ENVELOPE GENERATOR

エンベロープジェネレーター(以下EG)は、VCOやVCFやVCAにモジュレーションを加えるための装置です。
 EGはそれ自体が音を発したり、音そのものを加工する装置ではありません。EGから発生する電気信号は他の装置を動かすために使われます。EGは外部から受け取ったトリガーをきっかけにして、設定された電圧カーブを出力します。このカーブは自然界に存在する音の時間的変化に近いため、VCAを変調させることで楽器的な音量変化を作り出すことができます。
またEGはVCFやVCOの変調にもよく使われます。

ADSR
 ADSRとは一般的なEGのパラメーターであるATTACK/DECAY/SUSTAIN/RELEASEの4つのイニシャルをとった呼び名です。実質上これがEGの顔となります。


ATTACK
 鍵盤からトリガーを受け取ったEGは鍵盤が押されたことを感じ取ってまず「アタック」の電圧を作ります。アタックとは「0%」の状態から「100%」の状態にまでかけ上げる「音の出始め」の信号です。このスライダーはその駆け上がる時間を調整します。駆け上がる時間が0秒であれば鍵盤を押した瞬間にマックスの信号が出ます。3秒であれば何もない状態から3秒かけて信号がマックスに達します。

DECAY
 ディケイとはマックスまで登り切った信号が少し下がっていく場合の時間を決定します(ディケイ=減衰という意味です)。通常アタックの強い音(例えば弦をはじく音)はアタックの部分に強いインパクトがありますが、それも一瞬だけで、すぐに小さな音に戻る場合が殆どです。ディケイはこの戻り具合を生み出します。鍵盤を押している間にしか関係しないパラメーターです。

SUSTAIN
 サスティンはマックスにまで上がりきったアタックがどこまで下がるかというレベルを調整するスライダーです(サスティン=持続という意味です)。アタックとディケイが時間の長さを調整する物であったのに対し、サスティンはレベルを調整するものです。アタックの終了後、エンベロープはマックスのレベルからサスティンのレベルまでディケイで調整した時間をかけて減衰していきます。
 サスティンタイムというものを調整するつまみがないのは、鍵盤を押している時間からアタックとディケイの時間をひいた時間がサスティンタイムになるからです。つまりディケイが終われば鍵盤から手を離すまでがサスティンタイムというわけです。

RELEASE
 鍵盤から手が放れたことをトリガー信号が伝えてくるとサスティンレベルで持続している状態をやめ、リリースを始めます。リリースはサスティンのレベルから0の状態に戻るまでにかかる時間を調整します。言い換えれば、鍵盤から手を離してから実際に音が消えるまでの余韻の長さのことです。

AR
 オデッセイにはADSRの4つのパラメーターを持つタイプのEGの他に、ARタイプという簡単なEGが付いています。ADSRタイプと違うのはサスティンレベルがマックスに固定されていて、それにともなってディケイ・タイムが用意されていないわけです。例えばアタック部分を強調したフィルタースイープ効果を作りたいが、音量的にはアタック以降も元気よく鳴らしたいという場合、ADSRをフィルターのスイープに使い、ARをVCAに送ります。

POWER SWITCH
 四角いのがいわゆる電源スイッチです。ギターアンプなどによく使われているスイッチですね。

KYBD GATE / LFO REPEAT
 EGに送るトリガーを2種類から選びます。上にした場合は通常通りキーボードから送られてくるトリガーをEGに送ります。下にした場合はLFOのパルス波をEGに送ります。こうすることで、LFOの早さに合わせてEGが周期的にエンベロープを繰り返すことになります。ADSRとARとで個別に設定できます。

KYBD REPEAT / AUTO REPEAT
 GATEのスイッチを下側にした場合に、EGへ繰り返し送られているLFOのトリガーが、鍵盤を押さえている間だけにするのか、鍵盤とは関係無しにずっと出ている状態にするかを切り替えます。いずれにしてもあまり使い道のない機能ですし、他のシンセサイザーにはあまり見受けられない機能でもあります。これはADSRにしか関係ありません。