元興寺(がんごうじ)

gangoji.jpg 奈良の奈良公園の横にある猿沢池の奥に「奈良町」と呼ばれる古い町並みがあります。ここは元興寺というとても古い寺の敷地を利用してできたんだそうですが、正月にこの元興寺へ行ってきました。

 元興寺は仏教伝来からさほど経っていない588年、に蘇我馬子によって創建された「飛鳥寺」を前身としていて、当初は奈良公園のあたりからはかなり距離がある飛鳥(現在の奈良県明日香村)にありました。平城京遷都にともなって現在の地へ移されたそうです。日本書紀が書かれた時代ですね。そりゃ古いわ。
 薬師寺ももとはやはり藤原京にあったものをまんま遷都にともなって今の場所に移されたそうですが、当時の権力者はみんな寺をひっくるめて街ごと引っ越していたのですね。薬師寺の仏像は7日かけて飛鳥から移動させたなんて言い伝えもあります。
 で、その元興寺も今では小さな寺になっていて(理由は知りませんが、廃仏毀釈のせいかな?)、こじんまりとしながらもなかなか風情のあるお寺として密かな人気があるようです。つっても興福寺のように見応えのある仏像なんかがあるわけではないのです。でもお堂は国宝になっているし、寺が世界遺産に指定されているのもほんと、すごいです。
 ご本尊は真言宗ということで、かなり古い曼荼羅。靴を脱いで本堂へあがったのですが、冷蔵庫の中のように冷えた内部ではひんやりとした畳が非常に体にこたえ、ゆっくりと見れませんでした。本当に寒かったなあ。
 上の写真は僕が撮影してきた国宝・曼荼羅堂の屋根。瓦に若干色の違いがあるのは何度も痛んだ瓦を入れ替えているからだそうです。中でもちょっと赤い色をした瓦は天平時代からのものなんだそうで、そんな古い瓦がよく今も使えたもんだなと感心。
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敷地には浮図田(ふとでん)という仏塔がたくさん並んでいて、結構見応えありました。素朴な感じで。
そんなに見学客も少ないのでなんかのんびりしている感じなんですよね。観光客でひしめいている東大寺なんかにはない落ち着いた雰囲気があって、素敵です。
 奈良には何度も行っているというのに初めて行った元興寺でした。紅葉の時季はもっときれいだそうなので、ぜひまた行ってみたいです。
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