・フィルター(4075)を開発し、翌年1976年にオデッセイはオシレーター回路も変更(一部2810にもオシレーターを変更したものがあります)、フィルターも4075に変えます。ノイズは少なくなり、若干古くささの抜けた音質になりましたが、パネルのデザインはまた黒/金のままです。(なお、4075には低域がもわっとしたり、カットオフの上限が14kHzに制限されているという問題があり、より高い周波数を通せるように改造する方法が広く知られています。)
ちなみに 黒金パネルで外見からフィルターが4035を搭載しているのか、後述する4075を搭載しているのかは見分けがつきません。しかし黒金パネルなのに外部CV入力端子を持っていなければ間違いなく4035です(しかし外部CV入力を持つ4035も存在しています)。モデル2810のうちシリアル番号1〜200番前後までは4035を持っているのではないかと言われていますが、実際には正しい情報はありません。中を開けてフィルター基板の上に書かれている小さな字を見るしか確認する方法はありませんが、非常にやっかいなところにそれがあり、かなり多くのネジをはずさない限りはフィルターにアクセスできません。
●Model 2820 - 2823(黒オレンジパネル・rev3)製造:1978年〜1981年
1978年にARPの製品はデザインを統一します。この年からオデッセイも黒地にオレンジのマーキングの入った柄になり、リアパネルの文字も大きくなってかっこよくなりました。さらにPPC(プロポーショナル・ピッチ・コントロール)と呼ばれるゴム製の四角いコントロールパッドが3つ並んで取り付けられました。これはパッドを押す強さに応じてピッチのUP/DOWNとビブラートがコントロールできるというものです(それまでは回転式つまみが1個付いているだけ)。
音声出力はRCA/PHONEからXLR/PHONE(ただしアンバランス)に変更され、電源ケーブルも着脱できるようになりました。本体の側面は革張りで、つまみはソフトプラスティックのカラー・キャップから普通の黒いプラスティックのつまみに変更され、鍵盤が本体から少し飛び出しているあたりも今までのオデッセイとは全然違います。(ハードケースもrev1/rev2とは別仕様のサイズになります)。