モニタースピーカーの話

うちのスタジオのメイン・スピーカーは長年定番だったYamaha NS-10M STUDIO。これをCROWN DC300Aで鳴らしている。 アンプのボリュームはプロに改造してもらってバイパスするようにしてあるんだけど、通常モニターコントローラーでボリュームは調整してしまうのでこれで問題ない。古いアンプなので左右に独立したボリュームが付いているのも難点だし、ぴったりとバランスをあわせるにはこのほうが都合がいい。 長年アンプから出るハムノイズが気になっていたけど、電源のアースを浮かせたら普通に直ってしまった。もっと気づけば良かった。 NS-10Mについてはよく低音が出ないと言われていて、それがいやで敬遠している人も多いんだけど、慣れると不思議なものでこれが良かったりする。EQでいじればわかるけど35Hzあたりの低い音もすんなりと再生されている。決して切れているわけじゃなくてなだらかに下がっているだけなので、そのあたりが足りないとか多すぎるとかもNS-10Mで判断できる。ただローが出るスピーカーだとやっぱり低域の量感が全然違うので、確認のために別のスピーカーでも時々確認するけど、するとまた耳がリフレッシュされてNS-10Mで再生されるローの感じがつかみやすくなったりする。 どんな環境で聴いてもバランスを崩さない音というのが一番いいと僕は思っているので、ヘッドホンやラジカセなんかでもチェックするんだけどそろそろもっと小さなスピーカーでも聴いてみたいと思っていろいろ物色している。ただ、バランスのいい音というのはNS-10Mで聴いたときにすごくいい感じで聞こえる。これは不思議。ジェネレックとかKRKとかみんながよく使っているものも音自体は大好きなんだけど、結構だまされることが多くて、あれでミックスするとよそで聴いたときにイメージが違いすぎるから個人的にはあまり使わない。あいつらはすごく音のいいスピーカーで、ほんとすごいと思うんだけど僕の耳にはオーバースペックだ。実際よりいい音で鳴っている感じがする。馴れればまたあれはあれで仕事出来るようになるんだとは思う。ADAMとかも気になってるよ。 NS-10Mはほどよく地味で、いい音にしないといい音で聞こえてこない。ここが僕の好きなところ。しかもDC-300Aの相性がすごくいい。この組み合わせを最初に発見した人は本当に偉いと思う。先人の知恵だ。先日お客さんがDC300を持ち込んだんだけど、出てくるヒスノイズも音も結構違ってた。それもすごくよかったけど、個体差もあるかもしれない。結局は馴れの問題。 スピーカーケーブルも高いやつ、定番のやつ、いろいろ試した結果、ヴィンテージのWEのやつになった。多分60年代くらいのやつだと思うけど、細いわりにすごくバランスがよくて嘘みたいに音のつながりが最高。先入観がある人ほどこのケーブルのことを疑っている人もいるみたいだけど、僕はこれを耳だけで判断して決めた。なんでこんなに古くて細いケーブルがいい音がするのかは僕にもわからないけど、いい音なんだからこれいいよ、ってな感じで使ってる。ヴィンテージだから使ってますとか良いって言われているから使ってます、みたいなのは一番大嫌いなので、そういうのは信じてない。ただ、定番のものには良いものがあるのも確かだと思う。 プラグはオーディオテクニカのバナナプラグにしてあるけど、いいものがあったら他も試してみたい。 DC300Aに変えてから、まずこの音の良さにほれぼれした。76年くらいに作られた製品なんだけど、今でも最高の音を出している。当時60万円以上したんだもんね。いいはずだ。オーバーホールしてからさらに良くなった。 アンプに至るまでのケーブルは最初はBELDEN 8412を使っていた。これは僕のお気に入りのケーブルで、これもいろいろ試した結果。オーバーホールから戻ってきたらちょっと音の感じが良くなったんだけどちょっと音が変わった感じもあって、BELDEN 88760に変えた。これは見た目は違うんだけど8412とわりと傾向は似ていて、さらにシャキっとタイトになる感じも少しある。こっちのほうが今はよくなってこれを使っている。プラグはスイッチクラフトにした。スイッチクラフトがいいと言われている理由が最近ようやくわかってきた。プラグは結構音を変えてしまう要素なんだと思う。先日トモカのプラグに変えたらすごく明るくなった。それはそれでよかったけど、スイッチクラフトの方がナチュラルな感じがしたなあ。ハンダもそのうち凝ってみたいけど。今は普通に国産ものを使っている。 そう、88760はバランスで信号を転送しているんだけど、DC300Aの入力はアンバランス。最初は単純にコネクタで変換してやってみたりもしたけど、TASCAM LA40 MKIIで変換してみたら意外とよかった。たいして高くもない装置なんだけど、こんなものにモニターアウトを突っ込んでもすごくいい音で変換されるのには驚いた。優秀だね! これでいこう、と思った。左右のバランスの調整も簡単にできるし最高。アンプの直前までバランス送りになっているから、ケーブルの色があんまり付いていないのかもしれない。勝手な予想だけど。 スピーカースタンドはそんなに高くないやつを使っていて、インシュレーターも使ってない。インシュレーターは良いときもあるけど悪いときもある。とりあえずみたいな感じでインシュレーターを使うと案外良くないこともあるから僕はあまり信じてない。うちの環境ではなしのほうがいいと判断してなしにしている。ありも試した結果。10円玉みたいに薄いインシュレーターは好き。何万円もださなくてもそこら辺にあるもので効果的なインシュレーターになるものがあるかも。こういうのは値段じゃないと思う。 それよりもスピーカーの上にウェイトを乗っけてエンクロージャー自体を固定してやるほうがいい結果が出ることが多いので今はそうしてます。振動でずれないようにゴムを付けたウェイトを上に乗っけて。ただこれを頭ごなしに否定する人もいる。そんなの良くなるはずがないと。信じる信じないはアナタ次第ってとこかな。とりあえずみんなには聞いて判断して欲しい。何が正しいってのはないけど、先入観はたいてい不利な方向に働くなら無心でやってください。以上。

Czecho No Public “Festival”

6/26発売の3rdシングル、なんか品薄みたいで、すごく売れているみたいですよ。 よかったです。これレコーディング、ミックスとも僕がやらせてもらってます。 (シンセの音は僕もメンバーと作ってますよ) 今後どんどん人気が出てきて、そのうちみんな知ってるみたいなバンドになるんじゃないかと勝手に思ってますが、 いやまじでそれくらいのポテンシャルを持っているってことは彼らと一緒に仕事させてもらって わかりました。ナイスガイばっかりで楽しいセッションでしたよ。 スタッフの気合いの入り方も半端じゃなくなってきました。この勢いで行きましょう!

DDPファイルからToastでオーディオCDが焼けるイメージファイルを作る【Mac編】

DDPをオーディオCDにして再生する方法は、これを偶然見た業界関係者からお褒めの言葉をいただきましたが、それなりに役に立ったのかなと感じてます。 ということで今度はDDPをToastで焼けるイメージファイルにする方法です。これはマスタリングずみのデータからクライアントが自分でCDRを焼いてサンプルを作りたいのだけれども、Toastで焼けないのかというリクエストからいろいろ試行錯誤してたどり着いたやり方で、こういうニーズがあるかどうかわかりませんがご紹介したいと思います。 たぶんほとんどの方はいったん焼いたCDRをマスターにして複製をToastで作っている、というパターンが多いかもしれません。もしくは冒頭のリンクにもありますとおり、DDPファイルを直接XLDでCDRに焼く方法がありますが、XLDはToastのように枚数を指定して複数枚を連続焼きする機能がありませんので、エンジニアでない方が作業するならToastのほうが楽ちんでしょう。それにCDRをマスターにしなくてすむので音質もよくなります。ここがキモですね。 ポイントはSDIIファイルにすること DDPファイルをToastのイメージファイルにするには、まず現行バージョンのToast(10または11)がオーディオCDのイメージファイルとしているsd2fという拡張子を持ったSDII(Sound Designer 2)形式のファイルに変換する必要があります。10以前のバージョンではtoastという拡張子のイメージファイルになっていましたが、逆に現行バージョンでは扱えなくなっているようです。逆に言えば9以下のバージョンではこの方法は通用しないと思いますので要注意です(間違っていたらどなたかご指摘を!)。 実はこれもXLDを使います。 まずXLDでSDII形式のファイルを書き出させるには特別な拡張ファイルが必要です。オフィシャルサイトに行って、「Sd2f 出力プラグイン」というのをダウンロードしてください。 これをユーザーフォルダ内の~/Library/Application Support/XLD/PlugInsというディレクトリに入れます。それからXLDを立ち上げて下さい。 (↑最新バージョンでは標準でSDIIがサポートされました) 環境設定の「一般」タブで「出力フォーマット」からSound Designer IIが選べるようになっていると思いますので、これを選択。     XLDのSD2書き出し これで環境設定を閉じて、「開く」を選び、DDPデータの中からDDPMSというファイルを選択します。
今度はこんな画面が出てきます。 XLD画面左上から「一つのファイル(+cue)として保存)を選択します。これで「変換する」を押してください。 特別な設定をしていない限り、DDPMSと同じ場所に書き出された.cueファイルと.sd2fファイルの2つができていると思います。 で、cueのほうは捨てます。sd2fのほうだけToastで開いてみてください。お望みの結果が得られていると思います。
いろいろ試したわけではないので結果についての保証はありませんが、プリギャップとかも一応ちゃんと反映されているようです。

真空管初心者

ついこないだから真空管のことをいろいろ調べ始めたら結構はまってきました。 それまで、あまり深入りする機会がないまま来ていたんですが、スタジオの機材が一時期不調なのをきっかけにいろいろ出てくる、深いい話が。 ところが日本語サイトで真空管の情報を扱っているサイトって本当に少ないんですよ。僕もシンセのサイトやってますからここはひとつ大きな態度で言わせてもらいたいんですが、日本では情報を持ってる人が赤の他人に情報をシェアするっていう考え方を面倒くさがる人が多すぎます。 確かにシェアしたところで、自分には何もメリットはないですよ。だけど誰かが一生懸命さがしていた情報かもしれないじゃないですか。誰かの役に立ってるならそれで良かったと思えたら僕はそれで十分やる意味ありますけどね。 そういう僕もインターネットから多大な恩恵を受けてますから恩返しですよ。情報とフェアに付き合えるし。 このままでいくと自分が真空管のデータベースとか数年後に作りそうな勢いです。誰か頑張って下さい!

ARTURIA MINIBRUTE

皆さんこんにちは。ここでは10月15日発売のサウンド&レコーディング・マガジン2012年11月号に掲載しているARTURIA MINIBRUTEで僕がデモンストレーションを披露させてもらったので、誌面では取り上げなかったもう少しマニアックな補足的説明を加えたいと思います。 正直なところソフトシンセのメーカーが作ったハードシンセなんてどうなの? という先入観もちょっとあったんですが、これがいざ触ってみるとこれがすごく良かったわけですよ。端的に言うと、モジュラーシンセのような音がするミニシンセって感じです。6万ちょっとで買えるようなんですが、最初に入ってきた在庫は全部すぐにはけちゃったくらい大人気で、すごく売れているらしいです。 DSI MophoとかMONO lancetDoepfer Dark Energyあたりが競合ってことになると思うんですが、僕はこの3つも大好きで、特にMONO lancetはヴィンテージっぽいところもあるしよかったんですけど、MINIBRUTEは全然違うアプローチで攻めてます。しかもコストパフォーマンスがはんぱないですし、Mophoみたいに作った音をメモリできる機能が必要なければこれはとてもいいです。 1VCO+サブオシレーターという構成のシンセというのは往々にしてシンプルな音しか出ないもので、わりと敬遠している人もいるかもしれませんね。MINIBRUTEはオシレーターの段階でさまざまな倍音のコントロールが出来るパラメーターを用意することによって2VCOなみの分厚さを実現していて、ちょっと今までの1VCOシンセの概念を覆している感じです。1VCOでも物足りなさを感じません。ただ2VCOは2VCOにしかできないこともあるので同じにはならないんですが、この1VCO感はかなりイケているんじゃないでしょうか。 フィルターもいいですよ。詳細は記事を見て欲しいんですが、キレのいいかんじで、アナログらしいかんじがします。ヴィンテージっぽくはないんですが、非常にモダンなサウンドです。かっこいいです。ハイパスとかのききも音楽的です。さすがIRCAMを生んだフランスの感覚というか、変態っぽい感じがあって、ここはアメリカ人の感覚をふんだんに盛り込んだデイブ・スミスのシンセなんかと比べると開放感のベクトルがずいぶん違いますよ。 BruteFactorはKORG MS-20でよくやる、ヘッドホン端子から取り出した音でVCOをモジュレートするテクニックと同じ事をやっているみたいですね。ディストーションのようなきつめの倍音が生まれます。これがあることでこのシンセがとてもアグレッシヴなサウンドを出すシンセだという印象が強く残りますね。ほんわかした音色より、ギラギラした音のほうが面白いです。こういう音はモジュラー・シンセなんかでは作りやすいですが、コンパクトなシンセでは実現できる機種が殆どないので、このMinibruteの個性になっていると思います。 全体的なSNもよくて、音源部分はフルアナログのわりにクリーンな印象があります。どこにも古くささがなく、あいまいな部分がありません。 デモ曲についてですが、今回はリズム以外は全部Minibruteで作って欲しいという編集部さんからのリクエストがあったので、そういう条件で頑張りました。ポリシンセじゃないので、コードで考える曲はちょっとやめようとしたことと、2分くらいの短い曲の中で誌面で説明を入れた機能をひととおり確認できるようにしたかったので、こういう感じになっています。ただありきたりのテクノとかにするのはちょっと嫌だったので、普通じゃない感じにしようと。そしてすこしだけ80s風味は入れてダサかっこいい曲にしたらこんなかんじになっちゃったんです。だから何風みたいな感じはないと思います。しいていうならキャバレー・ヴォルテールみたいなオルタナティブ・ファンクなのかな? ベースは2つの音色が絡み合ってフレーズを作っていて、片方の音色だけしょっちゅう動いている感じになっているので、それで不思議な感じが出てます。時々わざと調性から外れた音を入れるのは僕は大好きなんだけど、それを多用してます。 うわものは思いつくままに乗せていったのでそんなに深くは考えてないんですが、 音色はそれなりに吟味して作りにくそうな音をわざわざ選びました。シーケンサーで鳴らしながら鍵盤を押してベロシティでフィルタ動かしたり。 同じシンセ一台でやるとどうしても同じようなキャラクタになりがちなので結構難しいんですけど、あまりダークな曲を作るのも読者の皆さんにどうかなと思ったので、明るい感じにしちゃいましたがどうでしょうねえ? コメント欄あけときますからなんか感想とか質問とかあったらぜひ書き込んでください。 ちょっと思いついたことをばらばらに書いたので文章にまとまりがないですが、また時間があったら文章を更新します! あ、あと僕が関わっている9dwの音源もsoundcloudで公開しているものがありますからよかったら聴いてくださいね。

今月のサンレコでモジュラー・シンセについて書きました。

本日発売のSound & Recording Magazine誌で、TipTopというアメリカの新しいモジュラー・シンセのメーカーの製品について4ページも書かせてもらいました。是非みなさん読んでください。 最近の僕はというと、毎日激務に終われていまして、6月以降、ほぼ休日を取らずに毎日夜中までスタジオにいるような生活を続けています。7月の幕張のNo Nukesだけは行きました。初めて見たYMO、そして僕が勝手に「友達」と吹聴している(笑)Kraftwerkのライブを見に行きました。よかった! そして7月末、珍しく10時半くらいに仕事が終わって自転車で帰っているとタクシーにぶつけられて交通事故に遭ってしまいました。結果から言うと怪我自体はたいしたことなく(といってもまだ少し通院中)、大事には至りませんでしたが、頭を打ったので生まれて初めて救急車に乗りました。CTを撮ったのもはじめてでした。始めてヘルメットが役に立ちました。 自転車も壊れ、どうやら保険会社がお金を出してくれるみたいなのでこれを機に買い換えかと 現在検討中。自転車がないので毎晩タクシーで帰宅しています。保険会社に請求しますけどね。

r_i_s_u

最近忙しくて、というかずっと忙しいんですがw、スタジオ業務以外にレーベルを始めてしまい、さらに仕事を増やしています! Meguro Recordsというレーベルを今年から始めて、BP.の幻のアルバム再発に続き、トーマス・ドルビーのライブCD+DVD、r_i_s_uをリリースしました。ロックです。最新リリースのr_i_s_uはまだ公開していないコンテンツもあるのですが、本日トレーラーが公開されました。どういうCDをリリースしているのか、ぜひご覧ください。 r_i_s_uのPVもあるんですよ。 また近々書きます。

月例報告。

つーか、最近忙しすぎて自分のことがなんにもできてない。ということをブログを更新しない理由にしてはいるんだけど、本当はやろうと思えばやれると思うんだよね。でもやらないのはなんか、気乗りしないというか、うまく気持ちが切り替えられない。 ブログ書くくらいならもっとやらなければいけないことがたくさんあるだろ、というもう一人の自分の突っ込みが聞こえてくる。うん、確かにそうだ。でも今日はブログを更新する。 ここ一ヶ月にあったことをいろいろ思い出してまとめようと思ったんだけど、ずっとスタジオにいると時間とか日付の感覚がなくなって、気がつくと簡単に一ヶ月が過ぎているという感じ。でもこの状態もそろそろ落ち着いてきそうなので、みんななんか面白いことあったら僕を誘ってください。 で、そう思い出した。大阪から僕と唯一の付き合いのあるいとこが東京にやってきて会ったんだ。 僕にはいとこが全部で7人いる。多分だけど少ない方だと思う。いや、厳密にいうと9人か。そんなもんか。 そのうち事実上の付き合いがあるのがこのいとこ、「すーちゃん」だ。すーちゃんといってもキャンディーズのすーちゃんと同じ発音をしてはいけない。「す」にはアクセントを打たない。平坦に「すーちゃん」。 彼は僕の一つ上だけど、5歳くらいまでは歩いて行けるような距離のところに住んでいて、僕が引っ越してからも年に数回会うような付き合いをしていた。 大人になってから少々ブランクの空いている時期もあったけど、僕が音楽の仕事をするようになってからまた付き合いが始まった。彼も音楽好き、というかロック好きなんだ。 僕とはあまり音楽の趣味は合わないけど、音楽が好きと言うだけでいろいろノリが合ってくる。そんな彼はわざわざ東京にマイケル・シェンカー・グループを観に来ていた。 ライブが終わって近所の焼き鳥屋でここ20年に互いにあった出来事を話し合った。僕もいろいろあったけど、彼のいろいろはさらに凄まじかった。だけど、僕が東京で頑張っている様子を知って、そのエネルギーを大阪に持って帰りたいとばかりに質問攻めにあったけど、そんなエネルギーが僕にあるかどうかはさておき、とりあえず自分を振り返るいい機会にもなった。 20年以上も大阪を離れた僕からすれば彼はベタベタのネイティブな大阪人 で、その「圧」に若干負けそうだった。なにより声がでかい。きっと僕たちの会話の内容はお店の人にも聞こえていたかもね。そんな感じも最近すっかり味わってなかったので久々に大阪の感覚を楽しんでた。 最近僕の周囲はベビーブームだ。出産ラッシュといっていい。僕が付き合っている人達は僕と同世代よりちょっと下の人、30代後半から40くらいまでの人が多い。というのも僕と同世代は人口分布的にもかなり少ないんだ。いてもすごく出世して忙しい人が多いし。だから今ちょうどみんな身を固める準備に入っているんだね。 ご当人たちはどれだけ自覚しているのかは分からないけど、僕はこの現象を単に年齢だけのせいにはしていない。これはきっと昨年の震災の影響があるに違いないと思う。みんなあの時点で一度人生を見つめ直して前に進もうとしたし、なにか転換が必要な人にもいいきっかけとなっていた。住む場所を変えた人もかなりいたし。 さらにちょっと仕事がひまになって家庭に時間を費やしていた人もおおかったかもしれない。これからの日本を支えてくれる新しい命に経緯を表して、僕はいくつかのお祝いを贈った。 かくいう僕には子供がいないので、多少周囲に気を遣わせているかもしれないけど、大丈夫。お気遣いなく! 仕事を8時くらいで終わらせて焼き鳥屋に 行った以外は殆ど休みなく夜中の1時くらいまで仕事をすることが殆どだったけど、1日だけジャクソン・ポロック展だけは終わる前に行かなきゃということで行ってきた。 最近はライブよりも絵を見に行くほうがちょっと多いかもしれないなあ。 ポロックはアメリカの画家でとっくの昔に交通事故で若くして死んでいるんだけど、なんかわけのわからない(と一般的には思われている)抽象画で有名なんだ。キャンバスに筆で絵を描くんじゃなくて、直接絵の具やペンキをたらしていく「ポーリング」って技法で知られている。 制作風景はこういう感じで、おおざっぱな感じがするのはアメリカ的でほほえましいんだけど、当時の評論家たちはデタラメと評したらしい。僕が見る限り、むしろ非常に統制の取れた絵だなという感じがした。配色とかもすごく考えられているし、ランダムなんだけど、そのランダムさが均等になるように絵の具のたらし方 をコントロールしている。その感覚が素晴らしかった。 ひとつ日本の書画を意識したような、紙に黒い色でバシャーっとたらした作品があったけど、この一発OK的な模様の一部をあとになってポロックは白い色を入れて修正している。やっぱりすごく考えられている。だけどこの作品、本当にいいんだね! ちなみにポロックはそこそこ生きている間に成功したらしく、お兄さんとかがマネージメントっぽいことをやって たりして、家族がそれなりにぶら下がっていたんじゃないかという気配を感じた。だから時には絵が売れることを考えなければいけなかったんじゃないかと思う。 5〜6年前にトラック運転手のおばさんがリサイクルショップで5ドルで買った絵が ポロックの本物だったという実話をドキュメンタリーにした映画があって、これをチェックしようとしてる。アラブの富豪か誰かが20億円で譲ってくれと言ってきたオファーをそんなもんじゃないだろ、と断ったエピソードがあるとかないとか。すごいね。それくらいポロックのポーリングで描いた絵は評価が高いんだ。 というのも、僕も展覧会に言って初めて知ったんだけど、僕らがよく知っているポロックのあの作風は実はとても限られた期間にしか描かれていなくって、1950年から51年くらいの間がそのピークだった。大きな絵はすごく少ないんだよね。 つーわけで次はボストン美術館展に行ってきます。僕のヒーロー、曾我蕭白の作品の貴重な里帰りをチェックしないと!