VOLTAGE CONTROLLED OSCILLATOR

音の出発はまずVCOからです。VCOはとっかかりになる単純な音を発する回路です。VCOから出る音はとても電子的で、いかにもシンセサイザーといったシンプルな音が出ています。
 音の種類が1個ではつまらないので、たいていは数種類がつまみで選べるようになっています(少ない機種でも2種類から選べます)。
 また音の高さもこのVCOの段階で決めさせられます。もし音の高さを何らかの形で変化させたくなった場合はVCOをいじることになります。
 オデッセイにはVCOが2つついています。なぜなら1つより2つのほうが音に厚みが持たせられるし、音づくりの幅が何かと広がるからです。2つは微妙に違う機能を持っていますが、ここでは基本的に同じ物が2つ入っていると考えて差し支えありません。

【補足1】出音の時点で音の高さを決めるのは、いったん出てしまった音の高さを後から別の機械で変化させることが物理的に難しいからです。

【補足2】2VCOという仕様はとてもポピュラーなもので、多くのシンセサイザーが2つのVCOを持っています。中にはminimoogのように3つ持っている物やKORG MONO/POLYのように4つ持っている物もあります。

FREQUENCY
フリーケンシーとは「周波数」の意味で、ここでは音の高さのことを言っています。音の高さを調整する方法は機種によって違いますが、オデッセイの場合は一番低い音から高い音までをスライド式のボリュームで調整するため(可変式)、鍵盤を弾いた時に出る音のキーが本当に正しいかどうかはギターと同様にチューナーが必要というわけです。

COARSE
 Frequenccyにはcoarseとfineの2つのスライダーがあります。音の高さを決める場合、まずcoarseをいじります。ベースのように低い音を作りたい場合はcoarseを下側へ動かし、リードに使うような甲高い音を作る場合は上側へ動かします。

【補足】オデッセイではCOARSEというスライダーで、マシンが出せる一番高い音から一番低い音までが連続的に変化するわけですが、前述の通りこれではチューナーがないとまとはずれなピッチの音が出てしまいます。このため、多くのシンセサイザーは数段階にオクターブ単位で高さが変えられる切り替えスイッチとFINEつまみの組み合わせでピッチ調整が出来るようになっています。

FINE
fineはcoarseと機能は同じですが、fineのほうが変化量が少ないため、微妙なチューニング用に使います。

これ以下はより詳しくVCOを知りたい人のための解説です。読み飛ばしてしまっても構いません。

AUDIO
KYBD ON/L.F. KYBD OFF
 これはVCO1を通常どおりに使用する以外にLFOの代用として使えるように工夫されたスイッチです。下にやるとVCO1は鍵盤と切り離され、周波数(スピード)も100分の1に落とされて、ビブラートなどを作る際のコントロール信号としてこのVCO1を利用することが出来るようになります。

FM
FMとはフリーケンシー・モジュレーション(周波数変調)のことです。わかりやすくいえば、VCOから出る音の高さを鍵盤以外の装置で動かそうという機能です。ポピュラーな使い方はなんといってもビブラートでしょう。ゆらゆらと揺れ動く音程がビブラートの正体ですが、赤いスライダーはLFOというコントロール用の回路からの信号の強さを調整し(VCO2は背面パネルの入力端子から入れた信号を受けるようにもなっている)、黄色いほうはS/HとADSRの強さを調整します。一番下にはソースを切り替えるスイッチもあります。LFOやS/H、ADSRについてはあとで詳しく説明します。

PULSE WIDTH
パルス・ウィズはVCOから出ている2種類の音色(のこぎり波とパルス波)のうち、パルス波のバンド幅を変えるセクションです。バンド幅というと難しく聞こえますが、ようするにここをいじると音が変わるんです。どう変わるかは聞いてもらったほうが早いと思います。WIDTHがこのバンド幅を変えるスライダーですが、下が50%、下がMIN=要するに0%となっていて下にやるほど太い音になります。その横のMODはこのバンド幅をLFOかADSRでコントロールするためのものです。分厚いふわふわした音を作るときにはLFOでバンド幅を変えてみたりするといいかんじです。ちなみにのこぎり波はバンド幅という概念がないため、このように音を変化させるスライダーはありません。

SYNC
 これは説明が難しい機能でもありますが、オデッセイの最大の特徴でもあるスイッチです(そのわりには地味なスイッチ)。SYNCをONにするとVCO2の音の高さがVCO1の音の高さにぴったりと同期します。同じピッチで音が鳴るので1つのVCOがなっているように聞こえるのですが、VCO2はまるで倍音のような役目を果たします。ここでわざとVCO2のピッチをずらすと「キュイ〜ン!」という、独特の倍音が生まれ、これがいろんなところで使われているわけです。クラフトワークのNEON LIGHTSという曲に出てくる「キュル〜ン」という低い音はオデッセイのSYNCスイッチで作ったもののようです。